写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJWebカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
青汁ハイに教わったこと
第70回。
青汁ハイ。
矛盾を醸す一杯。
疲れた身体に流し込むビールの快感より、身体を壊す罪悪感のほうが高まったときに現れるどっちつかずのドリンク。
乳酸菌が何万個と入っていることを謳い、健康へのアプローチを盛り込む安心なキャッチコピーに全体重を預け、これならいくら飲んでも大丈夫だろうと自制できているのかできていないのか、そんな曖昧な愚行をたまにおかす。
結果、普段より3、4杯ほど多く飲んでしまう。
胃腸の弱い私の体内に冷たい液体を何杯も注ぎ込むことは、次の日に訪れるグロッキーを約束していて、取り入れた乳酸菌は吸収されることなく上から下へ受け流されるのが毎回のオチである。
それならば最初の1杯だけはビールを頼み、あとは2杯ほどのワインなどで終えるほうがよっぽど身体と向き合う大人な抑え方を実践できている気がする。
健康というのは何かの有効的な成分に頼り、怠けたツラでそれを取り込んだところで精神のコントロールができていなければ、きっとそれは反映されないのだ。
怠けるということがなによりもの害ということをいつもこの飲み物は教えてくれる。
「まずい、もう一杯」
CMで流れていた青汁の神フレーズは青汁ハイに変わるとだいぶまずいことになるのであった。
中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ、東啓介、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。