若手芸人は「時間がない」?大倉士門&四千頭身・石橋と実践トレーニング【モシモシいけ サバイバルマラソン優勝への道】
“アスリート芸人”は数多くいるが、お笑いトリオ「モシモシ」のいけは、フルマラソンで3時間切りを達成するほどのスーパーランナー。お笑いと同じくらいの情熱をマラソンに注いでいる。
そんないけが、7月20日・21日に放送される『FNS27時間テレビ』(以下:『27時間テレビ』)の通し企画「100kmサバイバルマラソン」に『深夜のハチミツ』(フジテレビ)代表として出場決定!
今回は、マラソントレーニングのリアルをレポート。練習メニュー、食生活やメンタルケアのポイントは?
昼はバイト、夜はライブ。「走る時間」はいつ取るのか?
いけの朝は早い。
早朝5時45分に起床。身だしなみを整え、簡単な朝食を取り、バイトへ向かう。
バイトは、低酸素トレーニングができるジムのスタッフ。会員さんと一緒に体を動かすことも多々。
帰宅後、昼食を取り、さすがに仮眠。
この仮眠でいかに疲れを抜くかが肝。
その後はお笑いライブへ。これが本業。いつもがんばる。
ライブを終えると、若手芸人界隈で噂になるほどの圧倒的スピードで一目散に帰宅。
自炊し、夕食を取り、風呂に入り、ストレッチして、布団に入るのがだいたい24時。
芸人なんだけど、「芸人っぽくない」スケジュールで過ごす、これが、いけのベーシック。
そう、意外と、走る時間が、ない。
一般的な市民ランナーの多くは、平日仕事・土日休み。
だいたい平日の仕事前や仕事終わりにランニングをし、土日の休みを使って長い距離を走ったりと、練習のリズムが作りやすい。
しかし僕のような若手芸人は、基本不規則。土日だってバイトもあるしライブもある。逆に何もない日もある。毎日が同じ繰り返しだったらうまくやれるけど、そうはいかない。なかなかリズムが作りにくいのです。
昼食後の仮眠を削って走ればいいじゃん、と思うかもしれないが、
あくまで僕は芸人。夜のライブには絶好調の状態で望まないといけません。
そして早朝から始まるバイト。これがなくては、生活ができません。
バイトとライブ、これらをしっかりこなしながら、走る。
強い気持ちと、体力、時間管理が必要になります。
そんななかで舞い込んだ『27時間テレビ』100kmサバイバルマラソン出場。
100kmを走りきるため、そして優勝をするためには、もちろん練習をしなければなりません。
僕は普段、月間でトータル250kmを目標に走っています。
これは、僕がランナーとして能力を向上させつつ、芸人としてきちんと活動ができ、なおかつケガせず、ほどよく休みを入れながら、健やかに生きていくことができる、絶妙な距離設定。
これ以上走ると、気づいたらケガをしています。ライブで急に滑舌悪くなります。この距離が、痛みの先で導き出した答えです。
プロのランナーや、箱根駅伝に出場するような選手たちは、
月間で700km以上走るといわれています。
週に換算すると約175km。1日に換算すると25km。
僕には、無理です。これを目指そうと思ったら、一瞬でケガをするか、動く気力を失って終了です。
限られた時間と距離の中で、いかに質の高い練習ができるか。
これを意識して、練習に取り組んでいます。
「100kmマラソン優勝」はそんなに甘くない!
