レッツゴーよしまさが“志村けんのものまね”を始めたピュアな理由(アンタウォッチマン!)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『アンタウォッチマン!』(4月18日放送)

「素の志村けん」をはじめとするドリフものまねで一躍脚光を浴びた、レッツゴーよしまさを特集。普段はサラリーマンで、この日も有給を取って収録に参加。あと15日ほど残っているそう。

幼少期からドリフ好きで、親に録画してもらったドリフ(特に志村)の番組を擦り切れるほど観て、実際に擦り切れたそう。

そんな彼が中学2年のとき、志村が出演したCMを録画するためにものまね番組を録画するという“オタクあるある”をきっかけにものまね番組を観て、そこに出ていたなかじままりに衝撃を受けてどっぷりものまねにハマり、自分でもやってみるように。

彼がやったものまねは、同世代の人たちから「知らねーよ」と言われるような古い昭和歌謡ばかり。「これも志村さんの影響なんです。志村さんのコントって、昭和歌謡、演歌、フォークソングを題材にしたコントが多かった」と。

しかし、よしまさにとって、志村とものまねはそれぞれ別の好きなこと。結びついてなかったそう。

しかし、2020年に志村が急逝したことで、志村愛とこれまで培ってきたものまねスキルがついに結びつく。「亡くなって新しいコントが観られないと思ったときに、あまりにも悲しくて、もしご存命だったらどんなコントをやっていただろうと想像した」と。

そこで、アマビエを題材にしたコントを志村、加藤、いかりやでやってみようと急に思い立つ。すると、特別な練習などもせず「3人ともものまねできた」。

その日のうちに「もしもこんなアマビエがいたら」というコントを作り、YouTubeにアップしたという。これがもうすでに絶品。

「収入源がなく、ものまねだけだったらきっと無理して最近の人の曲を覚えて売れなきゃっていう気持ちでやらざるを得ない。のびのびと好きなことをしたい」と、好きなことに集中するためにものまねを本業にせず、会社員をつづけているよしまさ。一つひとつの行動原理がすべて「マニア」のそれで、芸能界の中では異質になるのがおもしろい。

「ご本人と会えなかったんだよね」と言われると、「それを考えると泣きそうになっちゃう」と涙ぐむよしまさ。きっと存命のときに彼がこのものまねをしていれば、共演する機会もあっただろう。けれど、それは叶わなかった。

あくまでも志村を観るのが好きだったからものまねの対象ではなかったというのが、皮肉というか、ピュア過ぎてスゴい話だなと思った。よしまさ「会えない運命だったのかもしれないです」。

『あちこちオードリー』(4月19日放送)

ゲストは、ホラン千秋とコロチキという「ハッキリものを言っちゃう人たち」。

NSC時代、入学当初はひとり年上だったこともあり「ヒデさん」と慕われていたナダル。

しかし、能力別クラス分けで、西野が「A」クラスに選抜されたのに対して、最低の「C」の中でも最下層の「C4」に。「いっちゃってる!」のギャグが大好きな春日が、「C4のヒデさん」とおもしろがって繰り返し言っていたのが可笑しかった。

クズではなくピュアに思ったままに言ってしまい、先輩に怒られてしまうというナダル。YouTubeの仕事のときにやる気がなかったと指摘され、仕事の質で優劣つけていると若林に責められると「言いますけど、ラジオのとき、本気でやってますか?」。

ラジオこそ大事にしているオードリーに聞いてしまうのがいかにもナダル。もちろん若林の答えは「ラジオのほうが本気でやってるくらいの気持ち」。

仕事の質でやる気が出ないときがあるなど、思っていても、普通は言わないことを言うところは終始一貫しているナダルに、若林「一貫性はあるよ。良いか悪いかは別にして(笑)」。

クズ芸人が好きというホラン千秋が、ナダルの心情に報道番組のように的確に切り込んでいくのもよくて、意外な組み合わせの化学反応がよく出ている回でおもしろかった。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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