福井俊太郎(GAG)連載「指が輝いてる人はピザ食べた人」第20回【浅草橋×饗 くろ喜×西の川西 東の根建】

文・撮影=福井俊太郎(GAG) 編集=福田 駿


福井俊太郎(GAG)による連載「指が輝いてる人はピザ食べた人」。総武線沿線の旨いグルメを、福井お得意の“決めつけ”を挟み込みながら紹介していく決めつけグルメ連載だ。今回降り立つのは浅草橋駅。ファーストステーション・三鷹から始まり、20回目にして台東区の浅草橋まで到着した福井はそこで本物のグルメに出会ったという。それは紛れもなく「本物の」ラーメン。想起されるのは「優しくて強く面白い」東西の本物芸人だった。

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メモリアルな回こそ基本に忠実に……

どうもぉついにこの連載も指輝界隈では前人未到の20回目の更新、、幼少期に通うお習字教室だって、、20回通えば自然と、、これぐらいの時間を正座するとこれぐらい足が痺れるから立つ時にこれくらいゆっくり立とう、、って想像がつくようになりますからね、、良い意味で安定してきました、、経験は大切ですね、、そして、、20回目だからこその新たな発見もありますし、、今回の発見はこちら、、

浅草橋には、、縦ひらがな看板、、があるんですね、、たぶん他の駅にもあるのだとは思いますが、、私は20回目で初めて気づきましたね、、お笑いを始めた頃にも同じようなことがありました、、舞台に立ち始めて間もない頃、、あるスベり方をずっと続けていて20回目くらいで、、あれ?「このボケを絶対に言おう」と用意していったボケをその場の流れとか関係なく急に言っちゃうと絶対にウケないぞ、、という、、若手芸人あるあるに気づいた日が。。こういう幼稚なボケ方はやめて流れに沿った大人なボケ方をしようと心に決めてから、、その場で何も思いつかず無言で舞台から降りる日が続いたことも今となっては良い思い出です、、

それでは、、恒例の、、OPV(オープニングVTR)の代わりとなるOGP(オープニンググルメピクチャー)を、、チャットモンチーさんの「サラバ青春」が流れているイメージでどうぞ!

♪君とよく行った坂下食堂は どうやら僕らと一緒に卒業しちゃうらしい♪

特別な回だからこそ、、私のような日陰者は常に自分に言い聞かせてます、、浮足立つな、、と、、これは私の人生の鉄則、、慣れないことをすれば必ず失敗する、、思い返せば、、初めて出場した念願の『キングオブコント』2017決勝当日、、いつもの被りなれたカツラではなく、、テレビ局の高級なカツラを拝借させてもらい、、早めにメイク室へ出向き、、とにかくカツラが脱げないようにメイクさんにお願いして、、よし!これで準備は完璧だ!、、と本番にのぞんだのですが、、いざ大切なコントをやる直前の私の感想が、、「こ、こ、こめかみを、、し、締め付け過ぎて頭痛えぇぇ(しゃがみ込むくらい)」でしたからね、、いつもの安っぽいカツラさえ被っておけば、、こんな本番前に、、西遊記の孫悟空が三蔵法師に念じられ頭につけてる輪っかを締め付けられて動きが取れなくなる状態、、にならなくて済んだのに、、あの日、、世界で一番、、孫悟空の気持ちがわかる男は、、ダントツの最下位で大会を終えました、、もちろんカツラのせいではないのですが、、いつもと違うことをして自分の中のベストを尽くせなかった、、と反省した経験を経て、、20回目の指輝で食ベるべきグルメは、、

そばうどん 文殊 浅草橋店さん
文殊さんのかき揚げ蕎麦

立ち喰い蕎麦屋さんでのかき揚げ蕎麦でしょぉぉぉ(低くねっとりした声で)

これこれこれぇぇぇ東京の立ち喰いの名店「文殊」さんの気取らない旨さが体に染みるぅぅぅ(低くねっとりした声で)

麺も弾力があり濃いめのお出汁に沈めて食べるかき揚げに幸福感を感じるぅぅぅお店を出た後はイヤホンしてランダムでチャットモンチーさん聞いて帰るかぁぁぁ(低くねっとりした声で)

♪何でもない毎日が本当は 記念日だったって今頃気づいたんだ 今頃気づいたんだ♪

総武線20駅目の本物ラーメン

浅草橋、、ずっと気になってました、、なぜなら、、元気なうちに一度は行ってみたいと以前から思っていたお店が、、この街に移転されていることを知っていたから、、なので、、久々にこの言葉を使えました、、【絶好の機会】、、人生においてこの、、【絶好の機会】、、を使えるチャンスって何度巡り会えるんですかね、、だって私が使った【絶好の機会】の記憶なんて、、2月22日、、通称、、猫の日、、に一緒に住んでる可愛い猫ちゃんの写真を普段あげるのは恥ずかしいから、、その日だけは思い切って大義名分を振りかざし、、猫ちゃんを自慢できる絶好の機会を逃すまじ、、だけですからね、、猫の日以外で絶好の機会をくれてありがとう指輝、、そして向かったお店がこちら、、