僕の主な練習メニューは、この3本柱です。
【1】ロング走
【2】スピードトレーニング
【3】ジョギング
まずロング走。これは100kmを走りきる上で最も大事な練習です。
長い時間、体を動かし続けることを体に覚えさせる作業です。
ペースはゆっくり。距離はだいたい30km。距離よりも時間に重きを置いて走っています。
僕は正直な話、長い距離は得意ではありません。フルマラソンも、向いているかといわれるとそこまでではないと思います。もっと短い距離のほうが得意なタイプ。
だから、最近会った人に「100kmマラソン、優勝できるんじゃないの?」と言われるけど、全然。そんなに甘くない。自分の適性は理解しているつもり。僕にとって100kmは、まずチャレンジ。だから長距離の克服のために、このロング走は僕にとって超大切。
そして、スピードトレーニング。
本番では、ラスト3km以降から次第にペース設定が解除され、本格的なレースが始まります。ここで求められるのは、やっぱりスピード。ラストスパートでいかにキレよく走ることができるかが肝です。
僕はもともと、スピードタイプだと自負しています。
高校時代に800mを専門でやっていたころから、僕の爆発的なラストスパートは、我ながら目を見張るものがありました。
当時一緒に走っていた部員たちは、僕のスパートが速すぎて若干引いていたと思います。自転車でいうギアが3つくらい搭載されています。当時ほどのキレはもちろんありませんが、今でも自信はあります。
ただし今回は、97km走った上でのラストスパート。事情が違います。
なので、あえて体が疲れた状態から、スピードを出せるか、そこに重点を置いて練習しています。
たとえば1000m×5本。最初の3本は体に負荷をかける目的で、残り2本でしっかり体を動かせるかを意識して。体が元気な朝ではなく、疲れた夜にやったりしています。
そして、先述したとおり、僕は低酸素トレーニングジムでバイトをしているので、そこでもスピードを出す練習を行っています。
低酸素空間でのトレーニングは、通常よりも短時間で効率的に負荷をかけられるし、なにより心肺機能の向上が見込めるので、空いた時間でサクッと追い込めるのが最高です。
また、トレッドミルで走るため、コンクリートの路面よりも衝撃が少なく、ケガの予防という点でも優秀です。ダイエットしたい方や運動習慣をつけたい人にもおすすめ。バイト先の宣伝みたいになっちゃってますが、マジでいいです。
そして、日々のジョギング。
これが意外と一番大事だったりします。僕はだいたい10km走ります。これはもう日課です。
ジョギングとひとくくりにいっても、走るペースや選ぶコースによって、その目的や効果は違います。
ランナー界隈では、アクティブレストといって、「疲労を抜くために走る」という概念があります。普通に理解し難いと思いますが、やってみるとそのとおりで、ちょっとでも体を動かすのと、一日横になっているのとでは、翌日の体の状態が違います。
ロング走やスピードトレーニングが「点」だとしたら、それらを日々のジョギングという「線」でつなぐ。この意識で、これまで練習を積んできました。
そして、これも練習のひとつといっていいでしょう、「体のケア」。これは超念入りにやっています。
僕も気づけば31歳。普通にガタがきます。マラソンの練習において、「継続」は最重要事項。だから、絶対にケガをしたくないのです。その一心で、毎日お風呂上がりは30分ほどかけて、ストレッチと、マッサージを行っています。
本当は整体とかも行きたいですが、お金がありません。セルフケアでしのいでいます。整体行きたい。苦しい。
大好きな揚げ物とビールを断つ!マラソンに向けた食生活
そんな僕の食生活は、めっちゃ食うし、普通にお酒も飲みます。
好きな食べ物は、カレー、からあげ、つけ麺。晩酌もします。お酒はあったらいいな、ではなく、ないと嫌派です。ビールを中心に、基本なんでもいけます。
これ以上好きな食べ物の話をするとこらえきれなくなってくるので、このあたりにさせていただきます。
少し気を抜くと、余裕で太ります。まったく走っていなかった社会人時代は、今より体重が15kg重かったです。太りのポテンシャルの持ち主です。
マラソンをやる以上、やっぱり軽いほうがいい。
