ちゃんみな「表に出る人としてストイックさは必要不可欠。これがプロとアマチュアの違い」と擬似プロ審査を終えた候補者へアドバイス【『No No Girls』レポート#11】
YouTubeの総再生回数は5億回を超え、若い世代から絶大なる支持を得ているラッパー/シンガーのちゃんみな。そんな彼女が、SKY-HIが主宰するレーベル/マネジメント「BMSG」とタッグを組んで始動したオーディションプロジェクト『No No Girls』。
「今までいろんなNoって言われてきた人たちを救いたい」と、本オーディションのプロデューサーであるちゃんみなは宣言。そして、ここから生まれるガールズグループに所属するアーティストには、以下3つの“No”を求めるという。
No FAKE(本物であれ)
No LAZE(誰よりも一生懸命であれ)
No HATE(自分に中指を立てるな)
2024年12月13日にYouTubeにて配信された『No No Girls』Ep.11では、5次審査の本番パフォーマンスと、Aチームの7人に審査結果と評価を告げる様子が届けられた。
目次
「みんなが思うプロを見せてほしい」
「みんなが思うプロってなんなのか、見せてほしい」
ちゃんみなの言葉から始まった5次審査の本番。今回は2チームに分かれて擬似プロ審査を行う。実質9日間で課題曲「Tiger」とクリエイティブ曲「NG」のリミックス(候補生がサビ以外の歌詞作りと振り付けを考案)を仕上げなければならないというハードスケジュールだったが、こうしたことはプロにはよくあることだという。
今回の発表はすべてがプロ仕様だ。スケジュールだけではない。ヘアメイク、衣装、音響、撮影体制もまたアーティストのライブ環境と同様のスタッフを手配している。ちなみに、会場は収容人数約800人規模の山野ホールだ。
衣装やヘアメイクを施した候補生は自信に満ちていた。目のまわりを黒く囲った煌びやかなメイクで、モノトーンを基調とした衣装を身にまとっている。クリエイティブ曲で各チームが歌詞のテーマにした「自信」や「意志を持った“強い女”」を表現するのにふさわしいスタイリングだ。
Aチーム「Tiger」に、SKY-HI「今、言いながら感動しています」
ついにパフォーマンスへ。初めはKOKO、KOKONA、SAYAKA、CHIKA、FUMINO、MOMOKA、YURIによるAチーム「KINISHY」の「Tiger」。
ステージに上がり、「よし!フッ!」と気合いを入れるメンバーたち。ちゃんみなとSKY-HIは、観客席から彼女たちを見守る。それぞれの立ち位置につき準備が整うと、トラックが鳴り始めた。
低音のピアノリフとハンドクラップが耳に残るスリリングなトラック。メンバーたちが振り返りこちらに向かってくると、<Ay yo behind you now/Oh yeah you best watch out>と挑発してきたのはFUMINOだ。透明感のある柔らかい歌声だった彼女が、不敵な笑みを浮かべて妖艶に歌う。殻を思いっきりぶち破ってくるようなパフォーマンス。SKY-HIとちゃんみなからは思わず驚きの声が漏れる。
「Tiger」は自分たちを無視してきた人間に逆襲を誓うような楽曲だ。そんな同曲にメンバーたちは次々と“新たな自分”を見せていく。YURIはふてくされたぶすっとした表情で苛立ち、KOKONAはいたずらっ子のようにキュートに、MOMOKAは威圧的に怒りながら、自分たちの人生を表現する。ちゃんみなの書いたリリックであるはずが、彼女たちがこれまで見てきた景色がダイレクトに伝わってくるようで涙腺が刺激される。
パフォーマンスを観たちゃんみなとSKY-HIは大興奮。特にSKY-HIは、「歌のうまさとかダンスのうまさとか、そういうのを見る心を1バース目でかき消されて。ちゃんみなが書いた歌詞を自分の言葉として、自分のムーブにしてパフォーマンスされていることに気づいて。今、言いながら感動しています」と感極まっている様子だった。
Bチーム「Tiger」に、ちゃんみな「本当に泣きそうになりました」と絶賛
次は、KOKOA、KOHARU、JISOO、JEWEL、NAOKO、MAHINA、MOMOによるBチーム「Showy.」の「Tiger」。
冒頭を歌うのはJISOO。ミステリアスな色気で誘惑する、FUMINOとはまた違う種類の女豹という感じだ。また、KOHARUは束縛から解放されたかのように自信に満ちあふれ、最年少MOMOは己の葛藤と向き合うように歌い、KOKOAは狂気じみた妖艶さでゾクっとさせる。
パフォーマンスが終わるなり、ちゃんみなは「You girls kill it!!!!」と拍手。「素晴らしかったです。今まで見えなかった部分が見えた。本当に泣きそうになりました」と絶賛した。続けてSKY-HIも「破壊力すごかった。3分ちょいぐらいの曲だけど、始まる前と終わったあとで、みなさんのことをすごくよく知れた感じがします」とコメント。
