「2サイズ小さいレースクイーン衣装を着て“太ももの肉感”を強調しました」『アズレン』レイヤーに聞いたコスプレの“こだわり”

2024.5.13
(左から)ぐぐるさん、癒恋さん、金城臨太郎さん

文・撮影=ソムタム田井 編集=森田真規


世界最大規模のガレージキットの祭典として知られ、2月11日に開催された『ワンダーフェスティバル2024[冬]』で、ゲーム作品のキャラクターに扮するコスプレイヤーたちに“衣装やメイクに対するこだわりポイント”を聞いたレポートをお届けします。

コスプレイヤーに聞いた“衣装やメイクに対するこだわりポイント”

コスプレイベントといえば会場を彩るレイヤーたちの衣装を通して、その時期に旬のアニメやマンガ、ゲームなどを分析できるところも、参加する上での醍醐味のひとつ。2024年も全国各地でさまざまなコスプレイベントが開催され、いずれも大盛り上がりとなっている。

そうしたイベントに興味はあるもののまだ参加したことがないという方に向けて、本稿では今冬から春にかけて行われた大型コスプレイベントをプレイバック。取材時に撮影させてもらったレイヤーたちの写真を掲載しつつ、それぞれに聞いた“コスプレに対するこだわりポイント”と併せて紹介する。

ここでピックアップするのは、世界最大規模のガレージキットの祭典として知られ、2月11日に開催された『ワンダーフェスティバル2024[冬]』に参加していた、ゲーム作品のキャラクターに扮するコスプレイヤーたち。

対戦格闘ゲームの『ヴァンパイア』シリーズをはじめ、『ファイナルファンタジーIX』、『シスター・プリンセス』など、ちょっと懐かしいタイトルのキャラ(に扮したレイヤー)が多く、彼女たちを撮影しようと大勢のカメラマンが長蛇の列を作っていたのが印象的だった。

そのほかにも、『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するイナリワンの和装コスプレ、『アズールレーン』に登場するセントルイスのレースクイーンコスプレといった、こだわりの光る衣装を着こなす参加者も大勢いて、終了時間ギリギリまで撮影や交流を楽しんでいる姿が各所で見られた。

「モリガンといえば、なんといっても翼が特徴的なキャラクターなので、それを活かしたポーズのパターンをいろいろと考えてきました。髪色が明るめなので、それになじむメイクにしたこともこだわったポイントです」(『ヴァンパイア』シリーズ モリガン・アーンスランド/ぐぐるさん)

『ヴァンパイア』シリーズ モリガン・アーンスランド/ぐぐるさん
『ヴァンパイア』シリーズ モリガン・アーンスランド/ぐぐるさん

「10年以上前にもやったことがあるコスプレなんですけど、今の技術ならよりクオリティの高い衣装を用意できると思って、再挑戦してみました。もともとのキャラデザインを大事にしつつ、その上で手や耳などのパーツはリアルな猫ちゃんを意識して制作しています。特に猫足ブーツは力作で、まずは厚底ブーツにスチレンボードで土台を作り、そこにファーを貼るなど地道な作業を続け、2週間かけて用意しました」(『ヴァンパイア』シリーズ フェリシア/すぅさん)

『ヴァンパイア』シリーズ フェリシア/すぅさん
『ヴァンパイア』シリーズ フェリシア/すぅさん

「和要素をモリモリにしたくて、古い着物をリメイクするかたちで衣装を制作しました。法被のグラデーションも脱色剤できれいに出せてよかったです。帯は前後の両方にポイントがあって再現が難しかったのですが、いろいろ試して、なんとか帯を切らない結び方で表現することができました」(『ウマ娘 プリティーダービー』イナリワン/白瀬りのさん)

『ウマ娘 プリティーダービー』イナリワン/白瀬りのさん
『ウマ娘 プリティーダービー』イナリワン/白瀬りのさん

「レースクイーンの衣装ということもあり、身体にぴったりなサイズ感にしたくて、いつもより2サイズ小さいものを用意して、太ももの肉感と身体のラインがはっきり出るようにしたのがポイントです。実は『ワンダーフェスティバル』の直前までハワイに行っていたのですが、焼けないように白肌をキープしてきたこともこだわったポイント……といえるかもしれないですね」(『アズールレーン』セントルイス/癒恋さん)

『アズールレーン』セントルイス/癒恋さん
『アズールレーン』セントルイス/癒恋さん

「数年前のイベントでも着たことがある衣装なんですけど、よりクオリティを高めたくて全体的に作り直しました。ウィッグは以前のものよりもツインテールを細く、長くして、色味もより原作に近づけたかったので、ネットで探しまくってぴったりなものを購入。そこからさらに手を加えて、この形に仕上げました。ツインテールの位置もイラストと照らし合わせながら調整して忠実に再現。それと咲耶は大人びた性格ですが、まだ中学生のキャラクターなので、若い子向けのメイク動画を参考にしつつもケバくならないように気をつけています。それでもしっかりメイクした顔になるように、あれこれ試行錯誤しながら、コスプレメイクの方向性を考え出しました」(『シスター・プリンセス』咲耶/海音さん)

『シスター・プリンセス』咲耶/海音さん
『シスター・プリンセス』咲耶/海音さん

「『FFIX』特有の頭身の低さを再現したかったので、ウエストの位置が高く見えるようにベルトを胸のあたりに持ってくるなど、全体的に大きめのサイズ感で衣装を作成しました。大きなズボンは丸みを出すために、中にワイヤーパニエを履いてふくらませています。衣装に使う布は真っ白のものではなく生成りにしたり、スエードやベッチンといった起毛の生地にすることで、原作ゲームの優しく柔らかい雰囲気を表現できるよう意識しました。武器はビビの初期装備である“魔道士のつえ”なんですけど、木のような質感を出すため、ヤスリで表面を削ってザラザラにしたり、グルーガンを使って凸凹を作るなど、いろいろ手を加えてこちらの形に仕上げました」(『ファイナルファンタジーIX』ビビ・オルニティア/金城臨太郎さん)

『ファイナルファンタジーIX』ビビ・オルニティア/金城臨太郎さん
『ファイナルファンタジーIX』ビビ・オルニティア/金城臨太郎さん

QJWebでは5月以降も、全国各地で実施されるさまざまなコスプレイベントに取材参加し、リポート記事を作成していく。連載形式で順次アップする予定なので、こちらもご期待いただきたい。

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ソムタム田井

(そむたむ・たい)ライター兼カメラマン。コスプレ文化の研究家として、『ORICON NEWS』『まんたんウェブ』『WebNewtype』『ファミ通.com』『Movie Walker』など、多数のWEBサイトや書籍に寄稿。コスプレイベントの企画やキャスティングを担当しつつ、世界コスプレサミット『Co..

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