ヒコロヒー「いつか、夕暮れのカーラジオから聴いてみたい。」|正田真弘写真室「笑いの山脈」第19回

文・撮影=正田真弘 編集=竹村真奈村上由恵


カメラの前に立ちはだかり、ネタの瞬間ものすごい存在感でエネルギーを放出するお笑い芸人。その姿はまるで気高い山のようだ。敬愛するお笑い芸人の持ちネタをワンシチュエーションで撮り下ろす、フォトグラファー正田真弘による連載「笑いの山脈」。本業はポカリスエット、カロリーメイト、どん兵衛、Netflixなど見たことある広告をいっぱい撮っている人。

ヒコロヒー「いつか、夕暮れのカーラジオから聴いてみたい。」

中学校の卒業文集で先生から生徒に贈る言葉として、みんなにはがんばったことや思い出が書き綴られていたのだが、
僕のところには「口調が独特な正田くん、これからが楽しみ」とだけ書いてあった。
以来、声質やトーンに関してとても気になるようになってしまった。

ヒコロヒーさんの声質がとても好きで、何かずっと聞いていたくなる。
セリフのおもしろさや言い回しから、どのコントもキャラクターが生きていて、日常のちょっとしたナマっぽさが感じられ、そこに唯一無二の魅力を感じる。
今回撮影したコント『お葬式』の妖艶な未亡人にもまた魅了され惹き込まれていく。
そして、この目線。
グラビアを撮っているのかと錯覚するほど、僕も熱が入り予定のフィルム本数を超えてしまった。

「国民的地元のツレ」という秀逸なキャッチコピーも主観と客観のバランスが絶妙で、ヒコロヒーさんの観察力と言語センスがどう表現力へ結びついているのか興味は増すばかりである。
まずは主となる自分を知ることだろうか。ヒコロヒーさんを深掘りすることで、”表現”というものについて大切なことを見出せそうだ。

いつか、各界からゲストを招いたトーク番組をやってほしい。
テレビよりはラジオで、深夜のAMよりは週末の日暮れ前のFMで聴いてみたい。


ヒコロヒー
1989年10月15日生まれ、愛媛県出身。「ヒコロヒーのヒッコロコント」と題した、哀愁漂う世界観と圧倒的な演技力が抜群。独自の視点と自然体なキャラクターで2021年ブレイクタレントランキングで年間5位にランキングされた。毎週水曜『5時に夢中!』(TOKYO MX)、同曜深夜『キョコロヒー』(テレビ朝日)出演中。

【関連】B型の男はブレない。緊迫感のある日々に安らぎをくれた『山下達郎のサンデー・ソングブック』(ヒコロヒー)

【関連】『ヒコロヒーの金借りチャンネル』に見る芸人たちのリアルと、岡野陽一との借金頂上決戦の行く末

この記事の画像(全3枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。