JO1、ついにたどり着いた単独ドーム公演。京セラドーム大阪で見せた“プロのJO1”としての風格

2023.12.24
『2023 JO1 2ND ARENA LIVE TOUR ‘BEYOND THE DARK:RISE in KYOCERA DOME OSAKA’』より (c)LAPONE Entertainment

『2023 JO1 2ND ARENA LIVE TOUR ‘BEYOND THE DARK:RISE in KYOCERA DOME OSAKA’』より (c)LAPONE Entertainment

文=坂井彩花 編集=森田真規


2023年11月24日、グローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」は京セラドーム大阪のステージに立っていた──。

コロナ禍の2020年3月4日にデビューし、無観客でのライブを重ねて経験を積み、さまざまな苦難を乗り越え、彼らはついに“単独ドーム公演”を達成した。

デビュー前の2020年2月に開催された『JO1 1ST FANMEETING』をパシフィコ横浜で観覧し、コロナ禍の彼らの活動も追いかけてきたライターの坂井彩花が、『2023 JO1 2ND ARENA LIVE TOUR ‘BEYOND THE DARK:RISE in KYOCERA DOME OSAKA’』の初日、11月24日の公演の模様を4年間の歩みとともにレポートする。

京セラドーム大阪にこだました河野純喜、3年越しの叫び

「JAMどこだー!!」

河野純喜のパワフルな声が響き渡ったのは、11月24日に京セラドーム大阪にて開催された『2023 JO1 2ND ARENA LIVE TOUR ‘BEYOND THE DARK:RISE in KYOCERA DOME OSAKA’』でのことだった。

何を隠そうこの呼びかけは、2020年12月に開催された『JO1 1st Live Streaming Concert「STARLIGHT」』で、観客の入っていないステージに立った河野が画面越しのJAM(JO1のファンネーム)に向かって叫んだもの。あのときは声色を変えたメンバーが「ここだよ」と言うしかなかったが、ひとつの会場に集えるようになり、声出しも解禁された今は違う。約3年の時を越え、「京セラだー!」と叫び返すJAMの声がドームを満たしていた。

さらに、この3年間でJAMの客層はグンと広がった。2020年2月に開催された『JO1 1ST FANMEETING』のときは、国民プロデューサーとして『PRODUCE 101 JAPAN』から彼らを応援していた女性が多い印象だったが、今回は成人に満たない子供の姿もちらほら見えた。曲間ではメンバーの名前を叫ぶ男性の太い声が多数聞こえてきたほどだ。デビュー直後の大事なタイミングでコロナ禍に突入し、苦難の時を強いられてきたにもかかわらず、JO1は多岐にわたる活動で確実にファンを増やしていたのだ。

もちろん、パフォーマンスもドーム公演をするアーティストに恥じないクオリティだった。8月から10月にかけて行われた6都市13公演にわたるツアーでは、全27曲を披露していた彼らだが、京セラドーム大阪の公演に向けて31曲へ拡充。しかも、ただ曲数を増やすのではなく、今年9月に発売された3RDアルバム『EQUINOX』の収録曲や直近のリリースを交えて組み直したほか、新たなプログラムとして昇華したのである。

歌、ラップ、ダンス、すべてのパフォーマンスでJAMを魅了

ステージ上に設置された大きなスクリーンが左右に開くと、緊張と高揚を織り交ぜた堂々たる面持ちでJO1が登場。「SuperCali」で華やかなオープニングを飾った。生バンド編成のライブであっても11人の歌声がよれることはない。時にはドスを利かせ、時には妖艶に声を香らせ、歌だけでも魅了していく。ダンスブレイクのサビで圧倒する「Rose」、川西拓実が余裕しゃくしゃくなフロウをかます「Trigger」と繰り出し、一気に自分たちの土俵へ引き込んでいった。

最初のMCでは、メンバー一人ひとりが自己紹介。前述した河野の呼びかけがあったのも、このタイミングである。憧れていたドームの舞台に立ち、観客席を端から端まで見渡す11人の視線は、すでに多幸感に満ちているようだった。川尻蓮が「みんな、本当にがんばったら声が届くからね」と焚きつけると、オーディエンスからブワッと声援があふれ出た。それを聞いた川尻は、にっこりして「そういうこと」と口角を上げた。

「Comma,」の2番では、メンバーがセンターステージへ移動。花道で一列に広がり、四方八方を向きながらステップを踏む彼らの姿は、統率が取れていてとても美しかった。「Fairytale」では、炎の巻き上がる演出が情熱的な表現をあと押しした。いずれの楽曲においても、パフォーマンス中の集中力が一瞬たりとも途切れることはない。自分がセンターで踊っていない捌けているタイミングでさえ、曲の流れを感じていることが佇まいから見て取れた。

風の音がザワザワと鳴りVTRに移るかと思われたが、なんとここで川尻と白岩瑠姫のユニットによる「Fairytale Epilogue」を投下。ダンサーを引き連れ、アイマスクやテープといった小道具も使いながら、年長メンバーだからこその色気あふれる妖艶なステージングを展開した。

ふたつ目のセクションは、木全翔也&大平祥生&鶴房汐恩による「We Can Fly」からスタート。かわいらしさもあるツアーのためのオリジナルナンバーは、茶目っ気たっぷりな3人にぴったりだ。三者三様のラップスキルで魅せ、ハンズアップで会場を盛り上げていく。

「Run&Go」につながれると、衣装チェンジをした11人が勢ぞろい。さっきまでとは一変して、キラキラとした笑顔を輝かせる。「NEWSmile」では、豆原一成が大平にハグをしたかと思えば、與那城奨は河野をお姫様抱っこ。メンバー同士でじゃれ合いながら、素顔をのぞかせた。

大平・與那城・金城が出演している映画『OUT』の主題歌「HIDEOUT」、そして「RadioVision」の2曲にわたってラジオを模したトロッコに乗り、サインボールを投げながらアリーナ席をぐるっと回っていく11人。川西・豆原が野球で培った肩の強さを活かした全力投球を見せる一方、佐藤景瑚はボールにキスをしてから軽やかにスロー。そういった個性をのぞかせながらも、JAM一人ひとりと目を合わせようとする姿勢はメンバーの中で共通していた。

前奏が鳴り、特大の歓声が鳴り響いたのはアルバムに初収録されたダンスユニット曲の「Itty Bitty」だ。それぞれの表現を余すことなく味わえて、なおかつフォーメーションのおもしろ味も感じられるのは6人組ユニットならでは。雄々しい艶を香らせながら、ヒップホップチューンを乗りこなしてみせた。本来であればEDMの「Eyes On Me(feat.R3HAB)」もバンドサウンドになると、より腹の底からエネルギーがみなぎる一曲に。お祭りムード満載のダンスパートでは、インド映画のダンスシーンを彷彿とさせるような場面もあった。「OH-EH-OH」で凛々しい視線を飛ばし、前半パートの幕が閉じた。

『2023 JO1 2ND ARENA LIVE TOUR ‘BEYOND THE DARK:RISE in KYOCERA DOME OSAKA’』より (c)LAPONE Entertainment
『2023 JO1 2ND ARENA LIVE TOUR ‘BEYOND THE DARK:RISE in KYOCERA DOME OSAKA’』より (c)LAPONE Entertainment

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坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

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