黒島結菜が光オタクを演じた『ハルカの光』を愛おしむ。珍しいEテレ本格ドラマが傑作だった

2021.3.18
大山くまおジャーナル

文=大山くまお 編集=アライユキコ 


東日本大震災から10年を目前に控えた3月8日最終回を迎えた『ハルカの光』(Eテレ)は、「名作照明」をモチーフにして、人々のこころを包み込む温かな光のようなドラマだった。ドラマを愛するライター・大山くまおが解説する。

ファーストシーンだけで心を鷲掴みに

真っ暗な海の中、煌々と漁火を放ちながらこちらへ進んでくる漁船。水面に映る光も美しい。BGMはドラムソロのみ。その光を岸から見つめる女性がひとり。こちらを振り向いて、タイトルコール。

「ハルカの光」

このファーストシーンだけで心を鷲掴みにされた。これは傑作なんじゃないか。その予感は見事に当たった。

2月8日からNHK Eテレで放送されていたドラマ『ハルカの光』が3月8日に最終回を迎えた。近年、特にプログレッシブなドラマ制作を進めてきているNHKだが、Eテレでこのような本格的なドラマが放送されるのは極めて珍しいので紹介したい。

『ハルカの光』は「名作照明」をモチーフにしたドラマ。名作照明をこよなく愛する主人公と彼女が働く照明の専門店を舞台に、さまざまな人間模様が繰り広げられる。1話25分、全5回というつつましいサイズのシリーズだ。

筆者は寡聞にして知らなかったのだが、文学や絵画と同じように照明にも名作があり、著名な建築家や彫刻家らが手がけた照明は「名作照明」として尊ばれている。生活における室内での「光」を重視する北欧などのヨーロッパで発展したもので、近年は日本でも注目されているという。確かにコロナ禍で「おうち時間」が増えている昨今、家の中の明かりを見直そうとする人が増えてもおかしくはなさそう。

光オタクの主人公、黒島結菜の魅力

この記事の画像(全2枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

関連記事

PUIPUI

『PUI PUI モルカー』はかわいいだけの癒やし系アニメではない。火曜の朝は「人類の愚かさ」を呪う時間

ooyama samune

宮藤官九郎×長瀬智也『タイガー&ドラゴン』をまだまだ語らせて。新ドラマ『俺の家の話』とのリンクも熱いのだ

2020深夜ドラマ

乃木坂46『映像研には手を出すな!』実写版が「大成功」した当然の理由

ケビンス×そいつどいつ

ケビンス×そいつどいつが考える「チョキピース」の最適ツッコミ? 東京はお笑いの全部の要素が混ざる

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターとして廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターの廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

パンプキンポテトフライが初の冠ロケ番組で警察からの逃避行!?谷「AVみたいな設定やん」【『容疑者☆パンプキンポテトフライ』収録密着レポート】

フースーヤ×天才ピアニスト【よしもと漫才劇場10周年企画】

フースーヤ×天才ピアニスト、それぞれのライブの作り方「もうお笑いはええ」「権力誇示」【よしもと漫才劇場10周年企画】

『FNS歌謡祭』で示した“ライブアイドル”としての証明。実力の限界へ挑み続けた先にある、Devil ANTHEM.の現在地

『Quick Japan』vol.180

粗品が「今おもろいことのすべて」を語る『Quick Japan』vol.180表紙ビジュアル解禁!50Pの徹底特集

『Quick Japan』vol.181(2025年12月10日発売)表紙/撮影=ティム・ギャロ

STARGLOW、65ページ総力特集!バックカバー特集はフースーヤ×天才ピアニスト&SPカバーはニジガク【Quick Japan vol.181コンテンツ紹介】