俺たちはこのままでいいのか?清田隆之(桃山商事)が男性問題を掘り下げる『さよなら、俺たち』

2020.7.2

「男らしさの行方」を問う一冊、バービーを交えたトークイベントも

1200人を超える女性の恋愛相談に耳を傾けた結果、見えてきたのは男たちの幼稚で狡猾な姿だった――。

恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表として恋愛と性差の問題を発信する清田隆之による、初の本格的ジェンダー・エッセイ集が刊行された。本書では『QJWeb』に寄稿された「性的同意」議論、女子小学生にまで求められる“男ウケ”問題、『ラブライブ!サンシャイン!!』のPRイラスト論争、ぺこぱを“NEO優しいお笑い”と表現した評論なども収録されている。

ほかにも失恋、家事、風俗、夫婦別姓、マンスプレイニングからコロナ離婚まで、さまざまなテーマに根づく男性問題を掘り下げていく。

刊行を記念し、お笑いコンビ「フォーリンラブ♡」のバービー、フリー編集者のおぐらりゅうじを招き、オンライン配信イベント「清田隆之×おぐらりゅうじ×バービー このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ――2020年の男らしさの行方と現在地」も7月7日(水)に開催される。

英米演劇の研究者である恩師から教わった『ハムレット』の有名なセリフ「To be or not to be, that is the question.(このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ)」が、2020年の今を生きる男性にも当てはまる言葉ではないかと述べている清田隆之。セクハラや性差別、男性優位社会の歪みなど、各所でジェンダーをめぐる問題が噴出していると感じており、イベントでは三者で「2020年の男らしさの行方と現在地」を語り合う予定だ。

『さよなら、俺たち』

『さよなら、俺たち』

俺たちはこのままでいいのか。
これからの時代、私たちに必要なことは、甘えや油断、無知や加害者性など、自分の見たくない部分と向き合いながら「俺たち」にさよならすることだ。

著者:清田隆之
発行:スタンド・ブックス
価格:1,700円(税別)

<収録内容>
1章 さよなら、俺たち
さよなら、俺たち
あの人がいない人生を生きるのだ
失恋による“小さな死”を乗り越えるには
こじらせ男子の当事者研究――失恋ホストの現場から

2章 俺たちは全然客観的で中立的なんかじゃない――男の幼稚さ
「気づかない男たち」――ハラスメント・スタディーズ
俺たちは全然“客観的”で“中立的”なんかじゃない――セカンドレイプ
ボクたちはいつ大人になれるのだろうか――大根仁作品における「男の幼稚さ」について
『ラブライブ!サンシャイン!!』のPRイラスト論争。批判の声に怒っているのは誰なのか
女子小学生にまで求められる“男ウケ”のモテ技。男たちはなぜ「さしすせそ」で気持ちよくなってしまうのか
世界で進む「性的同意」の議論。俺たちはその意味を理解しているのか

3章 私たちは“すれ違ってすらいない”のかもしれない――コミュニケーションの話
「男をひと括りにするな!」から進むために
我々が“聞ける男”になるために必要なこと
「コロナ離婚」の背景にある絶望感の正体
私たちは“すれ違ってすらいない”のかもしれない

4章 生理が“自己責任”になってしまうディストピア――強固な男性優位の社会構造
田嶋陽子が再ブーム。“日本でいちばん誤解されたフェミニスト”はこんなにカッコ良かった
エロ本の作り手にお話を伺う中で見えてきた巨大構造
生理が“自己責任”になってしまうディストピア
doing偏重社会に生きる私たちに突きつけられた“ミラー小説”
「子どもを産まなかったほうが問題」は失言ではない。現政権の本音だ
「夫婦別姓は犯罪が増える」というトンデモ発言は“男性特権”が生んだ無知の末路

5章 加害者性に苦しむ男たち――抑圧や孤独
女性の恋愛相談を聞きまくった結果過剰に抑圧されるようになった私の性欲
“加害者性”に苦しむ男たち
内面の孤独
性欲は“本能”って言うけれど……男性にとって風俗とはどういう場所なのか

6章 生まれたからにはまだ死ねない――beingから「私」へ
矛盾への恐怖と恋愛相談
「だったらひとりで生きればいいのでは?」と絶望する前に
家に一冊も本がなかった
自分を掘れば他者とつながる
ぺこぱ“NEO優しい”の衝撃「優しいのにおもしろい」という革命
笑いと脱力をもらたらすbeingの世界――さくらももこ論
生まれたからにはまだ死ねない

清田隆之(きよた・たかゆき)

清田隆之
著者の清田隆之(桃山商事)

1980年東京都生まれ。文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒業。

これまで1200人以上の恋バナを聞き集め、「恋愛とジェンダー」をテーマにコラムやラジオなどで発信している。『cakes』『WEZZY』『QJWeb』『an・an』『精神看護』『すばる』『現代思想』『yom yom』など幅広いメディアに寄稿。朝日新聞be「悩みのるつぼ」では回答者を務める。桃山商事としての著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)『生き抜くための恋愛相談』『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』(共にイースト・プレス)、トミヤマユキコ氏との共著に『大学1年生の歩き方』(左右社)、単著に『よかれと思ってやったのに──男たちの「失敗学」入門』(晶文社)がある。

「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ――2020年の男らしさの行方と現在地」清田隆之×おぐらりゅうじ×バービー

日時:7月7日(火)20時〜21時30分(※バービーは30分程度の出演を予定)
登壇者:バービー、清田隆之、おぐらりゅうじ
場所:オンライン(※ホストは代官山 蔦屋書店ですが、イベントの様子は店頭非公開、オンラインのみでの開催)
チケット:1,300円(税込)(※イベントチケット予約・販売サービス「Piatix」にて販売中)
定員:100名

本書の収録内容の一部は『QJWeb』でも公開中

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