シャムキャッツの解散とほかのバンドの解散とではまったく意味が違った
シャムキャッツは私より少し年上のバンドだが、あのころから現在に至るまで活動していた時期は自分もだいたい被っている。その間、一時は覇者のオーラをまとっていたバンドも、才能に嫉妬したバンドも、多くは活動を辞めてしまった。『TOKYO NEW WAVE 2010』に参加していたバンドも今ではほとんどが解散か活動休止している。
もちろん、バンドを長い間つづけていくことが必ずしも正しいとは限らない。それでも、傍目にはシャムキャッツは一生やっていくタイプのバンドに見えた。時代にフィットして一時的にグワッといったバンドは、数年するとなんだか役目を終えたように感じてしまうことがある。私はあんまりグワッといったことがないのでまわりのバンドの盛衰を時には羨ましく思ったり、時には分かりやすい山場を作らなかった(作れなかった)自分たちに感謝したりもした。
そんななか、シャムキャッツは、地に足の着いた活動をつづけながら、徐々に規模を拡大していくという理想的な歩みを進めているように映った。シャムキャッツからの影響を公言するバンドが売れたりもしたし、今でも多くのプレイヤーたちに尊敬されている。それでも、他人にはわからない葛藤などはあったのだろう。
昔よく出演していた秋葉原グッドマンも8月末で閉店が決まった。先日イベントで久しぶりに会ったバンド友達は知らない間に何人も活動を休止していて衝撃を受けた。ふと、シャムキャッツ解散の弁で夏目さんが述べていた「青春の全て」という言葉が頭をよぎった。これまであまり考えたことはなかったが、私の青春もいつの間にか始まっていつの間にか終わっていたのかもしれない。思い返してみれば確かにあのころは楽しかった。
私のバンドとシャムキャッツは音楽性も立場もまるで違う。つながりもそんなに深いわけではないが、私にとって彼らの解散とほかのバンドの解散とではまったく意味が違った。シャムキャッツは、私たちの少し先輩でいてくれる東京インディーズ代表のバンドだった。「シャムキャッツがいるから自分たちもまだ大丈夫だ」という意識が心のどこかにあったことに、彼らが解散してから気づいた。
シャムキャッツの4人はこれからも個々に活動をしていくだろうし、私のバンドもシャムキャッツが解散したことで何かを変えるわけでもない。それでも今までに感じたことのない、時代の空気が変わる瞬間に立っているような気分に少し戸惑っている。バンドをつづけていること自体が大きな選択をしていることなのだと思わされる機会が、たまにある。
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