現実を扱ったアニメーションを観るときに意識したいことがある。クメール・ルージュ支配下のカンボジアを描いた傑作『FUNAN フナン』を端緒に、アニメ評論家・藤津亮太が考える。 圧政に翻弄される個人 新型コロナウイルス感染症の流行が第3波を迎え、緊急事態宣言が再び発出された。未曾有の感染症流行により世界が混沌としていくこの時代は、のちにどのように語られるのか。それは誰からの視点で、どのように語られるのか。そんなことを考えながら1本の映画を観た。 現在公開中の『FUNAN フナン』は、1970年代後半のクメール
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