JO1の河野純喜、木全翔也、豆原一成、YSLタイアップ曲でコラボした世界トップクラスのDJ R3HABと音楽対談が実現「今を楽しむのも大事なこと」

2023.11.2
JO1とR3HAB (c)LAPONE Entertainment

文=坂井彩花 編集=森田真規


11人組のグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」がジャパンアンバサダーを務める「イヴ・サンローラン・ボーテ(以下、YSL)」とのタイアップ第3弾として、「Eyes On Me (feat.R3HAB)」が10月20日(金)より各種音楽配信サービスでデジタルリリースした。

「Eyes On Me (feat.R3HAB)」は、YSLのアイシャドウ「クチュール ミニ クラッチ」にインスパイアされた楽曲で、歌詞の中にはアイシャドウのカラー名にもなったモロッコの地名が多数登場するエキゾチックなサウンドに仕上がった。

本楽曲は、『Tomorrowland』や『ULTRA』といった世界最大級の音楽フェスティバルに出演し、手がけた作品のストリーミング再生回数が累計90億回超えを記録している世界トップクラスのDJ兼プロデューサー「R3HAB(リハブ)」がプロデュースを担当。JO1の新たな可能性を広げるナンバーが完成した。

今回のコラボレーションに際して、JO1メンバーとR3HABの取材がMV撮影の前に実現。木全翔也、河野純喜、豆原一成の3人とR3HABの和やかなトークが繰り広げられた。

世界的DJも絶賛したJO1のボーカル

DJとしてもプロデューサーとしても、グローバルに活躍をしているR3HAB。そんな彼は、親日派としても有名だ。幼いころから日本のゲームやアニメに触れて育ち、マンガ『AKIRA』の大ファン。過去には「Karate」や「Sakura」、「Samurai」といった日本語をタイトルとした楽曲もリリースしている。なんと、今回のコラボレーションで声がかかる前からJO1のことも知っていたという。

R3HAB JO1のことは以前から知っていました。なぜなら、僕はSpotifyのトップチャートを見て、どんな曲が流行っているのか勉強するのが好きだから。何度かチャートでJO1の名前を見たことがあったんです。中でも、「SuperCali」はすごくかっこよかった。色的な要素が、とてもおもしろかったです。

実際に会ったJO1の印象に関しても「総じてクールな人たち」と口にし、「まだメンバーの3割くらいにしか会えてないけど、撮影で残りのメンバーに会えるのがすごく楽しみ」とMV撮影への期待を語ったR3HAB。「Eyes On Me (feat.R3HAB)」の仕上がりについては、次のように話してくれた。

R3HAB 音楽を聴いているだけで、映像も一緒に想像できるような楽曲に仕上がりました。キャンペーンに関連するモロッコの要素も意識して、聴いただけで「あっ!」と耳に残るメロディ構成になっています。ドロップやストップを用いて構成を複雑にすることで、彼らのダンスの要素を活かせるようにしたり、自分が普段作っている音楽よりも楽曲の構成がはっきりしていますね。時代を超えてずっと愛され続けているYSLのカラーを取り込めたのもおもしろかったですし、こういったアプローチの曲を制作することが今までなかったので、自分としてもチャレンジになりました。トータルで見ても、すごくクールな経験ができたと思います。

JO1 | ‘Eyes On Me (feat.R3HAB)’ Official Teaser

いうならば、「Eyes On Me (feat.R3HAB)」はYSLのカラーとJO1の魅力をかけ合わせた作品ということになるのだろう。では楽曲を制作していく過程で、R3HABはJO1のボーカルにどのような印象を持ったのだろうか。

R3HAB スワッグなアティチュードが込められていて、すごくよかったです。<1, 2, 3, 4>という歌詞のパートだけを聴いても、音符の長さ一つひとつをすごく細かなところまでこだわっていて、たくさんの時間を費やしているんだろうなと思いました。同じメロディでも、どういうグルーヴやフィーリングで歌うかによって、ダメにしてしまう場合もあれば、よくなる場合もある。すごくシンプルなことだけど、そういったところがわかるかわからないかは、けっこう大きな差を生み出す大切な要素なんですよね。

JO1が衝撃を受けた初のEDMナンバー

JO1のこだわり抜いた些細な表現にまで気づき、彼らのよさを引き出そうと楽曲制作に取り組んだR3HAB。一方でJO1のメンバーはこの楽曲を聴いて、どのような感想を持ったのだろうか。

木全 JO1が今までやってこなかった曲調ですし、音楽の入りやサウンドがおもしろいと思いました。メンバーと「すごくおもしろいね」って話した記憶があります。

河野 最初に曲を聴いたとき、すごく衝撃を受けました。フェス用にアレンジしてもらったEDMの楽曲はあったけど、僕たちのオリジナル楽曲としては初めて。とはいえ、ただのEDMではないと僕は思っているんです。YSLさんの商品が持つちょっとダークなイメージを活かしつつ、踊りたくなるような瞬間もあって、JO1の雰囲気にもぴったり。R3HABさんがどんどん楽曲をアップデートして届けてくださっていたので、それを聴くのが毎回楽しみでした。

JO1 | ‘Eyes On Me (feat.R3HAB)’ Official Visualizer

R3HABとのコラボレーションにより、今までにないテイストの楽曲へ踏み込んだJO1。これまでヒップホップやロックを基調としたトラックで迫力あるシンクロダンスを突き詰めてきた彼らは、初のEDMナンバーでどのようなパフォーマンスを披露するのだろうか。

