歴史的大事件だった『ヘビメタ編み物選手権』
『星のギガボディ』最大の出来事といえば『ヘビメタ編み物選手権』の変だ。
フィンランドで「ヘビメタの曲に合わせて編み物をする」という謎のイベントが開催されるというニュースの紹介から、いつのまにか金子さんが出場する流れに。動画審査の予選を勝ち上がった者は、フィンランドで開かれる決勝戦に出場することとなっていたが、金子さんは本当に予選突破をしてしまう。
ここで、重大な問題にぶつかった。後輩芸人たちと動画審査でパフォーマンスをしていたが、全員でフィンランドに行くとなると渡航費はかなりの金額。自腹はキツ過ぎるという結果から、クラウドファンディングにて資金を集めることになった。
目標は100万円で、かなり厳しいのではないかと予想していたが実際に集まった金額は821万円。信じられるだろうか。年収ではない、クラウドファンディングで821万円だ。ちなみに私も当然このプロジェクトに出資したひとりである。
お金の管理をしていた阿諏訪さんが、突然多額の収入があったため税金の手続きに追われる状況もおもしろかった。フィンランドに行かない阿諏訪さんだけが、面倒な処理に振り回される。気の毒なのに、とても笑えた。
リスナーの強い応援の念が届いてか、金子さんは見事『ヘビメタ編み物選手権』で優勝。大会の模様が海外のワイドショーで紹介され、日本でもメディアで取り上げられた。しかし、この話題が大盛り上がりすることはなく急速に終わりを迎える。もちろんヘビメタ編み物でバラエティに出演することもまったくなかった(唯一『勇者ああああ』だけは取り上げていた)。
歴史的大事件なのに、数カ月経つとみんなの記憶にはあまり残っていない。変な夢を見ていたかのような、目まぐるしい展開が私は極めて楽しかった。すべていい思い出として保存されている。
孤独なリスナーをそっと救ってくれる、ふたりの空気
好きなところを列挙すると本当にキリがない。阿諏訪さんの選曲が素敵なところ。曲終わりからCMに入るまでのごく短い時間で、必ず笑ってしまうかけ合いがあるところ。ボケツッコミが激しく入れ替わりながら進むところ。流行りの話題をふたりしてチェックしておらず、スタッフさんに怒られるところ。コーナーもノベルティも。全部。
もっと聴いていたい、つづいてほしいという願いは残念ながら今は叶わない。ただ、ギガボディに楽しませてもらった4年半という月日は永久に残るものだ。しばらくは、思い出を美化しながら感傷に浸る毎日となるであろう。
どのお笑いラジオにも作り出せない、ギスギスしないふたりの空気。地球での生活がつらくなった孤独なリスナーをそっと救ってくれる番組だ。
今すぐとは言わずとも、またふたりのトークが聴ける日をゆっくり待ちたい。その日まで私はずっと靴を履いておこうと思う。
奥森皐月の「クイックジャーナル」は毎月1回の更新予定です。
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