『M-1グランプリ』で2年連続の決勝進出を果たしたニューヨーク。デビュー時から「ネクストブレイク芸人」として期待を集めたものの、その後はレギュラー番組の終了、劇場ライブでの挫折、賞レースの不振など不遇の日々を送ってきたふたり。
12月25日より順次発売となる『クイック・ジャパン』vol.153では、2時間のロングインタビューで賞レースへの複雑な想いを語っている。『M-1グランプリ2020』決勝を直前に控え、誌面で掲載し切れなかった未公開のインタビュー部分も含めて公開する。
去年は主人公ではなかった、でも今年は
——デビュー以来、周囲からの期待を集めながらなかなかブレイクを果たせない時代が長くつづいていました。そこから抜け出す転機となったのはどのタイミングだったんでしょうか?
屋敷 2018年に『キングオブコント』の2回戦で落ちて、『M-1』の準々決勝で落ちて。それまではなんだかんだあってもゆっくり上がっていた感じだったんですけど、そこで初めて「あ、これ下に向かってるな」って。
嶋佐 その時期はちょっとスレてましたね。ヘソ曲げてたかもしんないっす。
屋敷 それまで長いこと「あと足りないのは賞レースだ」って言われつづけてきたんで。俺らも賞レースで結果さえ残せば売れると思ってたんですけど、それがもうしんどくなってきて。賞レースって不確定な要素が多過ぎるし、100パーセントそこに賭けるのはしんどいなって思ったタイミングで。それで、2019年にYouTubeを始めてから少しずつ風向きが変わっていったというか。
嶋佐 今までも、準決勝で負けたあとに近所の飲み屋に行って、やけくそになって隣のおじいちゃんと朝まで飲んでそのまま家に泊まりに行ったりしたこともあったしね。
屋敷 いつやったっけ、それ(笑)。でも、やっぱりそれくらいおかしなってまうんで、賞レースばっかりやってまうと。それが向いてる人もおると思うんですけどね。俺らは『M-1』に全額ベットするのは向いてなかったかもしれんな。
嶋佐 不思議なもんで、賞レースはもういいかなって思った年に決勝行けたんでね。
——そして、昨年は初めての『M-1』決勝でした。決勝進出が決まったときは感慨深かったのではないでしょうか。
屋敷 去年行けたときはもう、今までで一番うれしかったです。今までガチャガチャ引いてたけど、当たり入ってたんや、って。決勝行けへん人生かと思ってたけど行ける人生やったんやって。それがうれしかったですね。
嶋佐 僕らの1年先輩の、デビューのときからずっとお世話になってるダイタクさんが「おめでとう」って肩叩いてくれてね。あと、囲碁将棋さんも「がんばれよ」って言ってくれて。
屋敷 囲碁将棋さんは去年がラストイヤーでしたからね。
嶋佐 そのふた組が決勝に行けなくて、僕らが名前を呼ばれたときに「がんばれよ」って言ってくれたときがね……。もう、泣いちゃいましたね。自然と涙が……やっぱそれだけ長いこと青春してたってことですよね。芸人やっててうれしくて泣いたの、あとにも先にもあのときくらいですね。
屋敷 ふふふ(笑)。えらいもんで、これだけ芸人やってるともう悔しくて泣くこともないっすからね。初めてでしたね。うれしくて泣いたの。
嶋佐 でも本番のくじ引きでトップバッター引いた瞬間に一気に冷静になって。「優勝は無理だな」って(笑)。もうそこからはずっと冷静でした。
屋敷 本番も一瞬で終わったんで。もうずっと冷静(笑)。ほかの人たちのネタもほぼ観てないですしね。ネタ終わったあと、楽屋にテレビがついてるんですけど、ずっとケータイいじって、たまに爆笑が起きたらテレビちらっと見てまたケータイに戻って……みたいな。今年は主人公ではなかったなって。でも、来年は決勝でももっと活躍したいなって思いましたね。
去年より完全にいい流れ、今年行ってカマしたい
——そして今年の『キングオブコント2020』では準優勝を果たしました。
屋敷 『キングオブコント』はうれしかったですね。ただ、予選からお客さんもだいぶ少なかったんで、いつもとちょっと違う感じでした。ソデにも行かれへんし。だからかもしれないっすけど、全然緊張もせんかったし、楽しかったですね。
嶋佐 出順もね、去年の『M-1』とは逆に、後半のほうで。だから本番も普通にできましたね。
屋敷 「あの『キングオブコント』の決勝に出てる!」みたいな感じも正直そんなになくて。なんかふわふわしてるけどずっと緊張してない、みたいな。
嶋佐 で、俺らの前のジャルジャルさんの1本目の点数が高かったんで。そこも冷静になって、「優勝は無理かな」って。「でも準優勝してえな」って思っちゃったりしましたね。
屋敷 俺は本番中はあんまり準優勝っていうのは頭になかったな。(3位の)空気階段より点数高かったのも、あとから気づいたくらいで。でも、今思ったら準優勝ってめっちゃ大事でしたね。準優勝っていう言葉がつくかどうかでだいぶ世間の印象も変わるんやって思いました。
嶋佐 2本目のファイナルステージのヤクザのネタは正直、やってる途中から「ウケてねえな」って。会場の雰囲気とかもほかの芸人から聞いてて、ああいうネタはウケないかもなって危惧してたんですけど。ネタの後半は「めちゃくちゃ低い点数出たら恥ずいな」って思いながらやってましたね。
屋敷 俺はもう、めちゃくちゃ低い点数出たら『M-1』のときみたいに噛みついたろと思ってましたけどね。だから点数見たときに、想像よりも高くてビックリしました。こんなに評価してくれるんや、って。
嶋佐 優勝逃して悔しいっていうよりも、ありがたいって気持ちが一番大きいかもしれないです。準優勝させてもらって。
屋敷 今、思えばね。ほんまにありがたかったすね。
——今年の『M-1』に向けての意気込みも教えてください。
屋敷 松本さんに「おもしろい」って思われたいのもありますし。完全にチャンスなんで、今年は。でもあんまり、ダラダラ出つづけるのもなってどっかで思っちゃってるんですよね。
嶋佐 今年で終わらせたいね、『M-1』は。
屋敷 本当にね。常連になり過ぎると枠を1個潰してるかも、とか思ってまうんですよね。実力で勝ち取るもんやから別にいいんですけど。
嶋佐 確かに、それはありますね。
屋敷 でも、去年より完全にいい流れなんで。今年行ってカマしたいなっていうのはめっちゃありますね。
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現在予約受付中の『クイック・ジャパン』vol.153<予約特典版>では、楽天ブックス限定の予約特典として巨大すごろくポスター「ニューヨークの波乱万丈! 芸人一代出世双六」(サイズ:410×560mm)を制作。本誌に付属するコマとサイコロを組み立てて、ニューヨークの芸人人生をすごろくゲームで体感できるポスターとなっている。
また、誌面では12ページにわたってニューヨークが10年間の芸人人生を語り尽くすロングインタビューを掲載。「クイック・ジャパンだからここまで話した」と本人たちが言うように、レギュラー番組の終了、劇場ライブでの挫折、賞レースでの不振など不遇の日々について、一切の隠しごとなく話している。
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