YouTube登録者数20万人超え! 東京藝大出身クリエイター集団「アートゥーン!」とは? 真田×桶家の“クリエイティブの原点”とメンバー紹介
「芸術をもっと身近に」をコンセプトに、2024年の8月から活動を始めたアートゥーン!。メンバー全員が東京藝術大学出身であることを強みに、音楽や美術を中心とした芸術のおもしろさをYouTubeで発信し、チャンネル登録者数は20万人を突破(2026年8月現在)。
エンタメからまじめなクリエイティブとしてのMVまで、さまざまなかたちの動画を制作しているアートゥーン!とは、どんなクリエイター集団なのだろうか?
現在発売中の『Quick Japan』vol.185では、メンバーの真田と桶家のインタビューを掲載。QJWebでは、本誌に収録しきれなかった部分を特別に公開する。
目次
コロナ禍で、学部や学科を超えた交流が増えた
──アートゥーン!のメンバーは東京藝術大学時代、学部や学科関係なく仲がよかったとお聞きしましたが、学部や学科を超えたつながりはどのようにできたのでしょうか?
真田 東京藝大って、音楽学部と美術学部のふたつしかないし、それぞれ1学年200人ぐらいしかいない、すごく小さい大学なんです。だから、関わりを持とうと思えば持てるし、逆に関わりを持たないと決めればひとりでいくらでも突き進める環境になっていて。
ただ、藝祭(東京藝大の学園祭)は、学部や学科間の隔たりを超えて共同で何かを作るイベントなので、そこで仲よくなることはありますね。

桶家 僕は、最初は誰ともつながりがなかったですね。けっこう世代にもよると思っていて、コロナ禍の手前までは美術と音楽の友達同士で絡んでるほうが珍しかった。コロナ禍になってから、学部や学科を越えて交流が始まった印象です。
真田 2021年の藝祭は全面オンライン配信で開催されたんですが、僕が藝祭実行委員長だったので、テーマソングやオープニング映像的なものをYouTubeに上げたらどうか、という企画を出したんです。
当時は大学2年生だったんですが、DTMで曲を作れる人いないかなと探していたら、4年生だった桶家を紹介されて。
それで桶家が藝祭のテーマソングを作ってくれて、僕と同学年だった林が映像を作り、合作のオープニング映像をYouTubeにアップしたんです。今考えれば、アートゥーン!メンバーの合作として最初に世に出た作品はそれですね。
そのときの藝祭のステージも、音響や映像配信のエンジニアは池田だったし、藝祭で作る法被(はっぴ)のパフォーマンスには矢野が出ていました。
個性が爆発! 「アートゥーン!」メンバー8人を紹介

──ここからは、アートゥーン!メンバー8人について紹介していただきたいです。
桶家 音楽組だと、矢野は一番まじめですね。でもまじめすぎて、MCを任せると淡々と進めるから、撮影してるとき「無駄話しない!」とか言われますね(笑)。
真田 まじめだけど、俺らの常識が通じるかといえばまたそれは違って、仙人みたいな部分もあります。
桶家 矢野は音楽学部の作曲科出身なんですが、基本的な音楽能力が高くて、何をやらせても素早くできちゃう。それは彼が作曲家だからできるとかいう次元じゃなくて、音楽が限りなく第一言語に近いタイプの人なんだと思います。
おばんは音楽学部の器楽科出身で、プロドラマーをしているんですが、ライブ会場の空気感とかを決定的にバッとつかんで、それをすぐに演奏に出せる異常な能力を持っているんです。ただ、その能力が非言語の音楽に向きすぎてて、たまに本当に何を言ってるかわからない。
真田 音楽の用語とか聞いても、パッションで答えるんだよね。「まず、恐竜がいて……」みたいな(笑)。
桶家 池田は音楽学部の音楽環境創造科を卒業して、サウンドエンジニアとしても活躍しているんですが、高い技術力を持っているし、仕事についても誇りを持っています。
ジャンルごとの視聴者層が求めるものに応えつつ、自分の趣味趣向を反映できているし、クライアントワークでも、自然に自分のクリエイティブを混ぜ込めるのがいいところですね。
あとは、アートゥーン!としてまじめなクリエイティブをやるときは、池田と相性がすごく合うのでやりやすいです。ほかの人じゃダメなんですよ。
真田 最終的に音楽として世に出る部分を決めるのが彼の仕事で、その分野において、同世代の中では彼は圧倒的な実力を持っているので、テクニカルに関しては安心ですね。
桶家は音楽学部の声楽科出身で、今はプロの音楽家としても活動してますが、アートゥーン!の音楽組の引っ張り役ですね。声もでかいし、最初のテンションとかを作ってくれます。
あとは、アートゥーン!として作る楽曲については、音楽組はみんなそれぞれの分野で安心感はありますが、歌に関しては彼に任せておけば大丈夫だと思っています。
僕らは「芸術をもっと身近に」というコンセプトで活動しているので、音楽組と美術組でお互いの持っている技能を見せる企画をしたりしているんですが、桶家は自分が触れたことがない美術の話や技法を一番楽しんでくれるから、僕らとしても「こんなのもあるよ」って見せたくなる無邪気な感じがありますね。

