写真を撮ることにこだわりを持つアーティストやお笑い芸人による連載「QJWebカメラ部」。
月曜日は、加賀翔(かが屋)が担当。コント師として知られる一方で、芸人仲間などを撮影した写真の腕前にも定評があり、インスタグラムのフォロワーは10万人以上を誇る。そんな彼が、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
先輩になるための経験

第12回。今日はかが屋の新春ネタ初め一週間興行2022『寅』がちょうど始まる日です。
これを書いているのは3日前なのですが、まだネタがそろっていません。もちろん何もしていないわけではなく、準備を進める過程で「これはおもしろいかも!」と思っていたネタが突然「これ全然できないかも!」と変化し、ネタが消え去ったんですね。あるあるですが慣れません。てんやわんやです。
ですが、今回は特別興行として後輩であるダウ90000とのライブが控えています。後輩に焦りは見せれませんし、むしろそのおかげで気を保っているというくらいです。
ただ焦っているときは「そんな頭の中にちらついてくるなよ!」とも思いますね。
ダウは8人組というお笑い界では少し変わった編成のユニットです。トリオみたいに言うんだとしたらと調べたら8人組はオクテットというらしいです。完全にひいき目ですが、万とか億とかややこしくなってとてもいいですね。
といっても僕も知り合って日が浅く、まだみんなのことはよく知りません。なのでライブの稽古の帰りにいろいろ話が聞けたらなと思っていたのですが、帰り道はみんなの仲のよさというか距離の近さに驚かされました。
ダウのみんなは反対の電車に乗るメンバーがいると、その電車が発車して見えなくなるまでずっと手を振ってるんです。それが別に楽しそうにしてるとかじゃなくてとても自然に当たり前にしていてすごいなと思いました。
またひとり、またひとり、毎回きちんと手を振っていて感動しました。
同時に、「これ僕が降りるとき困らせるんじゃないか?」と気がついて急に怖くなりました。
賀屋は「タバコ吸うて帰る」とみんなを先に行かせるという冴えを見せ離脱しており、先輩は僕ひとり。考える暇もなくあっという間に僕がひとりで降りるターンが来ました。「じゃまた」と一歩降りてから頭の中はぐるぐるです。
「手を振ってくれてるのかな、いや先輩だし会釈なのかな。いやよそよそしいのも嫌だな。まったくこっちを見ていないということはないだろうけどなんかよそよそしかったらどうしよう」。
気がつくと、僕は振り返らずにそのまま改札まで歩いてしまっていました。ダウにびびって振り返れなかったんですね。あれは難しかったです。先輩になるというのは経験が必要ですし堂々と振る舞うのは本当に難しいですね。

写真はダウ90000集合写真。バスに乗って移動してるだけでも密に見られるらしいので、多重露光という撮り方を駆使してみました。ちゃんと密な感じ減ってますよね。配信もありますので透けてないみんなをぜひ観に来てください。僕はなくなったネタを作りに戻ります『寅』お楽しみに!

加賀翔(かが屋)、前田こころ&平井美葉(BEYOOOOONDS)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、長野凌大(原因は自分にある。)、林田洋平(ザ・マミィ)が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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