【第2回】窪塚洋介 「環境=神様」なんです(2003年12月収録)

2020.1.15

取材・文=谷崎テトラ
2004年当時の窪塚 写真提供=アスマキナ


25年を超える『クイック・ジャパン』の歴史の中でも衝撃を呼んだ記事のひとつに数えられる、2003年の師走に行われた窪塚洋介ロングインタビュー。彼がよく発していた「ポジティブ・チューニング」という言葉は話題になり、その思考は議論を呼び多くの若者に影響を与えた。水が世界に平和をもたらす鍵になるという話から、窪塚流の環境問題の考え方まで、思考がフル回転すること必至の第2回のインタビューをお届けします。

【第1回】窪塚洋介 「反戦」「平和」の真意(2003年12月収録)

いいことも悪いことも、それをポジティブなガイダンスとしてとらえていく――ポジティブ・チューニング

『凶気の桜』撮影終了後、窪塚洋介の考え方のベースは大きく変わった。問題を提起するだけでなく、異なった価値観をどのように受け入れ、和していくのか。窪塚洋介は、やがて自分の身の回りに起きていること、起こること、そのすべてが自分に対するガイダンス、すなわちサインやシグナルである、と考え始める。いいことも、悪いことも未来へのプロセスとして受け入れる。どんな状況も前向きに対処し、自分の血肉にしていくという。それが「ポジティブ・チューニング」という生き方だ。

窪塚 いいことも悪いことも、それをポジティブなガイダンス(※1)としてとらえていく。それがポジティブ・チューニングなんです。今までポジティブ・シンキング(※2)だったじゃないですか。ポジティブ・シンキングは、その都度その都度の選択で物事を肯定的に考えようってことだけど。俺が言ったポジティブ・チューニングはもう、合わせっぱ。ずっとポジティブな波長に合わせておく。だから常に、「俺はこのスタイルです」みたいな。

――そのコツを、少し教えて欲しいな。

窪塚 すべては陰陽(※3)と考えてみる。あの白黒の陰陽マークがあるじゃないですか。あれは、どんないいことの中にも悪いことがあって、どんな悪いことの中にもいいことがあるという。「どっちやねん!?」っていうところで、結局、全部がそれがガイダンスだと考えていく。常にポジティブなところにチューニングを合わせておく。どうしたってへこむような出来事も自分のとらえ方で全部プラスに変えていけると感じるから。それはもうスイッチみたいな感じですよね。本当に全部アリだと思ってるから。だからこそ俺は「現象」に惑わされないようにしたい。まず陰陽のマーク、それからワンネス(※4)という意識。もともと全部ひとつのいのちから始まったということを思い出していく。

――思いが世界を変えるということかな?

窪塚 思いが水の結晶(※5)を変えるんであれば、当然、その人の細胞の中に水があるわけで。で、やっぱり自分自身の体の細胞の中の水に対して語りかけるということで、物理的に変化が起きる可能性はあると思うんだ。だから本当、いろんなことにすごい感謝するようになった。毎日なんか、「ありがとう」って。そうするとなんか7倍ぐらいになって還ってきてるような気がするんだよね。

――それでも変えられない現実の壁もあるよね、戦争やテロとか。そんな中、前向きに考えることって難しいよね。

窪塚 今、イラクで、米軍が劣化ウラン弾(※6)の被害で、無脳症とか、脳みそのないまま生まれてくる子とか、すごい奇形で生まれてくる子がいっぱいいて。で、その写真を撮ってる森住卓(もりずみ・たかし)さんというカメラマン(※7)がいるんです。先日、京都・高槻高校の文化祭でその写真を展示して、みんなでそれについてディスカッションしたんです。

――劣化ウラン弾の被害、イラクで今すごいよね。広島とか長崎で落とした原爆よりも、さらにたくさんの量のウランがイラクで使われている。湾岸戦争に行った人の中で数万人単位の人が障害を持っている。広島とか長崎よりも、ひどい被害がイラクで起きているそうだね。

窪塚 で、この子たちが何のために生まれてきたのかという話をして。森住さんは「この子たちは俺たちに”怒れ”と言っているんだ!」とおっしゃってました。「こんな世界を作った大人たちに怒れ!立ちあがれ、子供!」みたいな。そういうメッセージだったんだって。

――なるほど。

窪塚 でも、その子たちが生まれてきたのは、俺たちに怒りを覚えさせるために生まれてきたんじゃなくて、もうそういう子たちが生まれてこない世界を作るために、その子たちがいるんだと思う。その出来事から、俺たちがどういうガイダンスを受け取るかということが大切。そういう子たちが生まれてこない世界を作ることが大切だと思うんです。

――「憎悪は憎悪しか生まない。どこかでこの連鎖を断ち切らなきゃいけない」これは、ガンジーの言葉だけど。そういう感じかな。

窪塚 そういうときに、「感謝」という言葉って使いづらいけど、でも本当のところではそうだと思うからさ。感謝して、それから各自がどう行動していくかってことだと思う。

――簡単なことじゃないね。

窪塚 遠くで苦しんでいる子供たちのことって、具体的に情報として「聞く」ことはあっても、「感じる」というところがないから分かりづらいんだけど。ごはんを食べてて、「食べられない子がいるのに……」と言われたりしてたでしょ。小さい頃とか。でも、それで俺は罪悪感を持たない方がいいというか、自虐的な方にいくんじゃなくて、だからこそ「ありがとう」という方に変えていく。俺はそういう風にしたいなと思って。それで、具体的にできることをしていく。無視したり、固まったりするんじゃなくてね。例えばコンビニで、あまったおカネを募金箱に入れるとかね。できる範囲でやれることってけっこうあるから。どんどん、どんどん、それを楽しみながらやっていくってところに、自分を持ってきたいなと思ってる。


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