桶家 次は美術組か。真田は美術学部の芸術学科出身なんですが、知識の幅が広くて、自分のいるジャンルを客観的に見てるので、美術について、誰が聞いてもわかるおもしろい話から、ちょっと深いところの説明もしてくれるんです。
あと、画家として展示もいっぱいやっていて、今の20代日本人美術家のトップランナーのはず。それだけ大成しているのに、いろんな展示でアートゥーン!のYouTubeチャンネルの二次元コードを置いたりしてくれているので、友達思いだなと思いますね。
林は美術学部デザイン科だったんですが、ビジュアライズに関わるすべてのことをひととおりできるから、安心感があるし、すごく信頼しています。技法についての知識量もすごくて。
真田 こういう写真を撮りたい、という話になったら「カメラはこれで、グレーディングはこうかけて、レンズはこれで」みたいなアイデアがパッと出てくる。
桶家 知識とアウトプットの両方の能力が高い。ただ、林はひとりで仕事をいろいろ抱え込みすぎるところがあるから、もうちょっとまわりを頼れよとも思いますね(笑)。
八木は美術学部の建築科を卒業しているんですが、建築のおもしろさって動画で表現しづらいんです。それでも、『マイクラ(Minecraft)』を使った違法建築チェックとか、建築をおもしろく伝える企画をよく出してくれますね。
建築系の企画のときは法令集を小脇に抱えてやってくるし、自分のよさを出さなきゃいけないタイミングでちゃんと出すぞ、という精神性もすごくいいです。あと、人間としてすごく優しいけど、怒るのも早い。
真田 怒るときも、友達のために怒ることが多いんです。「なんで俺よりキレてんの?」みたいな(笑)。最後は小松﨑か。彼女はシンプルに絵がうまいですね。
桶家 美術学部のデザイン科に現役で合格してるんですよ。無類の実力がある。
真田 自分が出すクリエイションに関してプライドがちゃんとあるから、企画についても意見がはっきりしている。グッズとか、動画の中で作るものに関してのクオリティも小松﨑が底上げしてくれていますね。
桶家 だから小松﨑に「いいね」と言われると、お眼鏡にかなったみたいな感じでちょっとうれしくなっちゃう。
真田&桶家は「今の専門分野に興味を持つのが遅かった」

