京セラドーム大阪が一体となったシンガロン
続いて繰り広げられたのは、金城碧海・河野・與那城による「Voice(君の声)」の歌唱から始まるバラードセクション。リフトアップされたステージの上で歌う3人は、ひとつ残らず伝えたいことを詰め込むように言葉を紡いでいく。うしろに映し出された映像と重なると、まるで海の上に佇んでいるかのようだった。
残りのメンバーも合流し、「Gradation」「Romance」と力強いナンバーが続く。そして、これまでの本ツアーでは披露されなかった「Prologue」へと導かれた。大平は「JAMのおかげで今のJO1があります。JAMがつらいときは、僕たちに支えさせてください」と告げ、さらにオーディエンスの涙を誘う。『JO1 1st Live Streaming Concert「STARLIGHT」』で、「正直、つらいことのほうが多かった。だけど、こうやってがんばれているのはJAMのみなさんとメンバーのおかげです」と話していた当時の彼とはもう違う。思いやりを持った温かな心はそのままに、アーティストとしての器を幾重にも成長させてきたこと、このひと言がそれを物語っていた。
しんみりした空気も束の間に、「Venus」が投入されて会場の雰囲気が一変した。エネルギッシュなナンバーは、迷わないで進んでいく11人の決意を感じさせた。いつまでもJAMと歩んでいく、もうけっして希望は消えない、そんな想いを楽曲に乗せて伝えようとしているかのようだった。
直後のMCでは、ファンのお願いを叶えるコーナーが実施された。選ばれたJAMから「『DOMINO』が見たい!」と声が上がると、與那城が「じゃあ、11人並んで倒れましょうか」と提案。佐藤が大平の肩を抱きながら「でも、僕たち『DOMINO』落ちたんですよ」とおちょけるひと幕も。ドミノ倒しあとには、豆原が「何がおもろいねん、これ!」と特大のツッコミをかましていた。
ボーカルユニットによる「Mad In Love」では優しく爽やかな歌声が響き、豆原の変顔から始まった「With Us」では京セラドーム大阪が一体となってシンガロン。メンバーが客席にマイクを向けるたびに声が大きくなっていく光景は、デビューから着実にファンを増やしていった彼らの軌跡を見ているかのようだった。
ついに“ドーム単独公演”を達成
川西・佐藤・豆原のユニットによる「Breaking The Rules」から、いよいよライブもラストスパートへ。このドーム公演のために作られたラップで川西が気だるげに<立ちたかった京セラで遊びまくる>とフロウしたかと思えば、仲よく仮面ライダーの変身ポーズを見せるなど、無邪気な3人らしい伸び伸びとしたステージを作り上げた。
サイケデリックな世界観が冴え渡る「Algorithm」、ラップとボーカルの表現の幅で魅せた「Walk It Like I Talk It」、着実な成長を刻みつける「Speed of Light」とアグレッシブなナンバーを連投。「YOLO-konde」では花火と炎も立ち上がり、まさしく華々しいラストを演出していた。
最後のMCでは、「箱がデカくなっても、みんなのテンションは変わらないね。広いはずなのに、めちゃくちゃ声が聞こえてくるし!」とうれしそうに微笑む木全。軽やかにバンドメンバーの紹介を終えると、最後の曲である「Tiger」へとつないだ。誰かに促されなくとも、自然と巻き起こるかけ声。みんなでライブを作り上げ、貫禄ある本編ラストを飾った。
アンコールでステージに呼び戻されたJO1は、気球に乗って再登場。「We Good」と「Touch!」を歌いながら、会場を空からグルッと回った。MCでは「楽しかった!」「夢は叶います!」と、駆け抜けてきたライブの感想を口にする11人。その言葉には、夢の中を生きているような浮遊感と確実に成し遂げたという確信のどちらもが内包され、この日にしか放たれないであろう感動が渦巻いていた。2023年11月24日、JO1は“ドーム単独公演”を経験したアーティストになったのである。
写真撮影のタイミングでは、オーディエンスが「夢は叶った JO1が輝くこの瞬間 永遠にJO1といたい」と書かれたスローガンを掲げるサプライズも。リラックスしたムードで「僕らの季節」をパフォーマンスし、アンコールを締めくくった。
いつものライブならここで終幕になるのだが、この日はまさかのWアンコールが行われた。デビュー曲の「無限大」を歌いながら、ステージの端々までメンバーが散っていく。会場の明かりが点いているためいつもよりJAMの顔が見えているようで、一人ひとりをしっかりと目に焼きつけようとする11人の姿が印象的だった。
最後の最後には、河野の「やりたいことがあるんです」という宣言により、JO1を中心としてみんなで円陣を組むことに。直接的に手は触れ合っていなくても、あの瞬間、何万人もの心がたしかに重なり合っていた。そして、深々と礼をしたJO1のメンバーたちはステージをあとにした。
“プロのJO1”としてさらなるトップへ
時としてアーティストは、実力に見合わないステージに立つと箱に食われてしまうことがある。音が会場の奥まで届ききらなかったり、スペースが余っているように見えてしまったり、「まだ早い」という現実をまざまざと突きつけられる。しかし、京セラドーム大阪に立つJO1には、そんな印象がまったくなかった。むしろ、もっと大きな会場でもこなせる風格を感じたほどである。
2020年2月に開催された『JO1 1ST FANMEETING』では、とても初々しい印象を受けた。パフォーマンスの出来というより、放っている空気がオーディションに受かったばかりのグループであった。どんな速度で成長していくのだろうとこのとき思ったものだが、まさかここまで早かったとは……。
しかも、その成長に費やされた多くの時間はほとんどがコロナ禍である。パフォーマンスの反応を直に感じることができない。自分を応援してくれている人と直接会うことができない。そんな状況下にもかかわらず、JO1の11人は魅力的な表現者として磨かれてきた。
結成から4年弱という月日を経て、彼らはしっかりと“プロのJO1”になっていたのである。制限された状況でもこれだけの飛躍を見せてくれたのだから、今後の彼らもそのアーティシズムにより磨きをかけ、多くの人々を魅了してくれることだろう。さらなるトップを目指し、夢を実現していく姿が今から楽しみでならない。
先日、JO1が誕生するきっかけとなったオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON1』のコンセプト課題曲だった2曲「DOMINO」「Black Out」をJO1メンバー11名で新たに歌い直し、「JO1 ver.」としてのデジタル配信がスタートした。
この2曲を含めて2023年には10作ものシングルをリリースして、さらに9月には3RDアルバム『EQUINOX』も発表。世界的なDJ兼プロデューサーのR3HAB(リハブ)とコラボしたEDM「Eyes On Me(feat.R3HAB)」では「イヴ・サンローラン・ボーテ」と華々しくタイアップして、白岩が主演を務めた映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』では「Gradation」が主題歌になるなど、疾風怒濤のデビュー4年目を送ってきたJO1。
そして、“初の単独ドーム公演”から1カ月が過ぎ、12月30日に『輝く!日本レコード大賞』(TBS)ではトラップビートのアッパーチューン「Trigger」を、大みそかの『NHK紅白歌合戦』ではセルフプロデュースしたポップチューン「NEWSmile」を披露する。歌やダンス、ラップはもちろん、MCも11人全員でこなすJO1が、激動の一年の締めくくりとしてどんなパフォーマンスを見せてくれるのか期待して待ちたい。
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