さんまが回想した、若き日のダウンタウンと大崎会長の関係性(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。


『さんまのお笑い向上委員会』

さんまたち吉本勢が『伝説の一日』の舞台裏を話していると、漫才協会でもできるのではないかとナイツ塙「漫才協会は層が厚いので、桂文枝に青空球児が当てられますし、明石家さんまは東京二で行けると思いますけどね(笑)」。

向上ゲストはモグライダー。塙から「土屋よりいいツッコミしてんじゃねぇよ」というクレーム。マセキの正統派ツッコミは今まで土屋が一手に引き受けていたが、そのうまさを芝が凌駕し、土屋の立場が危ういと。事務所もマネージャーの配置換えで「完全にモグライダーに力を入れよう」となっているそう。

さんまも「わかる。俺らもその目におうてるからな」と共感を寄せ「大崎会長なんて紳助とダウンタウンばっかり推しよったからな、あのとき」と回想。土屋「マセキとスケールが違いすぎる!(笑)」。

そのモグライダーは、塙が漫才協会に勧誘したが拒否。『M-1』で優勝できなかったのは入会しなかったからだと主張。事実、錦鯉は入会した年に優勝した。塙「お年寄りの前で漫才をやることを軽視してるから美川憲一さんになんのリスペクトもないネタができる(笑)」。

以前、芝は浅草の東洋館に出演した際、外のベンチにおじいちゃんが座ってて「お兄ちゃん、ロックンロールだねえ!」と声をかけられたという。誰だかわからなかったが無視するのも悪いと思い「オー、イエー!」と返すと、漫才協会の若手が飛んできて「師匠だよ!」と注意され「ここにはいられない」と思ったそう。こういう軽い毒っ気のあるエピソードトークの挟み方に優秀さが伺える。

この話に錦鯉・渡辺も同調し「俺も知らないじいさんに『俺、解散したんだ』って言われたんですけど……あの師匠誰ですか?」とぶっこむと、このわずかなヒントだけで塙「Wモアモアのけん師匠です」。

『アナザーストーリーズ』

「笑いの革命者たち」と題してNSC(吉本総合芸能学院)を特集。前半はやはり1期生のダウンタウンの話題が中心。デビュー当初は、なかなかメディアで活躍の場がなかったダウンタウン。そこでダウンタウンが一番おもしろいと確信していた大崎洋は、自らラジオ番組に出演してダウンタウンを売り出す。それが『心斎橋わしらはお笑い探検隊』(ラジオ大阪)。大崎がホストとなって芸人にインタビューする番組。この音源がスゴかった!

1985年にダウンタウンが出演した回。「ダウンタウンはなぜ売れないのか?」をテーマに、まず島田紳助の「あいつらオモロいねん。めちゃめちゃオモロいねんけどね、今、流行らへんのや。今、お酒でいうたらみんなが『焼酎の時代や』言うてんのに一生懸命おいしいワイン作ってるのと一緒。うまいねんけど飲むやつがおらへん」というダウンタウン評を本人たちにぶつける。それに対する彼らの回答がまたスゴい。

松本「僕らはごっつい漫才に固定してると思ってはる、今の話聞いとったら。漫才にすごく力を入れてオモロい漫才をやろうとしてると思ってるでしょ? 僕らはそこまで漫才をやってません。というか、もう僕らの中で漫才は答えが出てますから。もうオモロいんや、ほっといても絶対負けへんわっていう」

浜田「下手にならんように練習さえすりゃあ……」

松本「そうです。それだけのもんで、ハッキリ言うて課題から外れて(漫才は)置いてますから、今度は違うところへもう行ってますから。僕らの漫才はほとんど完璧です」

まだメディアにほとんど出ていないころにこの自信。松本の声が甲高く幼い感じなのに対し、浜田の声が今とあまり変わらないのも印象的。そして同じ年、今や伝説ともいえる『今夜はねむれナイト』でのレギュラーコントコーナー「ダウンタウン劇場」が始まる。大崎からの提案を受けて、それを実現させた当時のプロデューサーが上沼恵美子の夫・上沼真平だったというのがなんだか縁を感じる。


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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