小説に作者がいるように、ゲームにもいる、著作権もある。なぜ認識されないのか

2020.7.1

作った人がいることを思い出して

ネットの炎上をテーマにしたカードゲーム『大炎笑』を作った。
学校のネットリテラシーの授業で使われて、話題になり、新聞で紹介されることになった。

制作委員会の人が、作者である米光さんの名前を明記してくれとお願いしてくれた。だが、「ゲームに作者がいることになじみがないので名前を入れると意味がわかりにくい」ということで入れてもらえなかったそうだ。

作者名が出ないことにショックを受けたのではない。「ゲームに作者がいることになじみがない」という考え方に驚いたのだ。書籍を紹介するときに作者名を書くだろう。だが、ゲームを紹介するときには、作者名は出さないほうがいいと判断される。

こういった状況は、少しずつでもいいので変えていきたいと考えている。

『大炎笑』カードサンプル
『大炎笑』米光一成/大炎笑製作委員会より「はあ?」のカード

ゲームを作る側も、それをちゃんと伝えていくようにしないといけないと思う。幻冬舎版『はぁって言うゲーム』は第2版から作者名がパッケージの表側に明記されるようになった。これからは、本のように、表側にも作者名を出したほうがいいのかなと考えている。

ゲームは遊んでもらって「なんぼ」だ。遊んでもらうのはうれしい。だけど、それを別のコンテンツ(番組、授業、イベント)として使うときは、元のコンテンツであるゲームを作った人がいることを思い出してほしい。

もちろん教育の現場での例外規定は、大切だ(ぼくも大学で教えているのでよくわかる)。

でも、だからこそ、大学の先生は、クリエイターを尊重し、無視しないように、丁寧に例外規定を扱うべきだろう。

作品には製作者や関係者がいることを、はっきりと学生に示すべきだ。
誰でもコンテンツを作って世界に向けて発信できる今、そのことを先生が見本として自ら示すことの教育効果は大きい。

具体例のひとつとして、『はぁって言うゲーム』を取り上げたが、すべてのゲーム作品、いやすべての創作物に関する問題だ。

この記事の画像(全4枚)




関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

米光一成

Written by

米光一成

米光一成 (よねみつかずなり)ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学教授/日本翻訳大賞運営/東京マッハメンバー。代表作は『ぷよぷよ』『はぁって言うゲーム』『BAROQUE』『はっけよいとネコ』『記憶交換ノ儀式』等、デジタルゲーム、アナログゲームなど幅広くデザインする。池袋コミュニティ・カレッジ..

関連記事

リモ止め

『リモ止め』『12人の優しい日本人』『でんぱ組.inc』NHK『テレワークドラマ』……進化するリモートエンタメの勢いを止めるな

米光一成ジャーナル

「香川県ゲーム規制条例」は、数の暴力によるゴリ押しで進んだ悪夢だ

「パンデミック」プレイスタート時

「パンデミック」の恐怖から世界を救え。アフターコロナをボードゲームで実践

ツートライブ×アイロンヘッド

ツートライブ×アイロンヘッド「全力でぶつかりたいと思われる先輩に」変わらないファイトスタイルと先輩としての覚悟【よしもと漫才劇場10周年企画】

例えば炎×金魚番長

なにかとオーバーしがちな例えば炎×金魚番長が語る、尊敬とナメてる部分【よしもと漫才劇場10周年企画】

ミキ

ミキが見つけた一生かけて挑める芸「漫才だったら千鳥やかまいたちにも勝てる」【よしもと漫才劇場10周年企画】

よしもと芸人総勢50組が万博記念公園に集結!4時間半の『マンゲキ夏祭り2025』をレポート【よしもと漫才劇場10周年企画】

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記「猛暑日のウルトラライトダウン」【前編】

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記

九条ジョー舞台『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記「小さい傘の喩えがなくなるまで」【後編】

「“瞳の中のセンター”でありたい」SKE48西井美桜が明かす“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

「悔しい気持ちはガソリン」「特徴的すぎるからこそ、個性」SKE48熊崎晴香&坂本真凛が語る“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

「優しい姫」と「童顔だけど中身は大人」のふたり。SKE48野村実代&原 優寧の“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

話題沸騰のにじさんじ発バーチャル・バンド「2時だとか」表紙解禁!『Quick Japan』60ページ徹底特集

TBSアナウンサー・田村真子の1stフォトエッセイ発売決定!「20代までの私の人生の記録」