ゾンビ映画の第一人者のジョージ・A・ロメロ監督が1973年に手がけた幻の未発表映画『アミューズメント・パーク』が、10月15日(金)より東京・新宿のシネマカリテにて公開される。
ホラー映画ではなく、ロメロ監督の視点で現実を映し出した
ロメロ監督といえば、1968年に公開されたゾンビ映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』が大ヒット。一躍“ゾンビの神様”となった彼は、その続編として制作した『ゾンビ』(1978年)が大当たりし、ホラー映画の巨匠として多くのフォロワーを生む存在となった。
今回公開が決まった『アミューズメント・パーク』が発見されたのは、今から3年前のこと。元々は、年齢差別や高齢者虐待について世間の認識を高めるため、ルーテル教会がロメロ監督に依頼した企画だったが、でき上がった作品は老人の悲惨な状況が容赦なく映され、あまりにもストレートに当時のアメリカ社会を描いていたため、依頼者が慄き、封印されたという。
解禁された予告編では、「外は楽しくない」と落胆するボロボロの老人(リンカーン・マーゼル)に対し、きれいな装いの老人(同じくリンカーン・マーゼル)が「自分で確かめる」と言い、意気揚々と外出する。しかし若者たちで混雑する「アミューズメント・パーク」では老人は邪魔者扱い。スリにも遭い、人々は老人に厳しい。「誰もが行きつく先…」というテロップが観るものの目を覚まさせ、そして老人は「何も…何も…何もないんだ」と嘆く。老人のうしろ姿を捉えたカットの、その肩の落ち方が凄まじく、観ているこちらもいたたまれなくなる──米国の高齢者虐待問題を容赦なく描写した問題作となっている。
ホラー映画ではなく、ロメロ監督の視点で現実を映し出した封印作品が4Kレストアされ、日本初上陸。一般公開に先駆け、新宿シネマカリテで開催中の映画祭『カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2021』内では、ロメロの命日である7月16日(金)に同作が先行上映される。
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