個性的なステージを見せたAチーム「NG」
続いてはAチームの「NG」。単調だがユニークなこのトラックに、彼女たちはどんな歌詞を乗せたのか。
<生まれ持った顔ポーカーフェイスでも人生謳歌/しっぽ振った女たちは 本当にお口が達者/みにくい女の競争 後ろで眺めて合掌/私の目で皆 Swoon ya/私の美貌で狂うんや>(YURI)
<結構キツいからトイレで一人飯/人間不信から生まれるメロディ/才能 I know/毎度 言葉数 増す my rhyme/INTJ(建築家)、夢創造/現実化、可能/殴られ body から出るのは歌詞/‘間違い’なし be価値 誕生「異端なスター」>(KOKONA)
<What you waiting for? Huh?/Get out of my way! Ya/Don’t let you 好きにさせる/ふいに落ちる ついにはなつ/Sweet baby voice like a vanilla? I’m a warrior/私がこの曲 umm..spice it up.>(SAYAKA)
<どこいても目立ちまくり/COCOにはない 普通ってなに?/eyesから溢れるパッション/生き様が様になるファッション/lalalala drip on me yeah/’Cuz i’m a bad girl no baby I am Queen>(KOKO)
<ねたんでる私の成功 お前は何がしたいの/努力でつかんだ栄光 じゃますんなら後に ay yo/so what? 今では稼げる million dollar/so what? お前と立ってるステージが달라>(MOMOKA)
<I am a Good Girl/マンネリ stone face/反撃見てろ からやぶる Monster/広がってく笑い声 足を止め/馬鹿みたい>(FUMINO)
<Like a puppet show/真面目 top star/完璧主義 からやぶる Monster/天才だと願ってりゃいい/届かない場所へ Higher>(CHIKA)
歌詞にはそれぞれの人生経験がはっきりと反映され、メロディには“なりたい像”がよく伝わってくる個性的なステージ。Aチームは“個”としての強みがたしかにある。
SKY-HIは「みんなの本音をぶつけられているのに楽しまされている。自分の感情がすごく高揚して、それで泣きそうになったんだな。めちゃくちゃかっこよかったです」と評価し、ちゃんみなもまた「素晴らしい才能に出会えている、と改めて感じるステージ。めちゃくちゃかっこよかったです。ありがとうございました」とコメントした。
一体感があったBチーム「NG」
続いては、Bチームの「NG」。ダンス講師たちから「連携がうまく取れている」と評価されていたBチーム。普段は穏やかでおっとりとした雰囲気のある彼女たちだが、どんな歌詞を書いたのだろうか。
<Hmm, 目覚める Feeling Good/긴 밤의 끝은 Fresh & New/Stand tall, NO doubt, Uh, Me, Myself & I/That’s the attitude/毎日高くなる Ceiling/Nah, Even on the floor, I’m Killing it/No fear now, So hear me out/Bet you’ll gonna miss me, uh>(JISOO)
<ピーチクパーチクうっさいねん/パクチー無理ならだまれい/無視してもムシいうの あんたかいな/一回だまった方がええんとちゃう?/努力の才能99% 1%のひらめき/全細胞最高/You know I know なのに対等?/ああもう おおきに毎度>(NAOKO)
<月並みそう 大人しそう/あんたには分からなそう/心に太陽/Core ブレないよ/心晴 on fire/八方美人と妬む あんたらでも照らす/太陽面爆発 Kill’em with Kindness.>(KOHARU)
<顔付き合わせてきた机と点数/ここからはface to 音楽/melt you with my voice like/バニラのパフューム1プッシュ/but プッシュすんな ふるい枠に/つまんねえって言ってんだって/Now I got my gun so Imma killin’ it/one by one like Bam,Bam,Bam!>(KOKOA)
<いつまで夢見てる?って/あきらめないからさ私/I have あんたにアレルギー/あの顔、言葉 うかべては影分身/ねばり強さは like a camel/あんたらに書かせたい反省文/tearsでにじまず、sweatでにじます/アイライナー>(JEWEL)
<自分に No No 言う私は/弱くて小さい虚言癖/恥ずかしがり屋なそいつは隠れて/またまた自分とかくれんぼ/Never hide please come out/Time is running out/鏡の中にも見えない自分が/黙れよ 私に反抗すんな>(MOMO)
