写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
二百聞は二見にしかず
第104回。
先日開催した初の個展『SIKI』とミニライブ。
張り裂けそうな緊張感の中、スタッフチームの支えに助けられて無事に終えることができました。
自分の生活の機微を記すために行っていた絵画や詩。
それらを人前で発信することになんの意味があるのかと、開催日を迎えるまで何度も思い、やっぱりやめようと3日に1回は宣言していました。
ですが、実際に初日を迎え、多くの人がそれぞれの持つ人生を投影して、僕の絵と交錯していく光景を目の当たりにしたとき、なんとも不思議な高揚感と深いところに感じたつながりに、人間というのはつくづくおもしろい存在だなあと思わされました。
今回はそんな展示だけにとどまらず、初ライブも敢行。
会話だけで伝えられたらラクなものの、それができない自分の想いを感情変換装置に乗せてみようと。
こちらも手をつけ始めて早々にやっぱりやめよう、もはやこのまま消え去りたいと逃亡を図りましたが、なんとか本番までこぎつけてお客さんからの声援と拍手をいただいたとき、自分のことじゃないような感動と遅れてやってくる温かさに、初めての感情になりました。
未だにすべての出来事を捉えきれてないです。
またその光景を目の当たりにできたとき、前より自分のことのように感じられるのかを知りたくなったため、もう少しこの活動を続けてみようと思いました。
おそらくすぐやめようと思いますが。
状況も規模感もまったく違いますが、宮崎駿監督の作品を発表するたびに行う引退宣言を僕は今後、二度と笑わないでしょう。
二百聞は二見にしかずな1週間でした。
NAOYA(ONE N’ ONLY)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ、工藤遥、RUI・TAIKI・KANON(BMSG TRAINEE)、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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