スピードワゴン小沢節が冴え渡る「生放送でやるなら、噛まなきゃ意味ねぇだろ」(あちこちオードリー)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『あちこちオードリー』(7月19日放送)

「しゃべり出す前からお腹いっぱい」と若林が言うベッキー、スピードワゴン、やす子のメンバーで「芸能界が生きやすくなる参考書を作ろう!」。

今回は特に小沢の教訓がとても小沢らしくて光っていた。「子供のころ、思い描いてたのはもっとロックスターだった」という小沢の最初の教訓は「キャラは自分が作るんじゃなくまわりが作る」。思えば、2015年の『アメトーーク!』「小沢という変人」がきっかけとなり、現在のキャラができ上がった。井戸田はそういったキャラを当然以前から知っていたが「俺は光を当てなくて、蓋してた。俺はこれを闇だと思ってた。でも違った。逆だった。そこにスポットライトを当てたら、小沢はもっと輝く」と語る。

やす子も3回目のテレビ出演だった『サンジャポ』で「はいー」というテロップを付けられたことで、そこから「はいー」を自分のギャグにしたそう。

小沢のもうひとつの教訓は「呼んだほうが悪い」。「小沢呼んだらどうなるか、うまくいかないこともわかって呼んだんでしょ」と。もちろん反省もするが、過度な反省をしないための考え方なのだろう。さらに小沢は「編集してもらえる以上、何やったっていい。逆に生放送は失敗したほうがいいとすら思う」と語る。「僕の大好きな甲本ヒロトさんの話していい?」と彼らしい言い回しで切り出し、野外ライブでどしゃ降りになったとき、ヒロトが言った「せっかく野外でやるんだから、雨ぐらい降らなきゃ意味ねぇだろ」という言葉を紹介した上で、ロックスターのように言うのだ。「生放送でやるなら、噛まなきゃ意味ねぇだろ」。

小沢節が冴え渡ったザ・小沢劇場でおもしろい。最後こそグダグダになってしまうが小沢「呼んだほうが悪い(笑)」。

『水曜日のダウンタウン』(7月19日放送)

特別企画「芸人結婚ババ抜き」。小峠、森田、岡野、菅、もう中、酒井、ワタリ、チャンスの8人の中から、本当に結婚する芸人をダウンタウンのふたりが予想するというもの。浜田「なんでそんなことせなあかんの?(笑)」。

出会いや結婚の決め手、プロポーズの言葉などを聞き、各ひとりずつウソだと思う人を挙げて落としていく。「野呂佳代」という説得力のあるディテールを入れた森田らしい話や、口笛をやりたいだけなんじゃないかというチャンス大城は、早々にウソだろうなと思ったらやはり。が、口笛教室だけは「本当」という意外性もおもしろい。

この中で知名度的に一番低いワタリがいて怪しさを醸し出していたりキャスティングも絶妙。始まる前は、岡野あたりかなあと予想していたらタワマンでの同棲の話が出てこないから違うのかなと思ったり、『キングオブコント』優勝から10年は自分のためにお金も時間も使うと決めていたが、10年経って結婚も抵抗がなくなったと、以前『不夜城はなぜ回る』などで話していたのとまったく同じことを言っている小峠の信ぴょう性が高く感じたりと、やはりこれまで芸人のトークを聞いていればいるほどおもしろい。もう中はいつもどおり、変な角度から話しているけど、それがボケなのかわからないところがスゴい。

最後に残った小峠と酒井にダウンタウンがフリーの質問。松本が酒井に彼女の本名を聞くととっさに「絶妙にウソ臭い名前」を答える酒井。「なんなん?」「ちゃんとせえ!」と一斉にツッコミ。「俺が悪いのか?」と頭を抱える松本。いよいよ発表となるが「視聴者ドキドキしてるのか?」と森田が言うように、もはや完全に酒井はウソだろうという流れ。

しかし、本当に結婚するのは酒井。松本の質問が結果的に大きな驚きを生む展開が神がかっていた。それにしてもこの企画だけではなく、しっかり次の説まで用意している周到っぷりがやはり『水曜日』という感じがする。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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