ダンベルを体に巻きつけて走ったら、遅くなるに決まっています。
普段は好きなだけ食べるし、好きなだけ飲む。それを楽しむために走っていると言っても過言ではない。
だけど、マラソン大会前や、100kmサバイバルマラソン前の現在、食事制限はしっかりやっています。
100kmの出場が決まった日(約2カ月前)から、食事をクリーンにするよう心がけています。余分なものは摂らない。必要なものをしっかり摂る。
最近はサバをよく食べています。あと納豆・キムチ・豆腐、このあたりも鉄板です。このセットはほぼ毎日食べています。
そして、揚げ物とビールを断ちました。
先日、ケータリングでいただいた唐揚げ弁当を、漬物とつけ合わせのおかずで完食しました。唐揚げ不在の唐揚げ弁当。プロ意識。涙なしでは語れないエピソードです。
大好きなつけ麺も、月に2回くらいだけ許して、あとは断っています。たまにはいいでしょう。
この期間で僕が気をつけていることは、まず「痩せすぎない」。
ロング走をすると、ガクンと体重が落ちます。水分補給やエネルギー補給を途中でしっかりしても、2~3kg落ちていることが普通にあります。ガンガン削られていっています。
シンプルに痩せることが目的であるならばこれでいいですが、目的は、「勝つこと」。100kmを走りきる上で、最後に振り絞れるパワーを持っていないといけないはずです。
ある程度の蓄えも必要だと思っているので、食べるべきものはしっかり食べて、痩せすぎないように注意しています。
そして、「心の健康を乱さない」。
食事制限しすぎて、ストレスになることは避けたいです。食事の楽しみは常に持っていたいから、節制する中でも、厳密にしすぎないように。たまに息抜きもしています。
そしてお酒に関しても、本番1~2週間前はさすがに抜きますが、たまにはよしとします。僕にとってお酒はリフレッシュになるので、ほどほどに。ビール以外の、ハイボールやホッピー、ノンアルコールビールなど、比較的カロリーの低いもので補っています。
なぜ僕がここまでやるかというと、
それは、ただ単に体を仕上げたいからとか、速く走れるからとか、それだけではありません。
正直、この減量が、僕のレベルでどのくらい効果があるのか、正解はわからないです。
なぜやるか、それは、
何かを制限することによって、本番の「自信」につながるから。
「俺はこのために、ここまでやったんだ」
その気持ちが、優勝をかけたラストの勝負の分かれ目になると思っているからです。
僕はフルマラソンを走る際、最後の最後、本当に苦しいところで、
ゴールのあとに何を食べるかを想像します。
そのときに食べたいものを思い浮かべ、たとえばラーメンとすると、
「ここでベストを出せずに食べるラーメンより、ベストを出して食べるラーメンのほうがうまいっしょ」
この思考で最後の力を振り絞ります。
体の奥底に眠る、「食べたい、しかもよりおいしく」という野性が研ぎ澄まされて、経験したことのないエネルギーが湧いてきます。
挫けそうなときに、より幸せになれる選択肢を取れるよう、気持ちを作る。
その気持ちを最高潮に持っていけるように、制限をする。
その制限が、自信につながる。
僕の食事制限は、心のトレーニングでもあるのです。
本番まで残り期間が短くなってきました。
すでに食べたい物が山ほどあります。少し前まではカツカレーでした。その前はカップ麺。これはコロコロ変わります。何周もします。
今は、よくわからないけれど、そうめんチャンプルーです。未知なるルートに入りました。
100kmが終わったら何を食べようか。そんなことを想像しながら、今日も練習に行ってきます。
大倉士門&四千頭身・石橋と切磋琢磨した日
先日、同じ出場者の大倉士門さんと四千頭身・石橋(遼大)さんと、皇居にて40kmの実践トレーニングを行ってきました。とてもいい練習ができました。
一緒に走ると急速に心の距離が縮まり、おふたりのことが大好きになりました。こう思っているのが、僕だけではないことを切に願う。
おしゃべりしながら、励まし合いながら、同じゴールに向かって走る。こんな素敵なこと、ほかにありません。
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