『ラヴィット!』特番「予算1000万円オーバー」の豪華セットでいつもどおりの笑いに(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『ゴールデンラヴィット!』

サンボマスターによるOP曲「ヒューマニティ!」の生演奏から始まり、「今から鬼撤収」とその撤収するさまも見せていく感じが、いかにも『ラヴィット!』らしい。わちゃわちゃして「座ってくださーい!」と“学級崩壊”状態こそ、番組の真骨頂。

総勢50人の『ラヴィット!』ファミリーが集結したゴールデン生放送特番に「誰ひとり欠けることなくそろったのが奇跡」と川島。豪華なセットはなんと「予算1000万円オーバー」だそうで、「今年だけでは終われない。なんとか5年・6年やらないともとが取れない」と。

この日の朝の通常放送では山添が代理MCを務め、名シーンの30~11位までを発表し、いつものプレゼント応募のキーワードを「#ゴールデンラヴィット放送中止」にする「悪童」っぷりを発揮していたが、ゴールデン特番ではベスト10を発表。

男性ブランコによる「へい!オプティマスプライム」事件から始まり、数々の名場面が紹介され、その合間においでやす小田への「本物」か「偽物」かのくだりのような、番組を観ていなければわからないであろうノリが全編貫かれていた。

ゴールデン特番ということで、誰もがわかる企画にするという方法もあったはずだが、内輪ノリという誹り(そしり)を受ける覚悟で、あくまで『ラヴィット!』らしさにこだわっていたのがとてもよかった。

「曜日対抗6秒カラオケ選手権」だとか、エコポニーで対決する「第1回ゴールデンラヴィット!ダービー」だとか、人数こそ増えているけれど、やっている内容は毎朝やっているのと一緒というのがいい。と同時に、これを朝やっているんだということに改めて驚く。

5位は「『ラヴィット!』が終わった日」。終わりの始まりは9月23日放送のロケ企画「くっきー!パパの公園へ行こう!」で生まれた、きつね主導の「アニマルパラダイス」が披露される。参加したくっきー!も、さばき切れずブチ切れ。

10月14日には、オープニングトークテーマの「涙がこぼれそうなもの」として、「心臓が下敷きぐらい平らになった」とくっきー!本人から紹介され、改めてスタジオで挑戦することになり、川島らも参加し、やはり壮絶な空気になり一同ブチ切れ。

すると最後に、きつねが「私利私欲の塊 人間ラビリンス♪」と意味不明なことを歌って締める。それに川島は「大事に育てた『ラヴィット!』が終わった……」とうなだれたのだ。

そして今回、きつねが登場し、みたび「アニマルパラダイス」に挑戦することに。「アニマルパラダイスに予算が下りた」と「なりきり3点セット」が用意され、くっきー!に指名された各曜日代表が動物になりきって踊る。

やはり最後、全員からブチ切れられると、きつねが歌う。が、声を張り過ぎたためかうまく聞き取れない(おそらく「僕らと人間はガイアの子 地球ルームシェア♪」)というのが、またおもしろい。

3位は「Don’t Look Back in Anger」を歌った「嶋佐OASIS」ということで、再び生歌披露。今回は「Whatever」。一緒に参加することが夢だった賀屋もギターで参加。

何をまじめに歌っているんだというおかしみと、素直に歌声が胸にしみる感動が、同時にないまぜになって押し寄せてくる不思議な感覚。名シーンを振り返りながら、そんな新たな名場面が続々と生まれていた。

1位に選ばれたのは、やはり8月11日に生出演したサンボマスター。再び登場し「輝きだして走ってく」を生演奏。最初と最後がサンボマスターという構成がとてもいい。

しかも、オープニングでは出演者をバッグにカメラに向けて歌っていたが、エンディングではモニターに映る名場面集をバックに、出演者たちに向かって歌っているというのがグッとくる。

1位のトロフィーを受け取った山口が「いろいろニュースを読みまして、ミキのふたりに捧げるしかない」と言うと、そのニュースにピンときていない人が多く、微妙な空気に。感想を聞かれ、昴生「最高でした。ただ『うるせえだけでおもしろくなかったな』(笑)」。

音楽に笑いに、これぞバラエティといえるような、本当に幸福感でいっぱいになる素敵な3時間だった。もとを取るためにも5年・6年といわず、つづけてほしいし、リリーが言ったように「増刊号」もやってほしい。

『ファミリーヒストリー』

麒麟・川島のルーツを辿る。

父方の川島家は宮大工の家系。(川島から見て)祖父の良三が生まれたばかりで、曽祖父の喜兵衛の妻の小とよが結核で死去。

その小とよの先祖に、明治26年生まれの紐本弘がいた。彼は能をやっており“関西一”の美声の持ち主だったそう。番組では川島の低音ボイスのルーツか、と紹介。

丁稚奉公に出された良三はひょうきんな性格で「屁こきのヘコちゃん」と呼ばれる人気者だったそう。父・喜一も良三を受け継ぎ、明るく気さく。友人の結婚式で、川島の母となる植田悦子と出会った。

お笑い好きだった悦子は、川島が芸人になると言っても反対しなかった。一方で、若手時代は手紙で「明、昨日また怒っていたね」「ファンの人はよく見ていますよ。ささいなことで好きになったり、嫌いになったりしますよ」「一つひとつに気持ちを込めて言葉を大切にしてください」「傷つけるのも勇気や元気を与えるのも言葉やから、それを仕事にしたのだからいいほうに使ってください」などと諭していたそう。

その手紙は「優しい時間が流れ、ほっとするような仕事をしてください」と締められていた。

『ラヴィット!』が始まったちょうどそのころ、母・悦子が病気で入退院を繰り返すように。悦子は体調が悪いなか、寝るように言われても、川島が出演する番組は深夜でも視聴を欠かすことがなかったという。

昨年の11月23日未明、危篤状態に。朝8時、目は開いていなかったが、兄・修一が『ラヴィット!』をつけた。9時7分、「優しい時間が流れ、ほっとするような仕事」そのもののような『ラヴィット!』放送中に亡くなった。幸せな最期だったのではないか。

兄からの「あとで電話ちょうだい」というLINEのメッセージをCM中に見て、すべてを察するが、最後まで生放送をつづけた川島。最高の親孝行だったのではないか。

そのときを振り返りながら、あれだけ瞬時に当意即妙の言葉を発する川島が、涙で言葉が出なくなっていたのが印象的だった。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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