佐久間宣行×松本壮史、青春高校MVに込めた男子校出身の妄想力と青春時代の「告白」を語る

2020.2.21

文=霜田明寛 撮影=長野竜成
編集=鈴木梢


“女の子が一番かわいく見える瞬間“と言われて、どんな瞬間を想像するだろうか。テレビ東京『青春高校3年C組』のプロデューサー佐久間宣行は「告白をする瞬間じゃないか」と話した。

同番組の生徒たちのメジャーデビューが決まり、表題曲は番組内で結成された「女子アイドル部」による『君のことをまだ何にも知らない』。そのMVでは、13名のメンバーたちがさまざまなシチュエーションで告白をする模様が描かれている。原案を佐久間、監督を松本壮史が務めた、ふたりの共作だ。

そもそもなぜ佐久間が「女の子が一番かわいく見える瞬間は告白」と考えるのか、佐久間の頭の中を松本はどのように形にしたのか。そして、ふたりの過去の「告白」とは。

連続告白MVは「発明」だった

――まずはこのMVができるまでの経緯をお聞かせください。

佐久間宣行(以下、佐久間) 僕が企画するなら、最初は企画モノのような形がいいかな、と考えていたんですよね。たとえば『マジ歌選手権』(※)みたいな感じで、催眠術をかけられたメンバーたちが今日で解散だと思って歌うとか……。スタッフとも盛り上がったんですけど、いや待てと。彼女たちはここまで1年半がんばってきたわけで、デビュー曲を企画モノで笑いにしてしまうのは申し訳ない、と結局親心が出ちゃったんですよね。

※『マジ歌選手権』
テレビ東京『ゴッドタン』内の企画。芸人たちが本気で本音を歌い上げる、オリジナルソング発表会。審査員全員が口に含んだ牛乳を吹いてしまったら、演奏は即刻終了となる。

テレビ東京 佐久間宣行プロデューサー

――バラエティ色を封じて、正統派のアイドルMVに舵を切ったわけですね。

佐久間 ええ、それでもう、まっすぐにかわいいものを作ろうと。最初は、メンバー全員の“恋に落ちる瞬間”を撮ろうと思ったんです。『ハチミツとクローバー』が好きなもので。

――“ハチクロ”の中に出てくるセリフ「人が恋におちる瞬間をはじめてみてしまった」に感化されたんですね。

松本壮史(以下、松本) 佐久間さんのそれは確かにいい案だったんですが、ひとつのMVに13人分の“恋に落ちる瞬間”は、時間的に入れづらいんですよね。恋って、いきなり落ちる人ばかりではないじゃないですか。

佐久間 そうそう。僕の案だと、“全員ひと目惚れ”のシチュエーションにしないと入らなくなっちゃうんですよ。それで、「告白する瞬間ならどうですか」と松本監督に提案してみたら、OKが出まして。

佐久間P「妻も僕もハチクロが好きで」

松本 グループアイドルのMVって、メンバー全員にちゃんと見せ場を与えるのが難しいんですよね。でも13パターンの告白を映せば全員に見せ場ができる。これは発明だな、と思いました。

佐久間 やっぱりMVを観た方々にメンバーみんなの顔を覚えてもらいたいですし、曲ができてから撮影まで2週間を切った段階で決まった、“火事場の馬鹿力”的な企画としてはいいんじゃないかな、と。ただ、これを局や番組のスタッフたちに熱弁しても、ポカンとしてましたね。みんな、「このオッサン何を言ってるんだ……」って顔をするんですよ。

松本 最初からテンション上がっていたのは僕だけでしたね(笑)。

佐久間 深夜1時過ぎに、13人分の告白のシチュエーションを書いて、スタッフのLINEグループに送ったんです。たまにやる手法なんですよ、夜中に勝手に詳細を送ることで本気度を示すっていう。それを見てみんな、「佐久間マジなんだな」と悟ったみたいです。自分が揺れてる感じを出しちゃうと、いろいろな人が意見言ってきちゃうんで、それを抑える意味でも有効です。

――そもそも「告白をする瞬間」の案に至ったのはなぜなんですか?

佐久間 10代後半の彼女たちの年齢と演技力を考えると、告白に焦点を絞るのが一番かわいくなるなと思ったんです。もうちょっと大人になったり、表現力を持ち始めたりしたらいろんな“かわいい”が出てくると思うんですけどね。今の彼女たちが一番かわいく見えるのは告白の瞬間かなと。

松本 企画自体は素晴らしかったので、あとはバリエーションの出し方だけ気をつけました。ただ向き合って告白する映像ばかりの連続になると、観ている側も画変わりしなくて飽きてしまうので。

松本壮史監督

秋元康の偉大な妄想力には、妄想力でしか太刀打ちできない


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