コロナショックは、動画ビジネスにどんな影響をもたらすのか?(UUUM鎌田和樹)
今日も、インターネットやテレビの話題は新型コロナウイルス感染症で持ちきりだ。もちろん、確かな情報源をもとに予防へ励むことは間違っていない。しかし、漠然とした感染への不安を感じ、怯えながら日々を過ごしていくことは、果たして生産的だと言えるのだろうか。感染症を受け入れたうえで、新たな挑戦をしていくべきではないだろうか。
HIKAKINや水溜りボンドなど有名YouTuberたちの数多くを擁するUUUM株式会社の鎌田和樹氏が、新型コロナウイルス感染症に関する報道や、政府の対応に対する疑問点、今後のビジネスの動向について考える。
「中止する勇気」が称賛されていること自体がおかしい
ついにWHO(世界保健機関)が「パンデミック(感染症の世界的流行)宣言」に踏み切った新型コロナウイルス感染症。感染者が加速度的に増加する中、日本政府の対応にも批判の声が上がっている。なかでも批判が集まっているのが、「要請」や「1〜2週間」といった曖昧な言葉づかいだ。今回はまず、この曖昧な表現がもたらす弊害について考えていこうと思う。
「小中学校の休校要請」でその曖昧さに批判が噴出したが、新型コロナウイルス感染症に関連して、政府はこの短期間でさまざまな「要請」を出している。少し検索してみただけでも、以下のようなニュースを見つけることができた。
・大規模イベント自粛要請
・パチンコ業界に感染防止措置を要請
・フリーランスとの取引継続を経済団体に要請
「要請」をはじめとした曖昧な表現の問題点は、企業間のチキンレースになってしまうことにある。特にイベントを開催する企業は、いつ要請が解除されるのかもわからない中で、利益を最大化しながら中止や無観客開催を決断しなければならない。こういった状況下で、余裕を持って中止の決断ができるのは資本力を持った企業であり、あおりをうけるのは中小企業だ。
また、企業間のチキンレースが展開される中で、中止や無観客開催の決断を「勇気」と称賛する人々が出てきていることにも、違和感を感じざるをえない。イベント自粛は、感染拡大を食い止めるという日本人共通の課題に対処するための「要請」のはずだ。だったら、どんな企業でも安心して中止の決断ができるよう、経済的な補填があってはじめて「要請」は成立するのではないだろうか。
一部の中小企業が、経営に不安を抱きながら「勇気」を持たなければならない状況は、本来あってはならない「要請」なのではないかと感じた。ここ1ヶ月、自分自身も「イベント自粛要請」の当事者として、さまざまなニュースを追いかけた。その中で、「政府がなんとかしてくれるのではないか」という希望的観測は無駄だという結論に達しようとしている。
陳腐な言い回しになってしまうが、国や企業に頼らず歩んでいく能力を持つ人間が生き残れる、「自己責任」の時代がやってきているのだと強く感じたここ数日だった。
一概に動画ビジネスにとって「追い風になっている」とは言えない