裏モノのような雰囲気でミルクボーイの漫才を

まずはミルクボーイ、ななまがり、もぐらの5人でサークル時代のことを振り返っていく。ミルクボーイが4年のときに、ななまがりが３年、そこに1年のもぐらが入ってきたという最強の年があったのだ。

在学中にブレイクする予定で入学早々落研に入るも、あまりに前のめり過ぎて誰もコンビを組んでくれなかったという駒場。一方、ドラマ『プライド』（フジテレビ）の木村拓哉に影響されアイスホッケー部に入ろうとした内海は、入部前にマネージャー希望の女の子と仲よくなったものの、そのあとほかの入部予定者にとられ、アイスホッケー部に行きづらくなったことで、落研で駒場と出会ったというエピソードを語る。

すると、ミルクボーイを見てあまりのおもしろさに衝撃を受けて入部した初瀬、同様にミルクボーイとななまがりを見て入部したもぐらが、内海から女の子を奪ったアイスホッケー部の人に改めて感謝する流れに。森下は駒場同様、入学前から落研に入ると決めていたというが、当時はB-BOYっぽくチャラい風貌で、まわりから住む世界が違うと思われていたという話も。

途中からオダウエダ植田が登場。もぐらが4年のときに植田は1年だったはずだが、もぐらは中退しているため直接会ったことはなかったという。ひとりだけ学年が離れているため、直接の影響はないかと思いきや、「『先代がすごかった』と裏モノのAVを観せられる雰囲気で」ミルクボーイやななまがりの映像を観せられて、落研に入ることを決めたという。

後半は初瀬が保存していた大学時代のネタ映像を観る時間に。自分が当時組んでいた「胸焼けハンターズ」のゾンビコントを観て、開口一番「（当時の自分が）汚なかったですねー！」と感想をもらすもぐら。ミルクボーイの漫才、ななまがりのコントからは、すでに今につながる形が見える。 最後に、内海が在学中に語っていたとされる名言「後輩と風俗行く時は指名料は奢ってやれ」が披露され、皆がその教えを守ることを誓ってライブは締め括られた。

落語研究寄席の会の絆

ライブを観終えても大阪芸術大学落語研究寄席の会がなぜここまで強いのか、その答えは簡単には見つけられなかった。けれど部室に貼る名札の順番をみんなで思い出していたり、途中で別の仕事のため去ったもぐらを見送りながら「当時もバイトある人はこうやって帰ってたよな」と懐かしさに浸っていたり、そんな場面にはエモさがあふれていた。

そういえば、2019年の『M-1』を私は無限大ホールのライブビューイングで観た。観客と一緒にM-1を観ながらCM中にトークで盛り上げる役割として何組かコンビが出演するなか、空気階段は水川かたまりしかおらず、「もぐらは直の先輩が出ているから平静ではいられないということで、今日は家で観ています」とのことだった。もぐらは今もなお、先輩たちを高座名で呼ぶのだという。強さはわからないけれど、絆は見えた。

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