若林が『あちこちオードリー』で気づいた漫才師とコント師の違い

オードリー

文=てれびのスキマ イラスト=おさく 編集=梅山織愛


テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『あちこちオードリー』(8月9日放送)

ゲストはウエストランドと男性ブランコ。「チャンピオン史上初めてネタに定評がない」と嘆く井口だが、そのネタでイジっていたのは「誰っていうことはないですけど、ほぼほぼ男性ブランコ」だと笑う。確かに「単独ライブの最後に20分の長尺コントをやる」「チラシのことをフライヤーと呼ぶ」(「キービジュアル」とも呼ぶと平井)、「ネタにメッセージ性を持たせる」(平井「メッセージというより伝えたいこと」)など該当する部分ばかり。

『ゴッドタン』でも言っていた「ほっこり終わり」も彼らのコント『授業参観』だと明かす。男性ブランコの単独ライブのタイトル『やってみたいことがあるのだけれど』にも「文章がけっこうキツい」と笑う井口。「オードリーさんがやってた『漫才米騒動』なんて最高じゃないですか。そのダサさ!(笑)」。

井口は男性ブランコの単独が開催される「横浜と京都」という場所のチョイスにもツッコミを入れる。そもそも同じお笑い芸人とはいえ、目指している方向が違うのだから、井口のそれは難癖でしかないのだけど、その過剰なまでの舌鋒の鋭さがおもしろい。実際のところ、井口も男性ブランコまでいけばいいと認めるが、若手が背伸びし「リトル東京03みたいなやつがいっぱいいる」と苦虫を噛み潰したように言う。

そんな話を聞きながら、『あちこちオードリー』をやっていて気づいたことがある、と若林「世界観のあるコント師の方ってべらべら自分のことしゃべらないよね。俺たちってちょっと腹立ったらべらべらしゃべっちゃう(笑)」。

河本は「おもしろい=ヤバいヤツ」と考え、まじめにやったほうがいい場面で突拍子もないボケをやってしまうため仕事が来ないという。本当はヤバいヤツではないため「ビジネスサイコ」と河本が自称すると、すかさず浦井が「ビジネスになってない」とツッコむ。井口との絡みだけでなく意外にも相性がいいウエストランドと男性ブランコ。最終的に若林が河本のことを「ボランティアサイコ」と分類したのが可笑しかった。

あと、優勝したため事実上、賞レースを卒業した井口が「いいネタができたときに持っていく場所がない」というこれまであまり聞いたことがなかった悩みを明かしていたのが新鮮だった。

『アメトーーク!』(8月10日放送)

1年ぶりの「ダチョウ倶楽部を考えよう」。今回からマシンガンズ西堀も参加。ふたりになって「仲よくなった」というダチョウ倶楽部だが、今回はいつも以上にジモンが饒舌。自分の理想体重や「食べ込み」が大事とグルメの話をしたり、話が止まらない。それを「遠くを見て」やり過ごす肥後。

それは「2人だけでドライブしたら?」という企画でも。「今日のジモンは上機嫌」というナレーションに有吉「ヤバいね(笑)」。

今回はジモンがアテンドするのだが、朝食を買いに行くも、調理に「30分かかる」と言われてしまう。「じゃあいい」という肥後だが、食べさせたいジモンは引かず、待つことに。ジモンを待っている間、「ジモンとロケ行くとさ、こういうことになるんだよ、バカだからアイツは」と呟く肥後。

そうしてたっぷりご飯を食べたわずか1時間半後、今度はハンバーガー屋に。肥後が食べている姿をうれしそうに眺めるジモン。しかし、お腹いっぱいでキツかったと明かす肥後にジモン「食べ込みが甘いよ(笑)」。

凸凹コンビっぷりがやっぱりおもしろい。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2023年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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