JO1、俳優としてのポテンシャルを映画『OUT』で対峙した品川ヒロシ監督が明かす「アクションはできると思っていた」

2023.11.15
品川ヒロシ監督インタビュー

文=坂井彩花 編集=森田真規


2023年10月27日に発売された『クイック・ジャパン』vol.168では、11月17日(金)に封切られる映画『OUT』を15ページにわたって特集。

同作に出演したグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」の與那城奨・大平祥生・金城碧海のソロインタビューや、3人の鼎談、品川ヒロシ監督インタビューなどが掲載されている。

ここではその中から、映画『OUT』の観どころや「JO1の俳優としてのポテンシャル」など、誌面には入りきらなかった話も盛り込んだ品川監督へのインタビューをお届けする。

マンガならではのアクションを実写で実現するために

──映画『OUT』の観どころを教えてください。

品川 アクションですね。映画の3分の1くらいを占める闘いのシーンはテンポがよくて、おもしろい。あっという間に観終わってしまうと思います。

──お気に入りのアクションシーンはありますか?

品川 ちゃんとアクションが棲み分けされているので、ずっとケンカしているわりに、どのシーンも被らないと思います。誰々のここのシーンが観どころっていうより、それぞれのシーンを楽しんでもらえるはずです。

──かつてアクション作品を監督された際に「アクションに個性を持たせて、それぞれが被らないように」というお話をされていましたが、『OUT』でも意識されましたか?

品川 そうですね。今作は仲間が多い中で、それぞれを違うアクションで魅せる難しさがありました。『ドロップ』だと、ワン公(山崎秀樹)が噛みつく、達也はめちゃめちゃにやる、(信濃川)ヒロシは逃げ回るってわかりやすかったんですけど、『OUT』ではみんなガツガツしていて好戦的。なおかつ、田口(勝)と(安倍)要はどちらもパワー系で、その中で違いを出さなければいけない。そういう大変さはありましたね。

──アクションの割り振りは、メインのキャラクターから決めていかれたのですか?

品川 いえ、『OUT』は原作マンガがあるので、マンガならではのアクションをどうやったら実写で実現できるのかってところから考えました。(長嶋)圭吾なら木刀というように、わかりやすいヒントをもとにして組み立てていった感じですね。あっちゃん(丹沢敦司)なら格闘技はやってないけど圧倒的に強いから、ちょっと奇抜なジャンプをするとか。みんなががんばってくれたので、どのアクションも僕は好きですね。

映画『OUT』本予告60秒

ダンスができるならアクションもできる

──與那城さん、大平さん、金城さんのJO1メンバーの3人をキャスティングされた理由を教えてください。

品川 まず、マンガの絵に似てると思うんです。その上で、JO1はダンスがめちゃくちゃうまいグループ。ダンスができるなら運動神経がいいってことだから、アクションもできるっていう定説が、僕の中にはあって。だから、そもそもアクションはできると思っていたんです。ただ、動きがいいだけで「こいつ強くないでしょ」って見えてしまうようだと説得力がなくなってしまう。でも、3人にはそういう心配はしていなかったかな。碧海君はもともと空手をやっていたし、ドラマ『ドロップ』にも出てもらっていたのでアクションができることはわかっていて。與那城君と大平君も、やっぱりうまかったですね。大変なことをやってもらったのでハードルは高かったと思いますけど、みんな期待に応えてくれました。「いいじゃん、いいじゃん!」って感じでしたね。

──演技について、どんな点を指導されましたか?

品川 役者全般にいえるんですけど、今の若い子ってヤンキーを通ってないじゃないですか。みんな本当に礼儀正しくて、いい子ばかり。なので、ヤンキー特有のガラの悪さを身につけてもらうところからスタートしたんです。特に大平君なんて、どちらかといえば中性的なかわいらしいキャラクターで、「オイッ!」とか普段は言わないタイプ。目黒修也っていうキャラのバックグラウンドも交えながら、僕が若いときに使っていた言葉遣いを落とし込んでいきました。

──普段はダンス&ボーカルのグループとして活動している、そんな3人だからこその演技における特色のようなものは感じましたか?

品川 彼らに限ったことではないんですけど、ミュージシャンの方は歌を歌うときの感じで演技をしますよね。ミュージシャンって、振られてもないのに振られた歌を歌うこともあるし、別れた直後であっても歌では「大好き」って言う。それって基本的にお芝居だと僕は思っているので、演技にも歌の経験が活きていると感じました。毎日、歌っているわけですからね。

品川ヒロシ(しながわ・ひろし)1972年生まれ、東京都出身。庄司智春とお笑いコンビ「品川庄司」として活動中。映画監督作に『ドロップ』『漫才ギャング』などがある
品川ヒロシ(しながわ・ひろし)1972年生まれ、東京都出身。庄司智春とお笑いコンビ「品川庄司」として活動中。映画監督作に『ドロップ』『漫才ギャング』などがある (c)2023『OUT』製作委員会

JO1メンバーの印象は「まじめ」

https://www.youtube.com/watch?v=qpsameojrpM
JO1|’HIDEOUT’ × 映画『OUT』Collaboration Movie

──品川さんから見て、『OUT』に出演されたJO1メンバーの3人はどのような方たちでしたか?

