マームとジプシー『cocoon』沖縄から北海道まで全9都市で上演。藤田貴大によるコメントも到着

2022.5.25
MUM&GYPSY 15th anniversary year vol.2『cocoon』

文・編集=QJWeb編集部


今日マチ子がひめゆり学徒隊に着想を得て描いた『cocoon』。このマンガを原作に、「マームとジプシー」を主宰する藤田貴大が作・演出を手がけた舞台『cocoon』の3度目となる上演が、7月9日の東京芸術劇場プレイハウスを皮切りに全国9都市で行われる。

ここでは公演の詳細と、公演に際して届いた藤田貴大によるコメントをお届けする。

設立15周年を迎える「マームとジプシー」による7年ぶりの上演

2013年に初演、2015年に再演された『cocoon』。2022年で設立15周年を迎える演劇ユニット「マームとジプシー」による7年ぶりとなる上演は「MUM&GYPSY 15th anniversary year vol.2」と銘打たれ、沖縄から北海道まで全9都市を巡るという。

もともと2020年夏に全6都市を巡るツアーが予定されていた『cocoon』は、新型コロナウイルスの感染拡大予防の観点によって全公演が中止になっていた。そこからの約2年間、今回の上演に向けてつづけられてきた作業の断片が特設サイトにて「cocoon works」として公開されているので、ぜひチェックしてほしい。

『cocoon』公演に寄せて──藤田貴大

いつだってずっと、もう何年も。どこか内側に在るシーンというシーンは、眼裏で目まぐるしくリフレインしている。最速のスピードを持って、脳内を駆けめぐる。

あの季節の、あの湿度のなかを走りつづけている。もしくは、歩いている。校舎のなかを。休み時間、教室から教室へ。廊下を、歩いている。なんともない日々の眺め。しかし、その平穏さが一変する瞬間。いつのまにか忍びよっていた影に気づかずに、ある瞬間。いとも簡単に内側は壊されて、破裂した。

わたしたちは、終わることのない“cocoon”のなかを生きている。生きるしかない。

どういう音のなかで。どんな感触を持って。わたしたちは歩くだろう。走るだろう。旅にでたわたしたちは、どこでだれと出会って。なにを想うだろう。出会っただれかのなにかに、触れることはできるだろうか。

現在、変わることのなかったこの世界を生きて。あのあとの、そのあとの世界をどうして生きるのかという問いに抗いながら、でもやはり生きて。なにを想像するだろう。

もうとっくに内側は、空想の繭は破裂している。外に放り出されて、ただ立ち尽くして。なにを見つめて。耳を澄ませて。想像するか。

歩いて、そして走る。届くはずのない足音がここまで届いている気がするから。

2022.4.25 藤田貴大

マームとジプシー『cocoon』
マームとジプシー『cocoon』
マームとジプシー『cocoon』

マームとジプシー『cocoon』公演概要

MUM&GYPSY 15th anniversary year vol.2『cocoon』

MUM&GYPSY 15th anniversary year vol.2
『cocoon』
原作:今日マチ子(『cocoon』秋田書店)
作・演出:藤田貴大(マームとジプシー)
音楽:原田郁子
出演:青柳いづみ、菊池明明、小泉まき、大田優希、荻原綾、小石川桃子、佐藤桃子、猿渡遥、須藤日奈子、高田静流、中島有紀乃、仲宗根葵、中村夏子、成田亜佑美、石井亮介、内田健司、尾野島慎太朗

【東京】2022年7月9日〜17日:東京芸術劇場プレイハウス
【長野】2022年7月23日〜24日:サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)小ホール
【京都】2022年7月30日〜31日:京都芸術劇場 春秋座(京都芸術大学内)
【愛知】2022年8月6日〜7日:穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール
【福岡】2022年8月14日:北九州芸術劇場 中劇場
【沖縄】2022年8月20日〜21日:那覇文化芸術劇場なはーと 小劇場
【埼玉】2022年9月2日〜4日:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
【北海道・伊達】2022年9月17日:だて歴史の杜カルチャーセンター
【北海道・士別】2022年9月23日:あさひサンライズホール
※公演概要は各劇場のホームページにて

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