シャムキャッツと考える「友達」【前編】青春時代は友達を信用する実験期間

2020.1.31
シャムキャッツ_友達_01

文=小田部 仁 撮影=荻原楽太郎


2019年にデビュー10週年を迎えたギターポップバンド、シャムキャッツ。4人はもともと友人関係で、楽器もそんなに弾けない状態から「バンドを組んで遊ぼうよ」ということで活動がスタートしたのだとか。
そんな彼らに「友達って何?」という普遍的かつ大人になると誰もが悩むテーマについて話を聞きました。前編では4人の歴史から友達との“実験期間”についてなどが語られています。

※本記事は、2016年2月23日に発売された『クイック・ジャパン』vol.124掲載のインタビューを転載したものです。

大人になるにつれて「友達」という感覚がわからなくなっている。昔は毎日のようにお互いの家のベルを鳴らし合っていた親友も今は遠くの街に住んでいる。「自分はひとりだ」と、夜の寒さにひしひしと思う。高校時代から同じ仲間で音楽を続けているなどと聞くと「正気かよ」と、かなり羨ましく思う。
シャムキャッツ。彼らは15年以上も同じメンバーでバンドを続けている。彼らの音楽には内輪ノリというのではなく、僕らリスナーに「友達だろ?」と呼びかけてくるような親密さがにじんでいる。今、春風のように気持ちいい飄々とした友人関係について知りたい、そう思った。

仲良くなると音楽がよく聴こえる。これはバンドマンあるある

すべてのカッコいいバンドは「友達」である。ビートルズが港町・リバプールの汚い路地裏でお互いの才能を見出したように、シャムキャッツもまた千葉県浦安市の海風吹き抜ける堤防沿いでバンドになった。千葉県市川市の団地で幼稚園~中学校卒業までの時間を共に過ごした、夏目と菅原。その後、夏目は浦安市に引っ越し、藤村と出会う。暇つぶしで行った英会話スクールで意気投合したふたりは、バンド結成を画策。藤村の同級生だった大塚が呼び寄せられ、そこに菅原も加わり、シャムキャッツを結成する。それからおよそ15年――バンド内でのパワーバランスの変化はありつつも、4人の友人としての関係は驚くほど変わっていないという。

―――シャムキャッツとして長い時間を過ごしてきて、お互いに友人としての関係性に変化はありましたか?

大塚智之 最初から「バンドを組んで遊ぼうよ」って感じだったからね。何かを目指してバンドやってたわけじゃないし。

夏目知幸 普通だったら「バンドやりたい」ってなったらバンドメンバーを集めるじゃないですか? でも、シャムキャッツはなんとなく気の合う人たちを集めて、始めたんですよね。ろくに楽器も弾けなかったしな。

菅原慎一 僕と夏目なんて、中学校の時からよく海沿いでガチャガチャ、アコギ弾いてたんで。地元帰ると友達のお母さんとかに「夏目くんと、まだゆず弾いてんの?」とか聞かれる(笑)。

藤村頼正 シャムキャッツは結成されてからの1~2年ぐらいは全然活動してないんですよね。俺と菅原が浪人してたし。大学に入った後もそれぞれバラバラの大学に入っちゃったから月に1~2回集まって練習するぐらいだったね。本格的にバンドになったのは夏目が就活の時じゃない? 「俺はこの4人でバンドをやりたいんだ」って山手線の車内だったか、秋葉原のスタジオだったかで言われて。

―――本格的にバンドを始めてから、徐々にミュージシャンの友達は増えていった?

夏目 そうですね。ライブとか一緒にやりますからね。仲良くなる。でも、あんまりいいって思えるバンドとかいなかったし、全然友達ができなくて。音楽性とかじゃないところで友達ができたんですよね。で、その友達の音楽だから好きになって、そこからまた別の人と知り合ってって感じかな。

―――音楽を好きになって友達になるんじゃなくて、友達になったから音楽が好きになった?

夏目 仲良くなるとよく聴こえたりするんですよ(笑)。これはバンドマンあるあるじゃないかな。

大塚 まぁ、みんな最初は洗練されてないアマチュアの音ですからね。なかなかいいと思えるようなバンドには出会えないっすよね。

菅原 僕、夏目と逆で音楽がよくないミュージシャンと友達になれることが少ないんですよ。だから、バンドマンの友達があんまりいなくて。逆に言うとミュージシャンの友達はすごく尊敬してるんです。

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