オードリー愛に満ちた『金スマ』で描かれた、「芸人」になると表現できなくなること(てれびのスキマ)


昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。


渡部、霜降りなど「報道後」の芸人の振る舞いが表れた1日

『金スマ』×オードリー。2時間SPでは入らなかった高校~芸人下積み時代の話。もちろん長年のオードリーファンはこのあたりの話はみんな大好きで知った話なのだけど、豊富かつ貴重な素材を散りばめた構成、ぴったりのBGMを流すこだわり、彼らのブレイクに欠かせないビトタケシ、リーダー(渡辺正行)の登場、最後の即席の漫才に被らないようにスタッフロールを先に流す配慮……すべてが愛情に満ちていた。

高校時代の仲間内で春日にムチャぶりをする、“春日チャレンジ”。「達成したい。無理じゃないんですよ。いわゆるチャレンジもの。若林が一番そそる提案してきましたね」と言う春日、「楽しかったですね。スベることがないですから」。芸人として売れない日々を過ごしていたときには、「高校時代のような、自分たちが手放しでおもしろいと思えることがまだやれてない」と思っていたそう。

同じように若林も「もともと高校のときに、“春日っておもしろい”と思ってたものを100%でぶつけて、それで辞めようと思ってたんですね」と回想する。「伝わらなくてもいいから自分たちが高校のときにおもしろいと思ってたことを形にして、1回でもテレビ出られたら辞めようって。そのビデオテープとかDVDに焼いたものを大事に持って、働こうと思ってました」。

学生時代におもしろいと思っていたものが、「芸人」になった瞬間、「漫才」の形に囚われて表現できなくなってしまう。そこから抜け出して、その人固有のおもしろさを引き出すスタイルを見つけることがいかに難しいか、というのはさまざまなコンビのエピソードを聞いてもよくわかる。そして、それができた芸人がブレイクを果たすのだと。

オードリーの「ズレ漫才」発見の瞬間のエピソードは何度聞いてもドキドキする。「『家に帰って麦茶飲んだんだよねぇ』って俺が言ったら、『家帰ったらカルピスだろ』って。それはお前の考えだろ。あいつ(春日)、今もそういうとこあるんですけど、人の多様性を受け入れられない」と若林。そこで「固定観念の強い人がそれを押しつける」ことがボケになると気づいた。「それを発見した瞬間は電気が走りましたね。電気が体中に走りました。『売れちゃう……』ってソワソワして、誰も見るはずのないノートを隠した」と。

本当にオードリーはずっと“春日チャレンジ”をしつづけているコンビなんだろうなって改めて思った。

『かりそめ天国』、渡部の不倫報道翌日の収録だったため「通らないわけにはいかないわね」とマツコ。「“ヒューマンステージ”が置き土産って」と思わず悪い笑い方をしてしまう。「この番組のキラーコンテンツ」だったとマツコが惜しむと有吉「悪役は番組に必要なんだけど、大悪党になっちゃうとなかなかね」。そう言いつつ、しっかりイジる有吉の優しさ。

『シンパイ賞』、こちらは、せいやの報道前で奇しくも週刊誌報道についての話題が。「『せいやは記事にする価値はゼロ』って書かれた」と笑うせいや。今後、太田から猛烈にイジられそう。リモートで出演のかが屋・賀屋を太田が「あいつ教祖様みたいになってるぞ。今、空中に浮いてるだろ」とイジり始めると、霜降りのふたりも「(うしろのドア)開けたら何あんの?」「死体隠してんのか?」と被せ、イジられまくりで全然本題にいけない。「で、なんでしたっけ?」と言う進行の新井に賀屋「もういいです」。

報道直後の『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』は全編「ポケットいっぱいの秘密」のコーナーをやるという凄まじい内容。せいやの好きなものを詰め込み、それを再現してみせる彼の芸のスゴさを見せつけた。ずっとワチャワチャと楽しそうに笑い合うふたり。本当に“強い”コンビだ。

ほかにも、この日は、渡部の代役でJ-WAVE『GOLD RUSH』に出演した矢作が「意味わからなくないですか? 渡部さんの謝罪を僕が言うって。するわけない。僕がしてなんの説得力があるんですか」ときっぱりと言い放つなど、「報道後」の芸人たちそれぞれの振る舞い、向き合い方が表れた日だった。

今日観たい番組:「芸人働き方改革」や「地下芸人の生活模様」など

『ゴッドタン』(テレ東)はジャンポケおたけ、ハナコ菊田、三四郎・相田の「芸人働き方改革」。

『お笑い向上委員会』(フジ)にチャンス大城、あかつが登場し「地下芸人たちの切実な生活模様」。

『人生最高レストラン』(TBS)にフワちゃん。

『伯山カレンの反省だ!!』(テレ朝)はコウメ太夫、スギちゃん、伯山で『ボクらの時代』パロディ的鼎談。

翌朝の『ボクらの時代』(フジ)は、サンドウィッチマンとバイきんぐ。



  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。
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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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