品川 3人まとめていうと、やっぱりまじめですね。ミュージシャンといっても、『PRODUCE 101 JAPAN』の中で毎週審査されて、オーディションを勝ち上がってきたわけじゃないですか。そこで戦っていた子たちなので、審査されるってことが日常だったと思うんですよ。だからなのか、セリフを覚えるとかは当たり前として、一つひとつの仕事を全部しっかり準備してきていました。「もうちょっと練習したい」と言ってアクションに積極的に取り組んでいたり、体を大きくするために自主的にジムに行ったり。そうやって全部まじめに取り組んでくれていた印象があります。

──おひとりずつについての印象も教えていただけますか。

品川 大平君は読みづらい。口数も一番少ないし、僕と話した回数も少ない。でも、斬人(3人が劇中で所属した暴走族グループ)メンバーでの飲み会があったら、與那城君と碧海君が仕事の関係で先に帰ることになっても、最後までずっといるようなやつ。そんなにしゃべらないんだけど(笑)。與那城君は、アホで付き合いがいいイメージですよね。碧海君は、本当にストイックというか。もちろん、大平君と與那城君がストイックじゃないわけではないんですけど、誰よりも目標に向かって一直線に進んでいく。人として不器用に、ひとつのことにグッとのめり込むタイプなんだと思います。

映画『OUT』 (c)2023『OUT』 製作委員会
金城碧海が演じた「斬人」ルーキーの沢村良(写真左)、大平祥生が演じた「斬人」親衛隊長の目黒修也 (c)2023『OUT』製作委員会

──印象に残っている撮影中のエピソードはありますか?

品川 僕の誕生日に、大平君がひとりだけプレゼントを買ってきてくれたんです。それを與那城君に伝えたら、自分のパーカーをカバンから出して「僕も買ってきました」って言うから、「いやいや、これは自分の使ったやつだろ」って。このことを碧海君に話したら、自分は何も持ってなくて悔しかったのか、「うああああ!」って叫んでました(笑)。

映画『OUT』 (c)2023『OUT』 製作委員会
與那城奨が演じた「斬人」特攻隊長の長嶋圭吾 (c)2023『OUT』製作委員会

──『OUT』のようなアクション映画を撮ることのおもしろさは、どんなところにありますか?

品川 そもそも僕はアクション映画を観るのが好きなんですけど、ケンカのようなわかりやすいものだけじゃなくて、何か行動を起こすことが「アクション」なんですね。映画『セッション』を観たとき、ドラムを演奏するシーンのカット割りがアクションシーンみたいで、「これはもうアクション映画だ!」って僕は思ったんです。それ以来、「動くものに関しては全部がアクションシーン」って思いが強くなりました。

──今後、挑戦してみたい作品はありますか?

品川 撮ったことがないので、時代劇かな。ホラーやアクションも撮りたいんですけど、そろそろ時代劇デビューしたいですよね。ヤンキー映画って、子供たちバージョンの戦国時代みたいなものじゃないですか。戦国時代だと領地や政治的なことも絡んでくるけど、そういった戦いをヤンキーがしているだけの話で。まだ何も決まっていませんが、すでに「こういう殺陣を撮りたい」って考えています。

発売中の『クイック・ジャパン』vol.168では、與那城奨・大平祥生・金城碧海のソロインタビューや3人の鼎談などを合計1万字以上で掲載! 撮り下ろし写真満載なので、ぜひ手に取ってチェックしてほしい。

『クイック・ジャパン』vol.168より

『クイック・ジャパン』vol.168 収録内容

【総力特集】INI 時代が求める11人の個性と寛容

▼SPECIAL PHOTO

▼ソロインタビュー:11人に聞く「個性」

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池﨑理人:難しい問題が起きても、僕が責任を持ってカバーしたい
佐野雄大:俯瞰して、相対評価して、それが負けず嫌いにつながった
藤牧京介:「とりあえず楽しもう」それで僕も、みんなも変わった
尾崎匠海:昔は恥ずかしがり屋で、歌えなくて。でも今は、歌い続けることが夢
後藤威尊:昔の自分に言葉をかけるなら「そんな自分を受け入れて」
髙塚大夢:生活の中心は全部、心から楽しいと思えるものに
田島将吾:意外と、人を笑わせたい。そういう思考が生まれてきた
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西 洸人:年下に囲まれる環境は初めて。僕自身の価値観も変わった

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インタビュー

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▼與那城奨、大平祥生、金城碧海(JO1/映画『OUT』):表現者としての現在地

レギュラー企画

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▼写真:#QJカメラ部 セントチヒロ・チッチ「なんでもない」

▼小説:大前粟生「ピン芸人、高崎犬彦」

▼小説:乗代雄介「全治三ヶ月の短編小説」

▼私小説:河谷 忍「おわらい稼業」

▼エッセイ:てへりんこ「生まれ直した日のこと」

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  • 映画『OUT』 (c)2023『OUT』 製作委員会

    映画『OUT』(PG12)

    2023年11月17日(金)全国劇場公開
    監督・脚本:品川ヒロシ
    主題歌:JO1「HIDEOUT」(LAPONE Entertainment)
    原作:井口達也/みずたまこと『OUT』(秋田書店「ヤングチャンピオン・コミックス」刊)
    出演:倉悠貴、醍醐虎汰朗、与田祐希(乃木坂46)、水上恒司ほか
    配給:KADOKAWA
    (c)2023『OUT』製作委員会

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坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

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