瀬下は“ギリギリ犯罪じゃない奴”だった

──濱家さんは、同期ですが歳下になりますよね？

川原　そうそう、NSCの同期はほぼ歳下やね。

──瀬下さんは「川原は母性本能をくすぐるモテ男タイプ」だとおっしゃっていました。濱家さんやアインシュタインの河井（ゆずる）さんなど、まわりがみんな川原さんのことを放っておけないと。

川原　モテるのはモテるでしょうねえ。メスの野良猫もめっちゃ寄ってきますからね。哺乳類的な魅力はあるんでしょうね。人間だけじゃなくて動物も寄ってきますからね、メスが。

──（笑）。瀬下さん自身も「川原がかわいくてしょうがない時期があった」と。

川原　それもバカみたいな言葉ですよね。学生のころは、各高校の強い奴が集まってるチームにいて、瀬下ともその集まりで初めて会いました。僕は変わらずにこの感じなので、「僕ケンカしないけど大丈夫？　僕が誰かに殴られたり、殴らないといけない状況なんやったらこのチーム抜けるから」って言ったら、ケンカが強い四天王みたいな奴らが僕のことをずっと守ってくれてたから、守りたくなるのはそうなのかもしれないですね。

──昔から守られ気質が。恋愛面でいうと、「川原は女性としゃべらなくてもいいタイプだから、自分みたいなタイプの女性とは合わないだろう」とおっしゃていました。実際、瀬下さんみたいな女性がいたらどうでしょう？

川原　一番合わないと思いますね、本当に。昔、千鳥のノブさんと建築系の社長に、女の子がいるところに連れて行ってもらったんですけど、僕がまったくしゃべらないから、初めて会ったその社長に「芸人なのに、さっきからしゃべらんな」みたいに言われて。「いや、あなたもさっきから家建ててないですよね。舞台があってお金が発生するなら全然しゃべりますよ」って言ったことがあります。まわりを笑かしたくないとかじゃなくて、小学校のときからしゃべって紡いできた人生じゃないから。誰もいなくなってもいいって思ってたんですよ。昔から考えが冷たい奴だったんです。

──誰もいなくなってもいい、というのは？

川原　しゃべらなくても怖くないというか。みんな、怖くて間を埋めるためにしゃべってるっていうのを聞いたことがあって。バーッとしゃべる人が苦手だと思ったり否定したりするわけではなくて、ただしゃべることに対して“無”ですね。

──真逆なタイプですが、瀬下さんもモテるタイプだろうなと感じます。

川原　モテるでしょうね、男前やからね。まあ、モテるっていうか“ギリギリ犯罪じゃない”っていう感じでしたね。

──どういうことでしょう？（笑）

川原　そのぐらい強引な奴なんですよね。鹿児島の昔の男みたいな感じで、今だったら大問題の「俺が言ってんだからついてこい！」って感じの。

──九州男児のような？

川原　そうそう、草食男子が多いなかで、根っからのそれやから。今彼が活躍してるのを見て「昔アイツにめちゃくちゃされたな」って下唇噛んでる人は、男性も女性もいっぱいいると思いますよ。

──ヤンチャだったんですね。

川原　ヤンチャというか、強引だったというか。それがよさですかね。NSC入りたてのころは、1回は捕まっても許そうと思いましたね。刑務所入っても、1回は待とうかなぐらいの感覚でやってましたよ。女性関係もだし、全部ギリギリの奴です。

──そうなんですね……。ところで、川原さんが吉本興業とエージェント契約になったこと、瀬下さんは川原さんのツイッターで知ったそうですね。

川原　そうそう、何も言ってなかった。言ったところで何も変わらないからね、俺がね。大阪から東京に出てくるタイミングも言ってませんでしたからね。

──そうなんですか !?　コンビそろっての上京ですよね？

川原　さっき言ったとおり九州男児な奴やから、「言うとおりにせえ！」って家族に言われたら敵わんから、最初に瀬下のいないところで奥さんにだけ言ったんですよ。「相方バカだから行くって言うと思う。ただ、子供のこともあると思うから無理に東京来なくていいですよ、コンビ解散してもいいし、そのへんは僕に関係なく家族でちゃんと決めてください」って。だから、東京行くってことは言ってたけど「来月東京行く」っていうのは、相方は奥さんから聞きました。

