栄光の第1位は！
ドゥルルルルル…ドゥン！！！
第1位「海物語糞ばばあ」
まさかのおばさん！！
勿論、皆様の言いたい事は分かる。
ふざけんな！糞みたいなおじさんベスト5の1位がおばさんってどういう事だ！
日本語分かってんのか？俺は出るとこ出るぞ！
落ち着いて欲しい。
僕だって悩んだ。
本当にこれでいいのか？
ネットが荒れるんじゃないか？
でもこれでいいのだ。
もはやあんな糞みたいなばばあはじじいだ。
最後もパチンコ屋でのお話だ。
パチンコ以外思い出がない事を少し悲しく思うが、僕は人生の大半をパチンコ屋で過ごしたから仕方ない。
皆様は『海物語』という台を御存知だろうか？
リーチになって何も出なかったらほぼ当たらない。泡予告が出たらちょっとだけ当たる。魚群予告が出たら凄く熱い！
派手で複雑な台が増える中、このシンプルなゲーム性で老若男女から愛されているパチンコを代表する台だ。
15年くらい前、僕が通っていた店に、これを毎日並んで打ってる常連の夫婦がいた。
お互いに魚群が流れると、応援しあう様は非常に微笑ましい光景だった。
ある日、僕がいつものようにパチンコを打っていると、店内が何やら騒がしい。
騒ぎのある方に向かうと人だかりが出来ている。
海物語のコーナーだ。
人混みを掻き分けると、何とあの海物語夫婦の旦那様が泡を吹いて倒れているのだ。
その事自体はパチンコ屋住んでるとたまにある光景なので、別段驚きもしなかったのだが、横の奥さんを見て僕は思わず声が出た。
マジかよ……。
奥さんは号泣している。
「大丈夫！あんた！ねぇ！しっかりして！ねぇ、もう救急車来るからね！」
海物語を打ちながら。
ハンドルを全く離さないのだ。
号泣しながらパチンコを打っているのである。
「あんたー！うぅー！しっかりしてー！うぅー！」
え？どういう事？
5分くらいで救急隊員さんがいらっしゃり、応急処置の途中も奴はハンドルを離さない。
「あんたぁ！あんたぁ！」
野次馬達も全員ひいている。
ひいてるというか、目の前のホラーに足がすくんで動けないと言った方が正しい。
言ってる事とやってる事が違い過ぎて、脳がなんか追いつかないのだ。
旦那さんが担架に乗せられたタイミングで、ようやくばばあの持ち玉も尽き、ばばあが席を立つ。
良かった……。
みんながそう思ったその時……。
「リーチ！！！」
この世に神はいないのか。
ばばあの台にリーチがかかったのだ。
ばばあが画面を凝視する。
野次馬の願いはひとつ。絶対当たるなよ！絶対魚群出るなよ！なんなら泡も出るな！ノーマルで外れろ！
………我々の勝ちだ。
何の予告も出なかったのを見て、ばばあは人間の心を取り戻し、付き添いに向かう。
リーチが無事外れたその瞬間。
ギュインギュインギュインギュイン！ピタッ！
まさかのノーマルリーチが一旦外れた後、再始動して当たったのだ！
「ヴ、ヴ、ヴオーァァァン！」
ばばあが大号泣から鬼号泣に。そして泡を吹いてる旦那に駆け寄り言う。
「お父ちゃんの泡予告で当ててくれたんやなぁ」
あれほど芯を捉えて人間をひかせる言葉を僕は聞いた事がない。
もう糞を通り過ぎて鬼畜である。
さて、皆様いかがだっただろうか。
軽く振り返るはずが、当時を思い出し超大作になってしまい、お目目汚しを申し訳ない。
皆様に僕が今まで出会った糞みたいなおじさんの魅力が伝わったら嬉しいが、この愛すべき糞みたいなおじさん達が嫌な人に見えたなら、それは僕の書き方が悪かっただけなのでおじさん達を責めないで欲しい。
こんな糞文をここまで読んでくれた方々はきっといい人なので、皆様にとって来年いい年になる事を祈っております。
では、皆様良いお年を～。
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