松本人志が「お前らやってくれたな!」と叫ぶ狂ったコント満載だった『キングオブコントの会』(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『キングオブコントの会』

第3弾となる今回も「日本一豪華なコント番組」というにふさわしい布陣。オープニングでは松本が「三村さん、去年のコント、おスベりされて」と、コロチキ作のコント『伏線回収業』を振り返ると、「コロチキいねぇじゃん!」「噂では一番スベったチームは外される」と笑う三村。

やはりこの番組でいいのは、誰がネタを書いたかがはっきり明かされること。誰に何をさせるか、それぞれの嗜好やこだわりが反映されていて興味深い。

今回行われたコントと出演者は下表のとおり。

キングオブコントの会2023

その多くが、作った自分たちではなくメインキャストをほかに置き、その魅力を最大限活かしたネタだったのがおもしろかった。大竹は3本のコントに主役的立ち位置で登場。そのうち2本が堅物で寡黙な職人役というのも興味深い。

オープニングで松本に「ライスがなんでここにいる?」と恒例のイジリをされたライスだが、関町は自分たち作のコントを含め最多8本のコントに出演。一方で田所が自作のコントだけの出演と、ここでまさかのコンビ間格差が発生。また、嶋佐や西村もそれに次ぐ登場本数。もちろんスケジュールの都合等で数出られなかった芸人もいるだろう(コンビのネタ作り担当も出演が抑えられていた印象)が、重宝される芸人の傾向を感じられて味わい深い。

よくこの番組が始まってから『キングオブコント』の真の優勝特典は「松本とコントができる権利」と言われ出したが、もちろんそれを含めて、一流の演者たちを多数起用してコントができるチャンスを得たというのも大きな特典ではないだろうか。

オープニングで「ここにいるみんなは、松本さんにつまんないやつって思われたくない」と設楽と言い、松本が「俺も思われたくない!」と返したように、松本を含め全組が力作ぞろいでおもしろかった。

中でも印象深かったのは、かもめんたる作の『亀教』。舞台公演でスタジオは欠席したう大に「とにかくう大を呼べ! なんでここにおれへんねん! やり逃げしやがって、あの野郎!」と松本が叫ぶシュールな狂気のコント。う大はバイきんぐ作の『シミュレーション』でも小峠が「いかにう大を狂わせるかってところから考えた」というように演者としても狂った役を演じ切った。多様なコントの中に狂ったシュールなネタが挟み込まれる感じは、どこか『ごっつええ感じ』を彷彿とさせる。

シュールといえば、ビスブラ作の『雨の降らない村』も壮大な狂った世界観のコント。わけもわからずその世界に放り込まれた松本は「お前らやってくれたな!」と楽しそうにツッコむ。みんなから意味がわからないと言われ「もっと称賛されると思ったんで汗が止まらないですね」と原田。松本「コットンに優勝させるべきやった(笑)」。

今回も「日本一豪華」なだけでなく、コントの質も高くて、充実の3時間だった。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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