「ウッチャンを元気にさせたい」清水ミチコが作った“応援ソング”の意味するもの(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『内村と相棒』

若手ディレクターが内村と組んでさまざまな企画に挑戦する番組。

『ここにタイトルを入力』の原田和実Dによる、内村の手に必ずある「棒」へのこだわりに密着するフェイクドキュメンタリーコント「内村と棒」(超くだらなくて最高!)がブリッジ的に入るなか、「内村芸能人ミュージアム」を入社8年目の大村昂平が、「名曲誕生!? 誰でもソングライターズ」を『MUSIC FAIR』などの音楽番組を担当する入社8年目の川上惇が企画。

後者は「カノン進行」を使えば元気になる応援ソングができるのではないかというもの。曲を作るのはどぶろっく、きつね、そして内村の盟友・清水ミチコ。「やりづらいんですよ」と内村が照れ笑いを浮かべれば、清水も「なんか家族っぽいんだよね」と返す。

どぶろっくは、脱毛ブームへのアンチテーゼとしてムダ毛を応援する「bowbow tonight」を。この曲に「女子にとってもムダ毛ってちょっと恥ずかしいけど、ムダ毛があっても胸を張って生きていこうって」と反応する佐藤栞里に、「栞里ちゃんは汲み取りのプロなの!」とシソンヌ長谷川。

きつねの母に対する応援ソング「Mother」に対しても「本当に心にズドンと響きました。EDMに乗せることによって、息子さんふたりの照れ隠しな感じも伝わる」と“汲み取りのプロ”っぷりを発揮。

清水は「ウッチャンが一番ひ弱だった」と回想し、自身の名キャラ「みどり」も「内村さんが引き立ててくれた」と感謝。このオファーがあったとき「うれしくて、もうデモも作っちゃった」とすでに曲が完成しているという。

それは、「ウッチャンを元気にさせようと思って」と内村に対する応援ソング。内村はこれを聴いて「ひ弱な子」に戻ったようにモゴモゴしながら「いろいろ散りばめられてますけどね……。さすがですね、さすが」と照れくさそうにコメント。

お題である「カノン進行」は「ちょっと恥ずかしい」「濁った音、入れてもいいのかな?」とBメロの1行だけ入れるという、コブクロ小渕をして「すごいオシャレなハイレベルな使い方」と言わしめる構成。

先日の『あちこちオードリー』でも「私の世代ってパロディみたいなことが好きで、神聖なものを茶化しちゃったみたいなのが好き」と言っていたように、「できるだけ濁す」精神が貫かれていた。

しかもその1行は「ひとりの夜に 流れる歌に」という関東ローカル時代の『夢で逢えたら』でメンバー6人が歌っていた同名主題歌の1フレーズを引用するという気の利いたもの。「ずるいわぁって思ったもん!」と内村。

さらに「タイトルも俺らにしかわからないところがある」と内村が言うタイトル「星のカノン」は、おそらく2017年に亡くなった『夢で逢えたら』演出・星野淳一郎の名から取ったものだろう(先日の『あちこちオードリー』でも名前の出た伝説的ディレクター)。

ちなみに引用された主題歌も星野の作詞だ。「ほしの ような声が きっと そっと よみがえる」という歌詞も心に響く。

『メガホン二郎』

「2023年に開催される池袋文化祭で何をやりますか会議」と題して、イベントでできるような企画をお試し。

「『ローマの休日』の真実の口に手を噛まれたっていうあのくだり耐久チャレンジ」では、痛がっている芝居がめちゃくちゃ長かったらもっとおもしろいんじゃないかと、何も知らない相方を前に痛がる芝居を延々つづけるというもの。

挑戦するのはウエストランド。強心臓の河本がひたすら痛がり、井口がツッコむという構図になるため「素晴らしいキャスティング」と平子。河本「今日、“お笑いさん”しなくていいんですね?(笑)」。

河本は「うるせえ」「一回静かにしてくれよ」「しゃべる隙間がない」「ツッコミが聞こえない」と、井口がツッコんでも構わず大声で痛がりつづけている。「たぶん間違ってる」と井口が河本の振る舞いを注意するも、もちろんやめることはない。

終わって疲れ果てた井口に、平子「2年ぐらい前までの井口さんだったら、声量で負けることなんかなかった」「めっちゃ食えてっか?」。

さらに「上級者モード」として『勇者ああああ』でも“名物”となっていた園山真希絵が登場。カオスだった。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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