M-1王者ミルクボーイ独占インタビュー【前編】M-1がなくなり道を失った

2020.1.15


優勝賞金を持って曙町へ

駒場 落研の同級生は3人しかいなかったんです。そのうちのひとりが最初にコンビを組んでたやつで、もうひとりは落研なのにあまりしゃべらないやつ。残りは内海だけだった。

内海 僕が6月に落研に入って、すぐに駒場から「7月に大学の教室を借りてやるから、漫才やらへんか?」と誘われたんです。ほぼぶっつけ本番くらいの感じだったのに、なぜかウケまして。

駒場 ウケは最初からよかったよな。当時は、自分たちの笑いのグラフを作って、横軸がボケ数で縦軸を笑いの点数にして、毎回分析してましたね。

内海 どんな服着てやったとかもな。でも、今みたいなしゃべくり漫才ではなくて、コントもやってましたね。初舞台は漫才でしたし、インディーズライブのオーディションで初めて受かったのも漫才だったんですけど。とにかくいろいろ試してた時期でした。
2005年の年末、4回生の先輩がインディーズライブに出てたので、そのツテで一度だけ「ジンウォッカ」というコンビ名で出演しました。その後はずっとミルクボーイとして活動してます。全然しゃべらん同級生とトリオもやったりしましたね。
その年の新入生歓迎会で、大阪芸大に入学してきた、のちの「ななまがり」(吉本興業所属/2016年「キングオブコント」ファイナリスト)のふたりが僕らのネタを観て、「一緒にやりたい!」と落研に入ってくれました。彼らはその後コントをやり始め、インディーズライブでもすぐに結果を出すようになるんです。まわりからも「大阪芸大のななまがりすごい!」と評判になって。その時、正直悔しいという気持ちはあったんですけど、まだ「お笑い芸人に絶対なりたい」という覚悟はなかった。だからこの先もずっと、駒場とふたりでやっていくのかどうかさえ考えていなかったです。

一方駒場は、お笑い芸人を目指す志を持ち続け、大学卒業後すぐにNSCに入学しようとしていた。NSCに入る以外に、芸人になる道がわからなかった。しかし、翌2006年、彼らの人生が少しだけ動く。

内海 そんなとき、2006年に「大学生M-1グランプリ」でミルクボーイとして優勝するんですよ。

駒場 当時、大学生の中でお笑いが結構盛り上がってたんです。でも、ちょっと賞金をもらったのはうれしかったけど、全国にはもっとすごいやつがいると思ってたんで、少し拍子抜けもしました。

内海 まわりがあんまりおもんなかったので、最初からいけるかなと思ってました。浅井企画の方にハマって、坂上二郎さんのキーホルダーをもらいました(笑)。その後、優勝特典でルー大柴さんのライブに出させてもらいましたが、そんなにウケずでしたね。あ、その日の夜に初めて風俗に行きました。

駒場 風俗情報誌の『シティヘブン』買ってな。

内海 大学生M-1の優勝賞金持って、横浜の曙町をぐるぐる回って1軒入って、カラオケで寝てから翌日もう1軒別の店も行ったな。

駒場 あそこはよかったな。『シティヘブン』がもうクタクタになってた(笑)。

2020年1月4日、大阪・なんばにて収録

ふたりは勢いに乗り、翌2007年には遂に吉本興業のライブのオーディションに受かる。大学を卒業してそのままNSCに入学していたら大阪NSC31期生(インディアンス、他)のはずだったが、彼らは結局入学することはなかった。すでに吉本のライブに出演していたから、NSCに入学する必要がなかったのだ。しかし、ミルクボーイは現在、なぜか大阪NSC27期生(GAG、他)として扱われている。それには彼らも納得がいかない。

内海 27期生って2004年NSC入学組やけど、僕らは当時、大学の教室で漫才やってただけなんで(笑)。駒場なんてその頃、普通に当時の彼女と一緒に吉本の若手芸人の劇場「baseよしもと」へお客さんとして観に行ってたよな。

駒場 うん。それやのに27期生と言われてるのは腑に落ちない!

大学4年生のころにはお笑いライブのオーディションにも受かり始めていたから、ふたりは一般的な就職活動もすることはなかった。ライブで気の合った芸人たちとも遊ぶようになり、いつの間にか吉本の芸人となっていた。2008年3月大阪芸術大学を卒業し、芸人・ミルクボーイが本格的に始動する。

(次頁「M-1が終わり、お笑い界の空気が変わる」につづく)


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