──いろんなところでドキッとするような知らされ方を（笑）。

川原　そんなもん相方だけじゃなくて、吉本も俺がおもしろいと思ってエージェント契約するって言ったとき、ドキッってしたでしょうね。「なんでお前がしてんねん」みたいな。

瀬下に求めることは“日焼け止めの努力”

──改めて、瀬下さんの一番の魅力ってなんでしょう？

川原　脳みそがグミの大きさしかないと思われるぐらい、大バカなところが魅力。後輩も先輩もみんな、瀬下を嫌いな人はいないんじゃないですか？　昔ヤンチャしてたころに、なんかやられた人以外ね。

──パパの印象が強いので兄貴肌なイメージもありますが、先輩にもかわいがられる要素もあるんですね。

川原　まだ千鳥さんが全然世に出てないときから、アイツは大悟さんに「アニキ！　アニキ！」って言ってたから、大阪の難波中が裏社会の人らだと思ったらしいですね。大悟さんみたいな人が肩で風切って歩いて、うしろから瀬下みたいなやつが「アニキ！」って。まあ、先輩というか人が好きなんでしょうね。僕と本当に真逆ですね。

──瀬下さんに一番感謝していることや、助けてもらった思い出はありますか？

川原　単独はネタをいっぱいするから、ほぼ早着替え状態になるんですよ。着替えてバーッて出ていくときに、たま～に襟元を直してくれるんです。それは助かってますね。

──（笑）。

川原　やっぱバカだから気になるんでしょうね、「襟元が！　曲がってらぁ！」って。これは彼しかできないかもしれないですね。この距離感だと「襟曲がってんなあ」で終わって、俺が襟曲がった状態でネタしてたかも。……まあ、曲がっててもいいわけですからね。

──瀬下さんに「川原さんに直してほしいところ」を聞いたら2、3分出てこなくて、最終的に絞り出したのが「靴が金色」なことでした。

川原　はは（笑）。金色の靴、めっちゃ家にあるんです。アトランティックスターズっていうブランドの金の靴を履いて、アトランティックスターズ専門店に行ってまったく同じ靴を買ったときは、店員さんがビックリしてましたね。金の靴でネタするとみんな気になるみたいなんですけど、靴のキンキラが気になるぐらいのネタだったら、まだまだなんだなっていう。

──その物差しにもなってるんですね。

川原　そうそう。靴以上にネタでキンキラを出すっていうね。……マジに思われたら恥ずかしいな、冗談ですからね？　

──（笑）。逆に、瀬下さんに直してほしいところはありますか？

川原　まあ、1回捕まっても仕方ないと思ってたぐらいだから、そう考えるとないかな。ゴルフとか野球とかの外ロケが多いので、日焼け止めだけしっかり塗ってもらうことかな。コント観ても「黒過ぎて入ってこなかった」ってファンが本当にいるのよ。俺が変なオッサンの役をすることが多いのに、真っ黒に日焼けした奴が「何やってんですか」って言っても、頭に入ってこないんですよ。下手したら木炭のコントしかできなくなるから、日焼け止めの努力だけね。

──瀬下さんから川原さんへのメッセージ、非常にアツいものをいただいております。

川原　分かりやすい、バカみたいなね。

──このメッセージを受けて、最後に川原さんからも瀬下さんにひと言いただけますか？

川原　「シーーーン」ですよ。

──（笑）。

川原　『「シーーーン」ってなって、無言で帰っていった』でいいですよ、記事。

──（笑）。ありがとうございました。

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