コロナ禍の行く末は『マッドマックス』か。文明の終わりを目撃する可能性を想像してみる

2021.2.3
マライ・メントラインサムネ

デジタル越しに、母国の親しい人々と語ることはできる。だが、もし危機的状況に陥ったとしても、お互い何ができるわけでもない。日常と化しかけたコロナの時間の中で、ドイツ人・マライ・メントラインは「コロナ的日常」の奥を見据える。ヨーロッパの歴史を遡り、幻視した未来はかなりマズい。


コロナ問題発生以前の日常に比べて……

2020年4月の緊急事態宣言以降、しばらくつづいた緊迫状態のケリがなんとなくつかないまま、いろいろと制限が付加された状態で「それなりの日常」が表面的に継続してしまっている、それが今の「コロナ的日常」な気がする。

政治・医学・その他的に議論が乱れ飛び、決定的な改善に向かわない一方で決定的な破局もない。そんな社会の状況があらゆる人にストレスを蓄積させ、ネット上にとげとげしい極論として噴出し、ストレス再生産の材料となる。残念な悪循環だ。

しかし……と私は思う。
たとえばネットがなく、外部からの情報がテレビとラジオと電話に限られた状況でコロナ問題が発生していたらどうだったか?

想像してみる。

おそらく、その孤立感と閉塞感のすごさは今の比でない。私は母国と隔絶され、ドイツの実家に戻ることができない状態だが、SkypeやWhatsAppで実家周辺の一族のグループとつながっていればそれなりに満たされる。ヴァーチャルリアリティというより代替リアリティというべきか、とにかくその感触が精神的な救いとなっているのは確かだ。国際電話じゃおそらくムリ。時代のありがたみを感じずにはいられない。そして日本とドイツ、それぞれの社会的不満や不安を語り合う。情報授受を通じて自分の中に「状況認識の落としどころ」を見つけることで、人はなんとか安眠できる。

しかしよく考えると、それらの不満や不安には、ひとつの大きな前提がある。「コロナ問題発生以前の日常に比べて……」という観点が、無意識的なベースとなっていることだ。

だから考えようによっては、まだ「贅沢な悩み」と言えなくもない。自分自身や親しい家族、友人がコロナ感染して重篤化したらそんなことも言ってられなくなるのだ。そしてほかに、その前提を崩すようなシチュエーションには何があるだろう?

正気の境界はどこにあるのか


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マライ・メントライン

翻訳(日→独、独→日)・通訳・よろず物書き業。ドイツ最北部、Uボート基地の町キール出身。実家から半日で北欧ミステリの傑作『ヴァランダー警部』シリーズの舞台、イースタに行けるのに気づいたことをきっかけにミステリ業界に入る。ドイツミステリ案内人として紹介されたりするが、自国の身贔屓はしない主義。というか..

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