爆笑問題が守るふたつの教え「素人と言わない」「舞台を降りない」。『金スマ』で新人時代を回顧(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。

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『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』

太田プロ大集合SP。太田プロが借りている「四谷サンハイツ」の部屋は元々たけしが住んでいて、たけし軍団→マネージャー→大島優子→YouTubeの撮影部屋へと受け継がれたとか、その下の稽古場は、たけしが歌の稽古を始めたいということで借りた部屋だとか、ミニ知識が随所にあっておもしろかった。

劇団ひとりと有吉弘行は1996年の同日入所。太田プロで同年代でそこそこネタがウケるのは、猿岩石とスープレックスだけで、どこに送り出されてもこのふた組だったそう。「とあるオーディションを受けに行って、僕らはハマらなくて、そのあと猿岩石が出てきてちょっと手応え合ったなあみたいなこと言ってたら、それが『電波少年』」と劇団ひとり。だから「悔しくて悔しくて」日本中が応援してるときに「俺だけは失敗しろって思ってた」と振り返る。猿岩石が帰国直前に太田プロライブで初めて1位を獲ったという。だが帰国後、猿岩石が大ブームに。土田「帰ってきたら誰も(スープレックスを)見向きもしない(笑)」

有吉、ひとり、土田が揃うと緊張するという指原。それに同調し平子「一人ひとりは優しいんですけど、揃うと孤高ぶる(笑)」

終盤は太田プロ創業社長・副社長夫婦をつるの剛士、大島優子で再現ドラマ化。社名は「副社」の泰子の旧姓だそう。太田プロ出身の爆笑問題も証言。「うちの社長は太田プロの副社長を(経営者の)モデルにした。なんかあると副社長に相談してる」と太田。「我々がタイタン作ったときに、挨拶に行ったんです。不義理をして太田プロを辞めてたんで、もう一回うちの社長と3人で行ったときに、副社長が『よく戻ってきた』って。働いてるみんなに『はいちょっと~、うちの息子が戻ってきたわよー。みんな仲よくしてあげてね!』って太田プロじゅうに。それはうれしかったね」

さらに「太田プロの営業は最初に必ず新人にやりづらいところに行かす」と新人時代を回想。鬼怒川温泉の社員旅行の宴会で30分2本のネタを要求されたが、そんなにネタはなかったため、やったことのないマイケル・ジャクソンのモノマネをし「つまんねーぞ!」と野次られたそう。すると「うるせー! こっちは仕事でやってんだ!」と言い返し15分くらいで降りてしまった。「俺たちは素人なんだ。素人を呼ぶほうが悪い」と。当然事務所にクレームが行き、副社は激怒。その際、「あなたたちは素人じゃないのよ。うちの看板を背負ってる以上はプロなんだから二度と素人って言っちゃダメ」「舞台はどんなにウケなくても30分って言われたら30分、舞台から下がっちゃダメ」と教えられ、このふたつはずっと守っていたという。田中「怒ってる副社の横に社長がいて、ずっと肯きながら笑っている。『救いの笑い』だったね」

片岡鶴太郎がダチョウ倶楽部に受け継がれたリアクション芸の継承者に、野呂佳代を指名していたのも印象的だった。

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『有吉クイズ』

ついにレギュラー化。1問目は「この変装芸能人は誰?クイズ」。登場しそのデカさにビビる面々。早押ししてフリップに手書きし答える際、他の解答者が顔を伏せるというアナログのシステムはレギュラー化しても健在。2問目は1問目の「答え」である川合俊一考案の「背の順クイズ」。川合を含め阿部寛、宇梶剛士、ミッツ・マングローブ、コブクロ黒田の5人を身長順に並べるというもの。解答者全員で話し合って順番を決める。川合自身が解答者の指示でパネルを並べ替えるこれまたアナログなシステムがまた可笑しい。正解発表でそれぞれの予想外の身長の高さにどよめく中、見事正解。「初めて!このクイズでこんなうれしいの!」とみちょぱ。有吉「最高のクイズだったわー。マジで『いいとも!』やってるみたいだった(笑)」

そしてすぐに「有吉のプライベートクイズ」に。やっぱり30分だとあっという間。「プライベートクイズ」も有吉の変態コントをたっぷり見せて本題にまで行かずに次回に。

相変わらず悪ふざけ満載ながらクイズとしてもしっかり盛り上がる絶妙な塩梅がおもしろい。


明日観たい番組:KOC王者・空気階段の冠番組がスタート

『家、ついて行ってイイですか?』(テレ東)スペシャル。

『水曜日のダウンタウン』(TBS)「おぼん・こぼん THE FINAL」。

『あちこちオードリー』(テレ東)さらば・森田、ラランド・サーヤ、武井壮。

『キョコロヒー』(テレ朝)24時台開始。

『それって!?実際どうなの課』(日テレ)「森川葵がポイ回しで大技に挑戦」。

『空気階段の空気観察』(テレ朝)開始。「試合前の格闘家のピリピリした空気を観察」。

『ぺこぱポジティブNEWS』(テレ朝)開始。カズレーザー。

『明鏡止水』(NHK)地上波放送。

『徹子の部屋』(テレ朝)に満島真之介。

杉咲花・主演『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(日テレ)開始。


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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