豆原 今までのJO1はテクニカルだったり速い動きが多かったんですけど、「Eyes On Me (feat.R3HAB)」はわりとヒップホップのベーシックな動きが基本となっている振り付けが多いです。JO1がそういうダンスをすごくやってきたかというとそうではなかったので、かっこよく見せることに難しさを感じながらも、11人で力を合わせてかっこいいものに仕上げていきたいと思います。

河野 楽曲がアップデートされるたびに、僕たちの振り付けもどんどん変わって、どんどんかっこよくなっていきました。映像撮影がすごく楽しみです。

音楽制作の具体的な質問を投げかける木全翔也

取材の後半には、JO1のメンバーがR3HABに質問する場面も見られた。音楽の道を突き進む先輩に、この場だから聞ける真剣な質問をぶつけていった。「最近は制作以外で、あまり音楽を聴かない」と意外な事実を明かしたR3HABに、「たくさんの曲を聴いて、イメージを働かせるのかと思っていました」と驚きながら答えた河野。

R3HAB 僕はさまざまな音楽を聴いています。常に文化やジャンルを変えながらです。しかし、最近はスタジオモードに入っているので、自分が取り組んでいることにしっかり集中するために、意図的に音楽を聴く量を減らしています。ほかのメロディが入ると混乱してしまうので、聴かないようにしています。ここ3、4年間くらいは、スタジオ作業が多いため音楽を聴くのを避けていますが、それ以前は趣味でたくさん聴いていました。70年代から00年代初頭くらいまでの音楽なら、曲名さえ言ってもらえれば「サビの小節がいくつで」って思い出せるくらい。
ここ数年で聴く頻度を減らしたのは、聴いた音楽をコピーしてしまうような癖が出始めたから。音楽を聴きたくなったら、クラシック音楽を聴いてアイデアやフィーリングを得るようにしています。トップチャートを聴くこともあるけど、それは分析や勉強のために聴いている感覚ですね。

「JO1は自分たちで楽曲を作りたいと思っているメンバーが多いので、ためになるお話をありがとうございます」と河野。それに応えるように、R3HABはさらなるエールを彼らに送った。

R3HAB 自分で楽曲を作ることになったとき、大事にしてほしいのは音楽の歴史。なぜこの曲はこの時代に流行ったのか、なぜこの曲は人気があるのかと分析する。たとえば、オアシスというバンドや「Summer Of Love ’69」(ブライアン・アダムス)という曲は、なぜヒットしたのか勉強するのもおもしろい。または『インターステラー』という映画は、作品が素晴らしかった要因に音楽が大きく関係しているので、そういうことを勉強するのもおもしろいかもしれないですね。YouTubeにもそういうことを解説しているチャンネルもあるので、ぜひ観てみてください。

自身もDTMを使って楽曲制作を行っている木全は、「音楽制作に使う時間はどのくらいですか?」とより具体的な質問を投げかけた。

R3HAB 6~8時間くらいですかね。若いころはもっと長かったけど、最近は疲れるからちょっと短くなっています。基本的にはドラフトをたくさん作って、だいたい2週間くらい寝かせていて。いい作品かもわからないまま、すぐにバーンッと作り始めて無理やり続けることは危険なんです。少し時間を置いてから俯瞰して、「いい作品だな」と思える曲だけ制作を続けるようにしています。

R3HABが語る音楽制作のマインドセット

時折おどける素振りも見せながら、朗らかに3人にアドバイスを送るR3HAB。音楽制作のマインドセットについても語ってくれた。

R3HAB とりあえず楽しんで音楽を作って、それがチャートの中でどう受け止められるかは、出たとこ勝負。1年間ヒットするような1曲を作れるのがソングライターの理想ですが、そんなパーフェクトな曲は作ろうと思って作れるものではないんです。リリースを続けていくなかで人気が出る曲が生まれたらいい、そういう順番で考えています。
アップダウンがあったほうがファンも一緒に楽しめるし、完璧すぎてもおもしろくないでしょう。プレッシャーをいろいろ背負いすぎると、精神的にもリスクがありますし。11人ものグループワークになると難しさはあると思いますが、お互いのいいところを活かせるのはまた違ったおもしろい作業だと想像できます。
年寄りみたいな発言になってしまうけど、僕が20代のころは「もっともっと!」って働いていました。「50万ビューは素晴らしいけど、100万ビューにならなきゃ」って感じでね。もしあのときの自分に声をかけるなら、「もっと楽しんでいいよ」って言いたい。「もっともっと」という気持ちを持つのはいいことだけど、今を楽しむのも大事なことだと思います。

そんなR3HABがプロデュースした「Eyes On Me (feat.R3HAB)」は、デジタル配信が各種音楽配信サービスでスタート。さらにYSL BEAUTYが初めて全面プロデュースし、メンバー全員が大人気アイシャドウ「クチュール ミニ クラッチ」をまとったMVも近日中の公開が予定され、11月1日にジャカルタでスタートしたアジアツアー『2023 JO1 1ST ASIA TOUR ‘BEYOND THE DARK’ LIMITED EDITION』でも初披露された。

JO1とR3HABがお互いをリスペクトし合いながら制作された楽曲に浸るとともに、パフォーマンス中の煌めく目元にも注目したい。

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坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

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