VTuberのご意見番・たまごまごの連載第4回のテーマは「アーカイブ」。しかし、ずいぶん「VTuber」という言葉もふつうに使われるようになってきて、その意味合いもずいぶん変化してきたように思える。今さら聞けないひとのためにも、まずは改めて「VTuberの定義」を確認、そこから「残す?残さない?」について考えます。
アーカイブがほぼ0というVTuberは存在する
「VTuberのこのおもしろい配信を見てほしい!」とは言われて見に行ったら、その配信アーカイブが残っていなくてしょんぼりすることが多々ある。YouTubeを頻繁に見ている人たちからしたら「なんで残さないのかな?」「もったいない」という気持ちがどうしてもわくというもの。
しかし一方でニコニコ生放送などを見てきて「残らないのは当然」という人も、おそらく結構な数でいると思う。毎日活動していてファンがたくさんいても、アーカイブがほぼ0というVTuberは存在する。
動画文化の多様化による感覚のズレが、VTuber文化の間でごちゃまぜになってきている。というのも「VTuber」という映像文化は、00年代から10年代のあらゆる映像文化を見てきた人が合流して生まれた、新しいジャンルだからだ。
YouTubeだけじゃないVTuberの活動場所
「VTuber」という言葉は現在、「バーチャルなYouTuber」という意味ではなくなってきた。今は定義はほぼないに等しいが、共通認識だけでいうと「アバターを用いてキャラクター性を持って動画配信する人」のこと、くらいだろう。ようはアバターを持って自称していれば、誰でもVTuberだ。
こうなると別にYouTubeで活動しなくてもよくなる。むしろYouTubeは動画のアップロードには適しているが、収益化や配信自由度の点でいくと少し厳しく、スタートするにはハードルが高い。
現時点でVTuberが活動しているプラットフォームは、SHOWROOM、IRIAM、REALITY、ニコニコ生放送、Mirrativ、Mildom、ツイキャス、Twitch、OPENREC.tv、17Live、fingger……など多数存在する。ホームを見ると顔出ししているリアルストリーマーとバーチャルストリーマーが並列に入り乱れていておもしろい。IRIAMとREALITYはバーチャル専用で、特にREALITYは自分のアバターを簡単に作って即配信できるのでお手軽。スマホ一個でリアルバーチャルどちらでも、プラットフォームを選べばすぐに発信できる、素人配信大航海時代になった。
今でこそYouTubeで熱心に活動している人気グループにじさんじのメンバーも、月ノ美兎ら一期生デビュー時はMirrativでの配信からスタートしている。Mirrativはアーカイブが現在最大3日しか残らない仕様のため、初期メンバーの動画の一部は録画して再アップされたものではない限り、見ることができない。今でこそもったいなく感じるが、当時はライブアプリのテスターという立ち位置だったので、スタンスがそもそも今と違う。