<えらそうに/バカ、ブス、きもい、お前じゃ無理無理/この言葉 あんたは覚えてないかもだけど/私はしっかり覚えてる/でも Sorry/今の私には聞こえない/ブラックホールに詰めた言葉/あなたに分かんの? おぼっちゃん>(MAHINA)
それぞれの内に秘めた反骨心を爆発させたような歌詞だが、不思議と一体感のあるパフォーマンス。次のメンバーはどんなことを言ってくれるのか、楽しみになるエキサイティングなステージだった。
これにはSKY-HIも「感情のバトンがどんどん渡っていくから体感15秒くらい。素晴らしいチーム力。もう3回くらい見せてもらわないと困っちゃう(笑)」と反応。ちゃんみなも「このチームは特にまとまりがすごい。どちらかっていうとAチームのほうが強そうに見えるけど、こっちも負けずとやってやるぞ、という気持ちをひしひし感じました」と評価した。
こうしてすべてのパフォーマンスが終了。ちゃんみなは5次審査の通過者を決めるミーティングへ。果たして、5次審査を通過したのはどの候補生なのか……。
結果発表を前にSKY-HI「全員素晴らしい才能がある」
そして2日後。いよいよ結果発表の日となった。緊張した面持ちの候補生にSKY-HIは、「審査である以上、少し人数は減ってしまうんですけど、全員素晴らしい才能があると世の中に証明できている。それを前提とした上で聞いてくれたらうれしい」と伝える。
まずはAチームから。ちゃんみなはグループ全体の評価として、ステージ上で「よし!フッ!」と気合いを入れていたことが残念だったという。そうしたことはステージに上がる前にやるべき、ステージに一歩でも踏み出したらプロ、どこから見られても大丈夫な態度を取ることは基本だと指摘する。
続けて、全体的にパフォーマンスにバラつきがあったとも。メンバーに距離があると観客に気を遣わせてしまう。ステージ上で仲よくするということではなく、普段からのコミュニケーションが大事だと、プロのガールズグループとしての心構えを伝えた。
続いて個人評価。評価コメント後に、結果が伝えられる。
KOKO「総合的にバランスがよかった」
まずKOKOについて、ちゃんみなは「見せ方、表情、ダンス、歌、総合的にバランスがよかった」としつつも、「ちょっとだけ天井が見えそう」とも警告する。「KOKOが見せたいものがKOKOの中で固まりすぎている気がする」という。喜怒哀楽がパターン化されているのではないか、同じことを言われても違う感情になる練習をしなければならないとした上で、5次審査の通過を告げた。
KOKONA「本当にプロっぽかった」
続いてKOKONA。前回の審査ではちゃんみなから「ラップをちゃんとやりたいのであればズバ抜けなきゃいけない。(……)今まで見てきた感じだとだいたい一緒だった」と言われ、ギリギリの通過となった。そんな彼女に、「KOKONAがここで止まっちゃう可能性があるだろうな思っていたんだけど、そんなことなくて今回の擬似プロでは、本当にプロっぽかったです」と評価。ただ、歌詞にはもう少しパンチや個性が欲しいとも。いろんな音楽を聴いて、たくさん曲を書く練習をしてほしいと次の課題を与え、5次審査通過となった。
そんなKOKONAにSKY-HIも次のように語りかける。
「自分の発声スタイルを見つけるのは逆上がりみたいなもので、できてしまうと『なんでこんなこと今までできなかったんだろう』となる。それまではトライ&エラーをしばらく繰り返すことになるので、人によっては地獄のような期間だし、ここからトライ&エラーの海にもうしばらく潜ってほしい」
SAYAKA「この声を絶対になくしてほしくない」
続いて、SAYAKAについては、「SAYAKAの声は唯一無二。この武器はみんながもらえるものじゃない。天性のものだから大事に宝として扱わなきゃいけない」とちゃんみな。しかし、SAYAKAは今回の審査でそれをうまく扱えていなかったという。彼女の中にはなりたいアーティスト像があるはずだが、それを実現させるには時間が足りないと指摘。
「まだ実力が足りないかなって。歌唱力、体力、筋力。でも、この声があるということがすごく大事で。すごく迷ったんだけどもSAYAKAはここまで。この声を絶対になくしてほしくないので、大事に大事に鍛えて、大事に大事に守って、素晴らしいステージで会いたいなと思います」
SAYAKAは悲痛な面持ちでむせび泣く。会場の緊張は一気に高まる。
「やりたいことをやるにはまだ時間がかかるのはわかるし、みんなもっと素晴らしいステージを見せてくれると思うので、みんなのこれからを楽しみに応援しようと思います」
涙を流しながら必死にコメントするSAYAKA。合宿をともにした仲間のそんな姿を見つめる候補生たちの表情は、これまで以上に険しかった。
CHIKA「今まで以上にがんばってほしい」
