アイスシャワーと水風呂のDiscipline(工藤キキ)|得体の知れないD vol.04

2020.4.30

たわいのない日常を支えていたもの

もし今後もアイソレーションされるなら絶対に山や海といった自然の中にいたい。都市の自然を失った今だからわかる、シティライフにおける自然とは人間そのもので、シンプルな日常は人や都市のバイブレーションが生み出していたと。忙しそうな人や楽しそうな人らとすれ違いながら街をぶらぶら歩いたり、店に立ち寄れば誰かしらが声をかけ、友だちがうちに立ち寄ったり、音を鳴らしたり、一緒にご飯を食べたり、たわいのない日常の中にはたくさんの生きることへのエナジーフローがあり、それが私のシティライフだった。

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ZoomやTwitchなどの新しいテクノロジーによるコミュニケーションツールも生まれ、友達と電話やFaceTimeも頻繁にするようになったとはいえども、人間のバイブスを感じるには乏しく。これは来るべき新世界への「D」、Discipline=訓練なのか?

アイスシャワーに水風呂のDiscipline 

幸いブライアンは隔離以前から毎日のようにシンセサイザーを換えドラムマシーンを換え音楽制作をし3Dアニメーションやゲームを作るようなエナジーの塊で、コロナ後はナード気質も相まってサクサクと自宅ストリーミングできる環境をデザインして新世界とのバランスを取り始めたが、そんな彼でも内側からあふれ出るようなエナジーやアドレナリンのバランスは皮膚感覚なしでは生まれないと、毎日のようにバスルームで雄叫びを上げながらコールドシャワーを浴びつづけている。

これアイスバスに2時間浸かりギネスでワールドレコードされている “アイスマン” ことヴィム・ホフのメソッドで、呼吸法と寒さの中に身を置くことで血流をコントロールし免疫力を高めるというもの。日本で言うところの寒中水泳と乾布摩擦みたいなものでヴィム・ホフに関してはとても興味深い人なのでぜひVICEのドキュメンタリー(日本語字幕あり)などを探して見てほしい。

私もつられてこの2週間ぐらいアイスシャワーに水風呂のDisciplineをしているんだけど、最初の一歩は刺々しくパニックするほど冷たい。けど一度ゾーンに入ると鈍った皮膚感覚が刺激されるも次第に感覚がなくなり、今のところ私の限界は5分だけどアイスシャワーの後の開いた毛細血管からの血流のモジュールがアドレナリンを刺激し、最高なんだよね。

自然のメソッドに耳を傾け自ら免疫力をブーストすることで自らで人間のバイブレーションを体感する、新世界へのDisciplineはまだまだスタートしたばかりだけど、とにかくまたみんなに会いたい。

「D2021」概要

「D2021」ポスター

日時:2021年3月13日(土)、14日(日)
会場:日比谷公園(日比谷公園アースガーデン“灯”内)
主催:D2021実行委員会
共催:アースガーデン/ピースオンアース
※D2021は「311未来へのつどい ピースオンアース」の関連企画です
▶︎公式サイト



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工藤キキ

(くどう・きき)横浜生まれ。ライター、シェフ、ミュージックプロデューサー。マガジンハウスをはじめとしたカルチャー誌でファッションやアートなどのサブカルチャーに関する寄稿や、『文藝』(河出書房新社)で小説を執筆。著書に小説『姉妹7(セヴン)センセイション』、『よのなかのパロディ』、アート批評集『pos..

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