一概に動画ビジネスにとって「追い風になっている」とは言えない
コロナウイルス感染症の拡大以降、「動画ビジネスには追い風なのではないか」とよく聞かれる。小中学校が休校となり、暇つぶしとしてYouTubeの需要が高まっているのではないか、との仮説があるのだろう。
確かに、中国では外出自粛が指示される中、リアルタイムでファンとつながったり商品の購入ができるライブ配信・ライブコマースの市場が急成長するなど、一部の市場は盛り上がりを見せている。
しかし、企業広告などを担う動画ビジネスとなると話は別だ。近ごろの動画広告はイベントをゴールとした立体的な導線をつくることが多く、イベントが中止となると、他の動画広告自体なくなってしまうことが多いからだ。一概に、動画ビジネス全体に追い風が吹いているとは言えない状況がつづいている。
加速する「個」や「個のつながり」の動き
また、著名人や行政の動静を通じ、「個」を尊重する動きが強まっていることを感じたここ数日だった。 3月4日、東京都はソフトウェア開発プラットフォーム「GitHub」にアカウントを開設。陽性患者数や検査実績などのデータを掲載するとともに、ソースコードを公開して修正提案を受け付ける「オープンソース」の取り組みとして注目を集めた。
このニュースを見たとき、僕は「これがあるべきインターネットの姿だ」と膝を打った。連載第1回で「インターネットは誰かを傷つけるための媒介ではない」と書いたが、善意をエンジンとし、年齢や立場の垣根を超えて「個」がクリエイティブを結集させることこそが、インターネットの醍醐味であったはずだ。
他にも先日、タレントの指原莉乃さんが「自発的に」noteを始めると宣言した。
「個」としての発信力を活かしていく動きは、「タレントとして何ができるのか」を問われる今だからこそ、波及していくと考えられる。 今回の時評では、コロナウイルス感染症によるプラスな一面とマイナスな一面をそれぞれ紹介した。ネガティブなニュースが多い日々がつづくが、せっかくなら「こんなときにしか生まれない」明るいニュースにも目を向けてみるのもいいのではないだろうか。