──桶家さんは東京藝術大学音楽学部で声楽を専攻されていましたが、声楽に惹かれた理由をお聞きしたいです。
桶家 僕はもともと中学の吹奏楽部でクラリネットを始めて、音楽高校でもクラリネット専攻だったんです。でも、中学生の時点でダンスにも興味があったし、音楽もいろんなジャンルを好きになったので、クラリネットを軸にしていたら、自分の好きなことを全部できないなと思って。
そう思ったときに、歌はどの音楽ジャンルにもだいたいあるから、自分が興味のあることすべてに触れられるかもしれない。そこから歌をちゃんと勉強しようと思って、高3のタイミングで歌科に転科して、東京藝術大学に入学しました。なので、声楽をスタートしたのはけっこう遅めなんです。
──現在はプロの音楽家として活動されていますが、そこまでにはどういう経緯があったんですか?
桶家 歌で食べていくには、熱狂的にオペラが好きじゃないと続けられないなという感覚があって、僕はそこまで熱狂的になれなかったんです。
大学に入ったときにDTMを始めていたので、作曲をするという道もあるなと思って、ボイストレーナーをしつつ作曲の仕事もしていたんです。そうしたらだんだんとCMや映画で使う楽曲制作の依頼が増えてきて、そっちの仕事がメインになっていきました。

──真田さんは東京藝術大学の美術学部芸術学科に在籍されていましたが、どのようなタイミングで東京藝術大学に進学しようと決めましたか?
真田 僕は小さいときからお絵描き小僧で、学校でも一番絵がうまかったんです。でも、それで画家になろうとは思っていなくて。中学受験をして中高一貫校に入学していたし、地方在住だったので美大や藝大を目指す人もまわりにいなくて、高校生のときは京都大学の文学部で美術史とか文化史を勉強しようと考えていました。
京大の自己推薦型の入試を受けるために、何千字かの自己批評を書く必要があったんですが、書き終えた瞬間に「……ちゃうな(違うな)」って。自分は美術史よりも、現代の作家や作品や、自分自身が絵を描くことを通じて物事を思考することに興味があることに気づいたので、高3のセンター試験の時期ぐらいに藝大を受験しようと決めたんです。
友達からは「考え直せ。京大に行くってあんなに言ってたじゃないか!」って言われたんですけど(笑)。現役のときは当然受からなかったので、高校を卒業して単身で上京して、ひとり暮らしをしながら美術予備校に通い始めました。
藝大って夏ごろに、受験結果が返ってくるんですよ。そこでもう箸にも棒にもかかってなかったら、藝大はあきらめて、地元に帰って京大を受験しようと思ってたんですけど、受験結果を見たらギリギリのラインで落ちていたことがわかったので、あきらめずに勉強して、合格をいただきました。
──その時期から、画家を目指していたんですか?
真田 そのときは画家になるとは思ってなかったです。入学した学科はどちらかというと理論寄りの学科ですし、ギャラリー運営とか、学芸員さんとか、批評家になれればいいなと思っていて。
ただ、コロナ禍だったので、大学で学んでいる感じがしなくて。もう一回絵を描き始めて、「学生のうちはいいよね」というテンションで、美術コンペとかグループ展に作品を出し始めたりしてたら、絵が売れて少しずつ稼げるようになったり、コンクールで賞を取ったりしたんです。
それで、収入が増えてきたから開業しなきゃと思って個人事業主になり、個人事業主として稼ぎが増えてきたから法人化して、気づいたら「あれ、画家になってる?」という感じですね。

──おふたりとも、最初から今の道に進むことを決めていたわけではないんですね。
真田 僕と桶家は、外側から自分が今いるジャンルのことを見ていた期間が長いかもしれないですね。
自分のジャンルが社会の中でどういう位置づけにあるかということを考える機会は多かったので、アートゥーン!として動画を出すときに、どうすればおもしろく伝わるかを考えるのは得意なほうなのかもしれない。
──その視点があるからこそ、アートゥーン!の動画に影響を受けて音楽や美術を始めてみようと思う人もいるのではないかと思いました。
真田 僕の場合は、展示会などでアートゥーン!の視聴者の方とコミュニケーションが取れるんですが、動画をきっかけにして、もう一回専門学校に入った人とか、昔やってた楽器をまた始めましたとか言ってくださる方がけっこういらっしゃるので、うれしいですね。
【続きは本誌で!】「美術×音楽は最強」と語る理由とは?

現在発売中の『Quick Japan』vol.185では、本誌でしか読めない真田&桶家のインタビューを収録。「美術×音楽は最強」と語る理由や、MV制作のこだわり、アートゥーン!として活動する上で譲れない“軸”を聞いた。
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