少子高齢化も、地方の人口流出も止まらないのはなぜか。(荻原魚雷)

2020.2.6


新参者に「嫌がらせ」をするムラ社会

冷暖房ありの生活を味わってしまうと、それがなかったころの暮らしに戻るのに抵抗が生じる。都市暮らしもそうだ。プライバシーが確保され、徒歩圏内で生活必需品がそろう町に住み慣れてしまうと、田舎の人付き合いがわずらわしくなる。

高齢化社会における若者は常に少数派であり、年功序列の風土の中では最下層である。上がつかえていて、下はどんどんいなくなる。

無理矢理前向きに考えれば、少子高齢化の進んでいる地域は、後継者不足で同世代の競争がゆるい土地ともいえる。

地方都市のシャッター商店街

少子高齢化によって、農業や林業、漁業、狩猟、伝統工芸など、あらゆる分野で長年培われてきた知識や技術が途絶えかけている。世代間の対立を煽っている場合ではない。

若い人からすれば、高齢者から知識と技術を継承し発展させていく余地はいくらでもある。

問題はその伝統を継承した人たちがちゃんと食べていけるかどうかってことなのだが、人口減少地域にかぎって新規参入者を支援する体制がない。支援どころか、新参者に対し「嫌がらせ」をするムラ社会の陰湿な風習が残っている地域も少なくない。「地方移住/嫌がらせ」で検索すると出るわ出るわ。

わたしが見たのでひどいとおもったのは地方で畑を借りて、地道に土を育て、ようやく収入が得られるようになった途端、「そろそろ土地を返して」といわれた例だ(もちろん違法である)。畑を買ったけど、用水路から水を引かせてもらえなかった――なんて話もある。

地方の人口減少には理由がある。田舎の人がみんな優しくていい人だったら、今のような状況にはなっていない。

少子高齢化は止まらないし、地方の人口流出も止まらない。

なぜこんなことになったのだろう。どこかの団体が「こどもは二人以上」と呼びかけても、現状は変わらない。

おそらくこの先の日本が自然に人口が増える社会になることもない。わたしはSFによくある人工子宮による出産をはじめ、少子化問題の解決は科学の力でなんとかならないかと考えている。その先端研究を秋田県でやってはどうか。

50年後くらいに。


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荻原魚雷

(おぎはら・ぎょらい)1969年三重県鈴鹿市生まれ。1989年からライターとして書評やコラムを執筆。著書に『本と怠け者』(ちくま文庫)、『閑な読書人』(晶文社)、『古書古書話』(本の雑誌社)、編著に『吉行淳之介 ベスト・エッセイ』(ちくま文庫)、梅崎春生『怠惰の美徳』(中公文庫)などがある。毎日新聞..

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