饗 くろ喜さん

饗くろ喜さん、、超絶有名店ですよね、、ラーメン好きなら誰もが知っているお店(何十枚とお店さんの写真を撮りましたが、お客さんの列が途切れないので店構えがほとんど見えずですいません、とにかくそれくらい混んでいます、1時間待ちとか普通みたいです)、、緊張しながら待つこと30分、、席に案内してもらい、、まず目の前に出てきたのは、、

焼売

焼売1個ぉぉぉぉぉ(低くねっとりした声で)

もちろん自分で頼んだのですがぁまずは焼売1個が前菜的に出てくるというワクワク感が良いぃぃぃ(低くねっとりした声で)

味も肉肉しくて旨いぃぃ上に乗っている刻み生姜を一緒に食うとより一層肉の旨みがハッキリとわかるぅぅ(低くねっとりした声で)

食べたら逆にお腹が減るパターンのおかずやぁぁぁ(低くねっとりした声で)

と心の中で叫んでると、、真打が高座へ、、

塩そば

彩が綺麗だっ(レインボージャンボたかお氏のように)

レインボー

手揉み麺をススってみたらススり心地が良すぎて目を見開いたぞぉぉ感覚でお伝えすると大きいプールのウォータースライダーに身を任せているようなぁぁシルクのパジャマを着て寝てるようなぁぁ口当たりがとにかく気持ちが良い状態って感想ですぅぅぅ(低くねっとりした声で)

スープは旨みが複雑過ぎて舌がこんがらがるぅぅ旨いよぉすごい旨いけどぉ今の口の中は何の旨みを味わっているかわからない旨みのマーブルスープゥゥ(低くねっとりした声で)

チャーシューはクラスに頭良過ぎて喋りかけにくいクラスメイトいたでしょぉぉ後々友達に道端で会って聞いたら「あの子東大行ったらしいよぉ」って感じですねぇぇとにかく孤高の存在って感じぃぃ要するに本物ぉぉ全てが本物を目指してるラーメン最高ぅぅ(低くねっとりした声で)

本物のラーメンがあれば、本物の芸人もいる

ハアハアハア、、すいません取り乱しまして、、何が言いたいって、、やっぱ本物は格好良い、、って話です、、私もずっと私なりの本物を目指しています、、そして、、私の周りにも尊敬すべき目指すべき本物がいらっしゃいます(もちろん人によって本物の基準が違うと思いますがあくまで福井基準の個人的な意見ですので悪しからず)、、その方々は、、

川西賢志郎/囲碁将棋 根建太一

【西の川西 東の根建】さんですね、、お二人は間違いなく本物です、、「じゃあさっきも言ってたけど、あなたの言う本物って何なの?」と聞かれたら、、私はこう答えますね、、「優しくて強く面白い」、、これ相当難しいんですよね、、優しいだけの人はたくさんいます、、面白いだけの人もたくさんいます、、強く面白いだけの人もいるし、、もっと言えば、、優しくて面白い人も少なからずいます、、でも「優しくて強く面白い人」ってなかなかいないんですよね、、最後になりますが、、心技面(しんぎめん)が整っているお二人から感じ取った、、優面エピソードをご紹介させてもらいます、、

まず川西さんは、、ツッコミのイメージがあるかもしれませんがボケが異常に面白いです、、ボケるとそれ以降の台詞が3秒ほど聞こえなくなるくらい笑いが起きます、、高速道路のトンネルに入った時くらい一瞬何も聞こえなくなります、、だからあまりボケません、、だってその場にいるボケの人達が萎縮して前に出れなくなるから、、大相撲の力士が小学生の女の子とエキシビジョンで相撲取ってわざと負けるでもなく一生懸命押している女の子を優しい目で一切動かずに見守っている場面ありますよね、、ずっとあの眼差しで微笑んでくれてます、、優しいお笑い力持ちですね、、

根建さんは、、フットマイクという舞台と客席のへりに設置されている決して触ってはいけない大切なマイクがあるんですが、、私がコーナーで無茶をして寝転がってゴロゴロとその上を通っていきフットマイクを剥がして客席に落としてしまうという前代未聞の大事件を起こした時に、、終演後、、私が音響さんに謝りに行ったら「あんなことしちゃダメですよっ!何してるんですかっ!」とキツく叱責されているところに後ろから小声に見せかけたすごい通る声で「福井は悪くねえだろっ!真剣にやった結果だろっ!」とフォローしてくれたんですが、、そこにいる全員が「いや福井が悪いだろっ」と心の中でつっこんだくらい優しくて強く面白いです、、実際にそこに立ち会っていた人達は緊迫した場面なのにその根建さんの狂気のフォローに少し笑っていましたからね、、本物には狂気が宿る、、しかもこれ舞台上の話ではなくて舞台裏の話ですからね、、裏でまで面白いんかいっ、、ですよ、、この言葉に近いグルメ台詞で終わりたいと思います、、

注文した和え玉

くろ喜さん和え玉まで本物なんかいっ!!

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福井俊太郎(GAG)

(ふくい・しゅんたろう)お笑いトリオ・GAGのネタ作り担当。『キングオブコント』では過去4度決勝進出を果たす。2023年から「福井俊太郎(GAG)プロジェクト」始動。GAG活動は「GAG福井」、個人としての脚本・執筆活動などは「福井俊太郎(GAG)」として活動する。低くねっとりとしたボイスが持ち味。

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