ぶっちゃけヤバい予感しかない
で、そこに何が見えるのかというと、出来合いの膨大な思考材料から「自分に使えそうな」ものを取捨選択して世界を、というか「道理」のメカニズムを構築してその説得力を競い、時に激しくバトったりする世界だ。でもってその「取捨選択」というのが、なんだろうな、旧世代の人間が連想する思考プロセスとは何か根本的に違うのが印象的だったり。えーと、宮崎駿の『ナウシカ』の世界で、滅亡した旧文明の遺跡からエンジンを掘り出して使う場面があるけど、ちょっとあんな感じに近い。妄想の余地を情報で埋め尽くされたら、後続世代がこうなるのは必然なのかもな、と思わなくもない。
カリスマYouTuberとその周囲のリスナーには都市国家っぽい文化圏が形成されていて、時にその都市国家どうしが「道理」をぶつけ合って戦ったりする。これは知的砂箱の中での異種格闘技戦じみていてなかなか興味深い。特に、「リベラル」「保守」といったアラフィフ世代が大好きな言論的枠組みそのものをまるで信用していないあたりが超興味深い。また、カリスマYouTuberの知的能力のうち「説得力」のパラメータだけが妙に肥大化してサギ商法に走ってしまい、結局バレて炎上して訴訟沙汰になるケースもあったりして、要するに今この界隈は、人間のナチュラルな賢さと愚かさ、そして宿業が凝縮されながら蠕動する見本市みたいな状況を呈している、といえるだろう。
そして私は思う。
いずれこの原始の有機スープみたいな環境から、何かすごいヤツが出てくるのではないか、と。
そのとき、既存の社会的理性は彼らが携える「道理」と「文脈」にうまく対応できるのか?
文化的権威層の興味ベクトルを見るに、ぶっちゃけヤバい予感しかない。
そういえば、ナポレオンとかヒトラーとか毛沢東も、こういった「思考材料の闇鍋」的なカオス状況から出現したのではなかったか。
だからたとえば、「なぜヒトラーを防げなかったのか?」的なテーマについて、実際には、現時点での想定の2万倍ぐらいは困難なんじゃないか、と思ったりする。
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