錦鯉・渡辺による鮮烈な“バカ”の定義とは?「『バカ』と『古い』を履き違えてる」(てれびのスキマ)

「2022年注目のお笑い芸人ランキング」4位:錦鯉

文=てれびのスキマ 編集=高橋千里
トップ画像=錦鯉インタビューより


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。


『有吉の壁』

「錦鯉の壁を越えろ!おバカネタ選手権」と題し、錦鯉の前でおバカネタを披露。「バカには厳しい」という渡辺の「バカ」評が的確で素晴らしかった。

シソンヌによる『山形県天童市青年団』に対しては「シソンヌがやると知性を感じる。ルールを感じてしまったんですよ。『バカ』はルール関係ねぇから」、ハナコの『バカ一休』には「『バカ』と『古い』を履き違えてる」「(鼻水が)出てなくても出てるように見えるのが『バカ』」と厳しい評価。

一方、バカコントの雄・インポッシブルの『石頭道場』に対しては「これは素晴らしい。よく見たらボケは1種類しかない。それを4種類あるように見せたのは『バカ』」と賞賛。

かが屋は『ハッピーコンビニライフ』を披露。途中、客席の野田から「こんなのかが屋じゃない」と言われ、有吉からも「相当無理してる」と「×」の判定。

渡辺は「金色が『バカ』ってことにはよく気づいた」とフォローしつつ「ただ、まだ頭でネタ作ってる。ネタって動いて作らなきゃダメ」と金言。長田が「かが屋がやると『シュール』って枠にハマっちゃう」と評すと、有吉「しょせんシュールだね(笑)」。

安村は『浪速の幼稚園生 魁聖くん』。これに渡辺は「『バカ』は『バカ』だったんですけど、これは我々が見ても恥ずかしい」「見てて、こっちがダメージを受けないのが『バカ』。こっちも悪いみたいな気持ちになる」と酷評。

それぞれのバカ評で、渡辺の考える「バカ」の輪郭がハッキリ見えてくる鮮やかな批評だった。近い将来、賞レースの審査員席に座っている姿が見える。

「全然笑えなかった」などとほかの芸人たちにも辛辣な意見をぶつけられ、安村「辞めたい……」(笑)。

『水曜日のダウンタウン』

浜田不在のため、MCの代役に以前松本の代役も務めた麒麟・川島。「もう僕がダウンタウンなんです(笑)」。

ニューヨークがプレゼンするのは「若手芸人、コンプライアンスでがんじがらめにされても従わざるを得ない説」。

最初のターゲットは、「若手」とは到底言えないパンサー尾形。電流の罰ゲームを受けるが「痛い」と言うリアクションがNGという、近い将来あり得そうな状況に。汗だくで「痛い」と言わないだけのリアクション。

ネタバラシされると「『痛い』はOKですよね? よかったぁ」と心底ホッとした表情。「もうそんなんダメになっちゃったら俺出れねぇよ。やりたくてやってっから! うれしいんだわ、こっちは! 『サンキュー!』なんだ! これで子供育ててんだ、俺! わかってください、皆さん! もう真剣に見ないでください!」と一気にヒートアップ。

蛙亭・中野は、激辛料理にチャレンジという企画なのに「辛い」という言葉を封じられる。それでも「体がポカポカしてきました」「あぁー、スゴいのいた! 初めましてー!」「K点超え」と直接的表現を避けつつ、見事に「辛い」を表現していて素晴らしかった。

最後のターゲットは、そいつどいつ。過剰なコロナ対策や演者自らの反社チェックなど、さまざまな要素のコンプラNGを詰め込んだ商店街ロケ。

最初こそ素直に従っていたものの、演者頼みのスポンサーの競合隠しを指示され、途中で止められると「え? 何これ、ちょっとダメだな」「下見っていうか見たらわかるじゃんって」と、市川刺身は苛立ちを隠せなくなる。

それでも「僕もがんばりますし、みんなで一緒にがんばりましょう。チームで力合わせて」と言葉を選びながらスタッフを鼓舞する。が、たい焼きを頭から食べると残酷に見えるという「的はずれな動物愛護」に呆れ顔。

「相方、考えるのをやめた」と松本竹馬が漏らすと、スタッフが「なんでですか?」と質問。「なんかちょっと悲しいなって思っただけです」と刺身が言うと「何がですか?」とさらに問うスタッフ。刺身がたまらず「『何がですか?』じゃねえよ」と吐き捨てると「どういうことですか?」となおも“空質問”を繰り返す。

「『どういうことですか?』ってなんすか、もう」「僕ら芸人なんで、おもしろいのをやりたいだけなんで、作ってる側はわかんないですけど、なんかもうマジつまんなくなってきたなって思いますね」と呆れと怒りが入り混じった口調で返すと「ロケ今日つまんなかったですか?」とまた苛立たせる質問。

刺身は「ど、どういうことですか? どういう意味で聞いてます? それを聞かせてください。なんで僕にずっと質問してくるんだ! 質問じゃない、あなたの意図を言ってくれ!」「『楽しくやりましょう』『チームでやろう』って言ったのに、なんか意味がわからない!」と激昂。

スタジオではそんな刺身に「バラエティを取り戻せ!」などと応援モード。松本も「刺身が怒ってくれたのは、俺はうれしかったけどね」と感想を述べる。

この説の「検証結果」として添えられた言葉は「こんなことがいつか現実にならないように」。

【関連】「芸人って名乗ってる以上は、笑わせないと詐欺」錦鯉が語る相方の魅力

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    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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