山里亮太、「朝の顔」へ踏み切る原動力になった“劣等感”を語る(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『午前0時の森』(火曜版)

4月から“日テレの朝の顔”になる山里亮太がゲスト。この日の朝、もうひとりのMCが情報漏洩で報じられたこともあり、お互い難しい舵取りでしゃべっていく。若林はその人物を「TK」呼ばわりしつつ、山里に対して「真ん中」ではないことなどをイジっていく。「こんなこと外側から言うことじゃないけど、『DayDay.』はまだバタバタしてる」と鋭く言い放つ若林に「外側から言うことじゃないよ!」と山里。

さらには「時事問題扱うか情報バラエティに振るか、まだ腹くくれてない」とつづけると「そんなわけない!」とツッコみつつ、「スタッフルームは『若林はなんもわかってねえ』って笑ってる。そうですよねえ? もう決まりに決まっている状態ですもんね? どういう進行でいくか、僕の位置も……そうですよね?」とスタッフルームに語りかける山里「ねえ、笑って……!」。

このあたりの絶妙に本音をまぶしていると思わせるコンビプレーはいつもながら絶品。

オファーが来たときの心境を聞かれ「怖さ」もあったと答える山里。「できねえじゃん」と言われる危険もある、と。それでも踏み切れたのは『たりないふたり』をやっていたことが大きかったと一気にまじめなトーンで語り出す。『たりないふたり』でネタ合わせをしていて当たる壁があったと。

「それは若ちゃんがポンと出すボケは、若ちゃんがホントにこれが好きなんだな、楽しいんだなってボケをガンガン出すときに、俺はこうやったらウケるんだろうなってボケを持ってきたりして、結局この大きいボケにシュッと消されていくのを繰り返していて、ホントにこれが好きなんだ、おもしろいんだと思っている人間の前で、ずっと自分はたりないっていう劣等感があった。それで帯の話もらったときにあれ?って思ったの。ここに俺がずっと欲しかったお笑いの芯がないと目の前に来たものに対してすべて乗っかれるなって思ったの」。

「これは違うって言える自分を持った人」に憧れを持ち、それがない自分が嫌いだったという山里。しかし、帯をやるにあたって、一緒にやってくれる人たちが一生懸命作ってきたものに対し、芯がないからこそ、それを全力で受け止められる能力なのだと気づいたと。そんな山里の「自己開示」を聞いて、やはり自分に特技・特徴がないことに悩みつつも、それが選り好みせずに受け入れることにつながっていると感じていた水卜アナは共感し、泣いてしまう。

途中、若林が「今日は散らかり過ぎ」と言っていたように感情の振れ幅がものすごい回だった。そしてエンディングにさらなる衝撃が。なんと若林と山里を主人公にした連続ドラマ『だが、情熱はある』が始まることが発表される。「こんなこと起こるんだね」と笑う若林に何も知らなかった水卜アナはパニック。山里「この局は隠すの好きだね!(笑)」。

『イワクラと吉住の番組』

先週に引きつづき『久保みねヒャダ』とコラボ。「街のワタボコリちゃん」のひとりとして「ヒャダイン(42歳)」も登場。ニュース番組などで画面下に流れるツイッターの意見は仕込み丸出しだからやめませんか、と疑問というよりかは「ご提案」を語る。「42歳さん、42歳っぽい口調で」と笑う能町はツイッターアカウントを調べたことがあり仕込みではないと語る。「ラジオの投稿者と同じであそこに載りたい。だから載るために1行の無難なことをずっと書いている人がいる」と。そこから久保のテレビ好きっぷりが爆発していくのがおもしろかった。

あと、女性芸人の単独MCがいないというのは、ツッコミしている女性芸人があんまりいないからじゃないかという吉住の見解は興味深かった。

久保・能町を博学だという吉住が、どうやって情報を得ているのかと聞くとふたりは口をそろえて「ネット」だと答える。「博学であるかより、怪しいやつに飛びつかないセンスのほうが今は大事」と久保。能町は本は買うが読めない、と。「本って理想の自分が読みたい本を買っちゃうんだって」と久保が言うと、能町も「私も本棚を見ると、こんな趣味のいい人、どんな素晴らしい人なんだろうって思う」がなかなか読めないと。能町「並べたい本を買って、並べて、読みたいなぁ~って(笑)」。

こういう話をダラダラずっと聞いていたい。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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