#ずん喫茶真相 でつぶやいてほしい
喫茶店という、人々が落ち着いて過ごせる憩いの場とお笑いはあまり親和性が高くないように思える。喫茶店を巡る番組なら、落ち着いたトーンで話すベテラン俳優さんやタレントさんのほうが向いていそうだ。
ところが、飯尾さんは喫茶店の雰囲気のままでおもしろい。映像をみないことには伝わり切らないのだが、これはかなり画期的な番組だと私は思っている。飯尾さんは日本一喫茶店が似合う芸人さんだろう。見た目は同じ浅井企画のイワイガワ・岩井ジョニ男さんも強いのだが、総合的な判断で飯尾さんが日本一ということにする。
グルメ番組的要素もかなり多く、調理の様子や料理のインサートなどもしっかりと挟まれる。パフェなどのデザートを作っているところは、これまでのグルメ番組ではあまり観たことがなかったので新鮮だ。これまでの私は喫茶店の裏側についてあまり考えずぼんやりと飲食をしていたので、こうした過程を観るのがおもしろい。
飯尾さんの食リポは、大げさなリアクションがなく、むしろロートーンのことが多い。これがまた喫茶店の空気に合っていて、安心感を覚える。それなのにおいしさが伝わるのだから、もうただただすごいとしか言いようがない。
ひと通り食事を終えると『飯尾が見つけた「ずん喫茶」』というテロップが出て、飯尾さんがその店に対する感想を番組オリジナルコーヒーカップに書いてプレゼントするという一連の流れに入る。
唯一この番組のわからないところなのだが、「ずん喫茶」とはなんなのだろうか。特に説明がなく次の瞬間にはカップに飯尾さんが文字を書いているカットになる。私の理解力不足なのかもしれないが、ここまでこの番組の魅力が身にしみているのに「ずん喫茶」という言葉だけは難しい。もしわかる人がいたら #ずん喫茶真相 とかでつぶやいて教えてほしい。実態がわかるまでの間、私はそのハッシュタグを検索しつづける。
『ずん喫茶』に来てもらうことを目標にしようか
ちなみに飯尾さんがカップに書く内容には定型文がないため、毎回まったく違うのがおもしろい。『ラヴィット!』(TBS)内のコーナー「見取り図の東京安くてうまくて○○な店」のような規則性はない。長文のときもあれば短めのときもあって、飯尾さんのパッション次第で変動するので、毎週その部分もたのしみに観ている。
喫茶店好きとして、この番組の最大の推しポイントはお店選びのセンスが抜群なところ。自分が訪れたことのあるお店に飯尾さんが行っているのを観るととてもうれしい。東京の有名なお店の情報を知ることができる唯一の番組だ。また、一度も行ったことのないエリアが紹介されている回も発見があるのでよい。番組が終わるころにはその店に行きたくなってお店について調べ始めてしまう。『飯尾和樹のずん喫茶』は喫茶店ライフをより豊かにしてくれている。
このような素敵な番組は長くつづいてほしいので、この記事を読んでくれた人にはぜひ観てもらいたい。TVerで観られるからテレビ東京が映らない地域でも観られる。テレビ東京が映る地域ならば、テレビとスマホで同時に観ることだってできる。
タレントとして喫茶店を巡る番組に強い憧れを抱くが、飯尾さんのロケを目の当たりにしてしまうと生ぬるいことはいえないと身が引き締まる。いつかロケ力が高まったら喫茶店のロケはしてみたいものだ。
いっそのこと喫茶店をオープンすることを夢にしてしまおうか。そして『ずん喫茶』に来てもらうことを目標に日々がんばる。いつの日か人気店になって、飯尾さんがロケで来てくれた日には、メッセージの入ったコーヒーカップを受け取ってこう言いたい。
「あの…….ずん喫茶ってどういう意味ですか…….」
連載「奥森皐月は傍若無人」は、毎月1回の更新予定です。
【関連】伊集院光と奥森皐月のラジオ対談「思ったことを全部言う」
番組概要
番組名:『飯尾和樹のずん喫茶』
放送局:BSテレ東
放送日:毎週金曜深夜0時〜
概要:喫茶店が大好きな“ずんの飯尾和樹”の喫茶店めぐり旅。おいしいコーヒーに、マスターや常連さんと愉快なおしゃべり。入店から退店まで飯尾さん目線で楽しむ喫茶店番組。
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