重々しい空気のなか、次はCHIKAの番だ。ちゃんみなからは実力があるのだから自信を持つようにと言われ続け、徐々に自信を持ち始めていた彼女。だが、ちゃんみなの評価はあまりよくなかった。
「ちょっと残念だった。今までで一番目立ってなかった。いろんな人に気配りすぎて自分のことはフォーカスできてなかったんじゃない?(……)まわりをすごく押してる感じがしていて。人間としてはすごく大事なことなんだけど、パフォーマンスをする上では自分のことができた上じゃないと、やる資格がない。自信持ってくれって言ったじゃない? 自信持つって、自己愛もすごく大事。(……)このまま進むとただ歌がうまくてただダンスが上手な人になる。それが一番怖い」
ダンス歴14年のCHIKA。振りを率先して考え、ダンスが苦手なメンバーにも寄り添い、チームからは頼られる存在だった。
CHIKAは悔しさをにじませる。しかし続けてちゃんみなは、CHIKAの声や歌詞はやはりズバ抜けているとも評価。「次もいてもらいたいが、今まで以上にがんばってほしい」と厳しい指摘の上での5次審査通過となった。
「思うことがあっても言うことで空気が悪くなるぐらいなら言わないほうがいいかな、と思うことがいっぱいあって、話すことをあきらめてしまった自分が本当に悔しいし……」
そんなCHIKAにSKY-HIは、「自分を殺すチームワークは必要ない」と伝える。全員が自分を活かすチームワークをすることが重要だという。自分を殺さないためにも「今から1時間空気を悪くしましょう」と提案して、時間を区切って意見を言い合えばいいのでは、と具体的なアドバイス。「言わないのは自分にとってかわいそうなことだから、それはなしにしましょう」と続けた。
FUMINO「一番よかった」
候補生たちへの厳しい指摘が続く。次のFUMINOはどうだろうか。重々しい空気が流れるなかで、ちゃんみなはこう断言した。
「一番よかったです」
FUMINOほど成長した人は見たことないという。通過者を決めるミーティングでも、ちゃんみなは、彼女の成長ぶりに興奮していた。「こんなに成長するって正直思わなかった」と絶賛し、5次審査通過となった。
「最初にチームが決まったときに、けっこうやばいなと思って。歌もダンスもやばい人がまわりにいっぱいいるから、最高な環境だなって。ありがてえと思って」
FUMINOの話を聞いて思わず笑うSKY-HIとちゃんみな。空気が少し軽くなったようだった。そんな彼女についてSKY-HIは、「今のワードが物語っている。その環境で沈んでいかないで、すごい環境だな、ありがたいなと思える。その時点で勝利だったのかな、という気がします」と賞賛した。
MOMOKA「ちょっと詰めが甘い」
続いてはMOMOKA。ステージで圧倒的な存在感を放っていた彼女。以前ちゃんみなからは、「パフォーマンスではMOMOKA色の風が吹く」とも言われていた。
ただ、ダンスには課題があった。今回の審査でも「ちょっと詰めが甘いのを感じる」「体が重たそう」とちゃんみな。さらに、「忍耐力が足りないのではないか」と指摘する。ストイックにならないとパフォーマーとしては足らない、ここから先はもっと努力しなければならない、と警告した上での通過となった。
ちゃんみなはプロとしての意識についてこう語る。
「普段の発言とか態度からストイックさって出る。生活からどこらへんで自分が忍耐力がないのか考えて整理してみて。(……)パフォーマンスに出るマインドは私生活からくるので。ストイックな部分は表に出る人としては必要不可欠。これはプロとアマチュアの違い。ここだけはやらないと差がつかない」
YURI「次までに絶対変わって」
Aチームの最後はYURIだ。ちゃんみなは、YURI自体にカリスマ性があるとずっと評価してきた。一方で、パフォーマンスの表情が一定になっているとも。今回の審査でもそれはあまり改善されていなかったようだ。「YURIの反骨精神や抱えているものをもっと見たい」とちゃんみな。
同じ表情ばかりしていてはファンはついてきてくれない、と教える。それに加えて、どれだけスキルのバランスがよくても、表情がついてこないとバランスが悪くなると続ける。
それでもやはりカリスマ性やスキルのバランスはいいとして、YURIは5次審査通過となった。ただちゃんみなは、「絶対に変わってくれ、次までに」と念を押す。表情を鍛えるためにはいろんな感情になる必要がある、その感情を人に伝えてみる必要がある、と課題を与えた。
ちゃんみなは、表情を鍛えるために1日2時間鏡を見てきたという。自分が泣いたり笑ったりしたときにはカメラを回し、今どんな顔をしているのか自分を研究材料にしてきたとYURIに伝えた。そのアドバイスを受けて、最終審査までにYURIはどう変化していくのだろうか。
こうしてAチームの結果発表は終了。6名が5次審査通過となった。次回のEp.12はBチームの審査発表へ。最終審査に進めるのは14人中何人となるのか。
【『No No Girls』Ep.11配信予定】
■2024年12月20日(金)20時~