『鎌倉殿の13人』のテーマに影響を与えた、三谷幸喜自身の変化(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『三谷幸喜の言葉 〜「鎌倉殿の13人」の作り方〜』

本日の最終回に向けて三谷幸喜とスタッフとの間で交わされたメールの言葉から『鎌倉殿の13人』がどのように作られてきたかを探る。

たとえば、時政(坂東彌十郎)のキャラクターを作る上で三谷はスタッフに「時政はなぜ甲斐に行きたがり、そしてすぐ翻るのでしょうか。甲斐源氏に救いを求めたということはありますか? (略)最低だけど憎めない田舎のおっさんにしたいのですが」というメールを送っている。彌十郎がキャスティングされたことでその「憎めない田舎のおっさん」というイメージがふくらんでいったそう。それは菅田将暉が演じた義経も同様で、当初は『パットン大戦車軍団』の戦うことだけに秀でたパットンのイメージだったが、菅田が演じたことでより魅力的になったと。

『王様のレストラン』や『わが家の歴史』は北条家をモチーフにしたことや、史実として残っていない女性の名前はほとんど三谷が考えたもの(「実衣」は『ムーミン』シリーズのミイ、「トウ」はピリッと辛い「豆板醤」のとう、「のえ」は「伊賀越え」→ごえ→のえ)といった豆知識的な話もおもしろい。

「山木様に、と持ってきたものが茄子だのきゅうりだの」「わしはコオロギか」という何気ない会話、もともとの脚本は「わしは長細い青物は好かぬ」だったが、当時の茄子は長細くないという美術スタッフからの時代考証的な指摘を受け変更したとか、山本耕史がスケジュールの都合で撮影に参加できないときに、その場にいない理由を八重からもらった餅を食べて腹を壊したエピソードを足すことで物語に厚みを加えたという。そういった制約は作り手をけっして窮屈にするわけではなく、発想の広がりの助けにもなることを示すエピソードも興味深い。

『鎌倉殿の13人』には見事な伏線が少なくないが「種を撒いてるときは、それが種だって僕も気づいてない」ことが多いと言う。三谷「僕はそこまで計算してないんだけど、あとになってあれが生きてくる、と思いついちゃう」。そんな天才的な三谷でも、6話まで書き終えた時点で「ちゃんと歴史ドラマになっているといいのですが。大丈夫でしょうか。おもしろいでしょうか」と不安を吐露したメールを送っているところに、書き手の心情が表れていて胸がキュッとなる。まだこのときは撮影前。1話の映像を観てようやく少しホッとしたという。

作品のテーマについて「義時、泰時の親子の物語のような気がします」と当初からメールしていた三谷。三谷は父が10歳のときに他界していたことで親子関係の思いが薄いため、それまでは親子の話をあまり書いてこなかった。が、それを真正面から書くのは、自分に息子が生まれたことが大きかったという。書いているうちに親子や姉弟といった家族の話なんだという思いがどんどん強くなっていったそう。

最終回に向けて充実した番宣番組というだけでなく、三谷幸喜の創作に対する哲学や思いを知ることができる一級の番組でもあった。

『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』

石橋貴明が千葉真一のモノマネをすると、ゲストの眞栄田郷敦も父のモノマネをするというサービスからスタート。新鮮で驚いたのは、MABによるクイズ番組での伊集院光、大納言光子とフレサワソラによるガストの「猫型配膳ロボット」、山本高広による「肝心なところだけ聞き取れない中継中のアキダイ社長」、石出奈々子の伊藤沙莉、松田幸起のさまぁ~ず大竹、小出真保の高橋尚子、沙羅とJPによるイワクラ&オズワルド伊藤、博多華丸による「『戦国自衛隊』のときの千葉真一」などなど。ハギノリザードマンの「犬よりはしゃいでる人」もシンプルでおもしろかった。

あと阿佐ヶ谷姉妹による「リアル姉妹だからこそ絶妙にシンクロするマンガ『あさりちゃん』の作者・室山まゆみ姉妹」も最高。元ネタであろう『阿佐ヶ谷アパートメント』の映像を見ると決して誇張ではなく完コピなのもスゴい。絶対にこの番組向きだと思っていたレッツゴーよしまさもやはり素晴らしかった。

今回の優勝はラパルフェ都留。ピンでやった「自由な森泉」、はじめとコンビで行った「ウッディ」、ユニットによる「アカデミー賞の雰囲気」での「阿部寛」と各所で顔を出し、そのすべてがハイクオリティ。中でも「目力で嫉妬する小池栄子と宮澤エマ、その後のドラマの流れ」と題した『鎌倉殿の13人』メドレーでは、よっぴによる坂東彌十郎のクオリティに感心しているところで、最後に出てきた都留の大泉洋が絶品で驚いた。郷敦も「大泉さんが特別出演したのかと思った」と言うほど。文句なしの優勝だった。

途中、アンタッチャブル柴田が「年1じゃ足りない」と言うと貴明も「じゃあ、編成と話します」と言って最後には「年3回やりたい」と宣言。本当にそれくらいのペースでやってほしい!


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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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