2021年4月25日(現地時間)に開催される第93回アカデミー賞。この華やかな映画界最大の祭典にも、新型コロナウイルス感染症による影響がそこかしこに出ている。
海外ドラマ評論家・映画ライターの池田敏氏によると、全23部門、計118ノミネーションのうち動画配信サービスの作品が約56%を占めるという。
コロナ禍のアカデミー賞における、動画配信サービスの躍進の理由を分析する。
目次
コロナ禍で変化を求められたアカデミー賞
2021年4月25日(日本時間・同26日)に授賞式が開かれる映画界の祭典、第93回アカデミー賞。だが新型コロナウイルス感染症の影響下、全米の映画館が長期間の休業を余儀なくされた2020年を反映し、選考対象を定めるルールが例年と変わった。
大きなポイントはふたつ。大ざっぱにいうと本来は前年12月31日までにロサンジェルスで1週間以上連続公開された作品が対象だったのが、今年2月28日までに全米6都市のどこかで上映された作品も対象となった。惜しくも長編アニメ映画賞のノミネートは逃したが、日本映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が2月26日からマイアミで公開されたのはこうした背景があってのこと。ちなみに『劇場版「鬼滅の刃」~』は4月23日から全米公開される予定である。
そしてもうひとつは、Netflix、ディズニープラスなどの動画配信サービスにおけるストリーミング配信で初公開された新作も対象となったこと。これまでノミネートされた動画配信サービスの作品は、米国で劇場公開もすることでエントリーを可能にしていた。
そして3月15日に発表された全23部門、計118ノミネーションのうち、筆者の集計によれば、動画配信サービスの作品は約56%となる計66ノミネーションを獲得した。
Netflix作品が16作品38ノミネート
その筆頭はNetflix。なんと16作品が計38個のノミネーションを受けた(※編集部注:日本におけるNetflix作品。米Netflixでは合計16作品35ノミネート)。アカデミー賞に初めてノミネートされたNetflix作品は、2014年3月に開催された第86回での長編ドキュメンタリー賞における『ザ・スクエア(原題)』。
Netflixが日本を含む世界でビジネスを拡大したのは2015年で、当初から映画界への対抗意識を燃やしていたのがわかる。第89回で『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-』が短編ドキュメンタリー賞に輝いたのにつづき、長編ドキュメンタリー賞も、第90回に『イカロス』で、第92回に『アメリカン・ファクトリー』で受賞。そして第91回といえば、アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』が同年最多タイの計10ノミネーションとなり、『ボヘミアン・ラプソディ』の4部門に次ぐ3部門で受賞してみせた(『グリーンブック』『ブラックパンサー』とタイ)。
今年最多の10ノミネーションを獲得したのは、『ソーシャル・ネットワーク』などで知られるデヴィッド・フィンチャー監督のNetflixオリジナル映画『Mank/マンク』。名作『市民ケーン』誕生の舞台裏を描いた。しかし今年のオスカー・レース全体を見渡しても感じるが、“多様性”が重視される近年の米国を考えると大量受賞は難しいように思える。
Netflix作品で2番目に多い6ノミネーションを得たのは『シカゴ7裁判』。実際にあった法廷闘争を題材とし、海外ドラマ好きにとっては『ザ・ホワイトハウス』『ニュースルーム』などの名脚本家でもあるアーロン・ソーキンが自身で監督した秀作映画だ。
そして大ヒット作『ブラックパンサー』などで人気が出たが、昨年8月に惜しくも急逝したチャドウィック・ボーズマンに対する主演男優賞など、計5ノミネーションを獲得したのが『マ・レイニーのブラックボトム』。今年のアカデミー賞のハイライトだ。
しかし、トム・ハンクスが主演して4部門にノミネートされた『この茫漠たる荒野で』は米国以外ではNetflixが配信したが、本国アメリカではユニバーサルの配給で劇場公開されており、Netflix作品と呼んでいいものかどうか、意見は分かれるかもしれない。
Amazon Prime Video、ディズニープラス、HBO Maxにも注目作あり
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